多能性細胞を改善させる技術は、若山研究室の本来の仕事だった。

STAP細胞実験は、若山氏にとって本来の仕事ではなく、小保方氏らの依頼によって、手伝っただけなどと言う人がいるが、決してそうしたものではない。
STAP論文の中には、若山研究室の技術の粋があるのではないか?

以下の論文は、若山研究室で、核移植技術により分化細胞を多能性へと転換させた細胞において、遺伝子メチル化の変化についての研究成果が論文化されている。①②

卵細胞を融合させて2N細胞をつくり、父親由来細胞遺伝子インプリンテングの無いparthenogenetic embryos なるものを作製する。
父親由来の遺伝子の影響は、胚発生にどのような影響を与えるかの研究である。

父親由来のインプリント遺伝子の影響がないと、胎盤の形成異常がおこり胎児死亡となる。
核移植の胚においての胎児は腸管ヘルニアと、大きな胎盤形成となる。

核移植により胎児発育を延長させることは可能だが、核移植を繰り替えてしても(核移植を9回まで実験)、改善効果には限界があり胎児死亡はおきるとしている。
キメラの状態では満期まで発育することがある。

Development. 2010 Sep 1;137(17):2841-7. doi: 10.1242/dev.051375. Epub 2010 Jul 21.
Functional full-term placentas formed from parthenogenetic embryos using serial nuclear transfer.
Takafusa Hikichi, Hiroshi Ohta, Sayaka Wakayama, Teruhiko Wakayama

Stem Cells. 2008 Mar;26(3):783-8. doi: 10.1634/stemcells.2007-0907. Epub 2008 Jan 10.
Nuclear transfer alters the DNA methylation status of specific genes in fertilized and parthenogenetically activated mouse embryonic stem cells.

興味のある方は、それぞれ読んでみるとよいが、ここでメチル化実験の図がでてくる。
これは基礎の研究者の行うタイプの実験ではないのか?小保方氏は、バカンティ研でそうした実験をしたわけではないだろう。

メチル化の実験は、①②の論文で行われており、若山研究室では、こうした実験はお手の物であるだろう。
STAP細胞を用いて小保方氏がメチル化実験をした時には、若山研究室員と一緒に実験したと思われる。
つまり、若山研究室でスタッフの協力を得て実験をしたと思われ、その成果は研究室で共有されていたはずだ。
メチル化実験の結果は、研究室内での議論でも使われてたはずだ。
そして若山氏のメチル化実験OKがでていたから、サイエンス、セルの論文にも使われたであろう。

都合が悪いことがあればすべて小保方氏の実験ミスにして、それぞれの実験の責任体制は明らかにされなかった。
こうした事実は、もっと検討されてしかるべきことだったのではないか?

②の論文でおこなわれているメチル化実験である。




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インプリント遺伝子とは?
父親由来または,母親由来の対立遺伝子(アリル)のみを発現する遺伝子.親個体の精子や卵子の形成過程において,DNAメチル化などエピジェネティックな標識がゲノムに刷り込まれ,この標識にしたがって次世代の個体で転写調節が行われることで,アリルによる遺伝子転写の違いが生じる.
実験医学増刊 Vol.28 No.15
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コメント

No title

学とみ子
サラリーマン生活29年さんコメントです。

>やはり初期段階で筆頭著者から原データの提出がなされていないことが、根本にあると考えます。

単純な研究不正事件では無いからこそ、これだけ混乱したのです。

小保方氏は、若山研究室でのデータを出せなかったし、理研は調べられなかった!理研内権力が分断され統治が無くなってしまいました。著者間の抗争が起きるように仕組まれてしまったと思います。

今やれることは、実際に起きていたトラブルを検証することだと思うのですが。国はそれをしたがらないのでしょう。ここが問題ではないかと。

研究所なら、研究者同士でフェアな
調査を行える環境を、事務屋の管理者がサポートする体制でないといけませんよね。派閥のある研究者だけでもダメだから、賢い事務屋が頼りです。

No title

学とみ子
はなさんコメントです。

>学さんが間違いなく理解できるように、かなり努力しているのです。

ご苦労様です。

文章を作るとき、相手に誤解を与えないようにと誰でも注意をします。
でも、取り扱う内容が難しい場合には、相手の理解力に委ねて簡略化させたり、不完全にさせたりします。わかる人だけわかってほしいとのメッセージです。こうしたタイプの文章は、理解できない相手にとっては、不快感を与えがちになります。

同じように、相手に悪口を言う場合も、作文に神経を使います。仕方ない事かもしれません。

いづれにしろ、他人の悪口を書いた後は、後悔するわけですから、学とみ子は、できるだけ控えていきたいと思います。

No title

学とみ子
サラリーマン生活29年さんです。
2019年7月2日 7:10 PM

>「研究機関を舞台にして発生した不祥事件」という視点で捉えるべきである。
この点で言えば、他の二つとは比較にならない悪質さである。

単なる研究不正問題ではないと、外国の方が感じている点があるなら、今後、英文発信の成果が期待できるかもしれません。
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