ストレスを与えられ、うつ状態のラットでは、手綱外側核のニューロンのシナプス電位の振幅が増加し、シナップス伝達が増加しました。

人がうつ状態に陥る時は、その前に、不安状態が続くことが多いです。
うつ研究や治療薬の開発には、動物モデルが用いられますが、動物に負荷をかけ、不安状態をつくりだします。その方法は、足に電気ショックを与えるとか、水中を泳がせるなどがあります。
 
動物モデルでは、急性のうつ状態を誘導する以外に、慢性的に動物にストレスをかけて飼育します。急性ストレス反応が強くおきる動物を選んで繁殖させ、慢性ストレスの家系の動物を作り、研究します。
 
こうして誘導されたうつ動物は、どのような脳内神経細胞のトラブルがあるのでしょうか?ラットを用いた動物モデルでの研究の紹介です。ソースは、ネーチャーレーター2月24日号、2011年です。
 
動物モデルをうつ状態にするために、次のような負荷をかけます。足に不規則な電気ショックをあたえるテスト、その時、ラットがレバーをおせば、電気ショックが中断するようにしておきます。治療により、うつ状態が改善すると、このレバーを押すことができるようになります。他の方法によっても、ラットのうつ状態を評価しています。ラットがゲージの一方に避難できれば、足ショックが中断するテストです。さらに、水泳をさせた時に、ラットが静止してしまうテストなどから、ラットのやる気を評価しています。
 
論文の著者らは、以前の研究から、うつ発症にかかわる特定の細胞に注目しています。それは、手綱外側核(lateral habenula、LHbと略)にある神経細胞で、神経突起を腹側被蓋野(ventral tegmental area、VTAと略)に、投影する(神経突起をVTAに伸ばしている)細胞です。VTAに色素を注入し、この色素により、LHbにある神経細胞が染まることを確認しています。今回も、この手綱外側核の細胞に注目しています。そして、蛍光色素を埋め込んだ単純ヘルペスウイルスを、この神経細胞に感染させ、細胞体と軸策を光らせました。
 
ストレスを与えると、うつ状態のラットでは、シナプス電位の振幅が増加し、シナップス伝達が増加しました。うつ状態に陥ると、この細胞が興奮して、シナプス伝達を増加させてしまうことが確認できました。急性、慢性うつ状態では、シナプス伝達が高まっていて、又、正常ラットでは反応しない低いレベルの刺激にも反応してしまいました。
 
この特定部位の神経細胞の興奮と、うつ状態が関係することがわかりました。うつ動物の手綱外側核に電気刺激を与えると、シナップス伝達が減少して、後電位が低下する結果、動物のうつ状態が改善することを示しました。動物に、抗うつ行動が出てくるか(レバーをおす、泳ぐ)を評価しました。治療のための、電気刺激は、300μAが望ましく、刺激する部位は、LHbに限局させると有効でした。他の部分を電気刺激した場合では、抗うつ効果が減少しました。
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