桂報告書に書かれている内容についてブログを書いている。
この調査書を読む人であれば、誰でも気づくことであるが、報告書は、STAP実験における二つの方向性が混在して書かれている。
その一つは、毎回実験のたびに、同一のES細胞が混じる実験ミスについての科学的説明部分、
もうひとつは、全く逆の方向として、小保方ESねつ造の個人犯行の誤解へと誘うための部分である。
つまり、一方は良識的な科学的考察であり、もう一方は、世俗的ミーハー的印象操作部分である。
報告書はこのふたつの書きぶりであるが、伝えようとしたのは、当然、科学的考察部分である。
しかし、後者しか読めない、あるいは後者を意識的に広めようとする人たちがいる。
とても偏った価値観の人たちであるが、彼らはごく一部の人なのだろうけど、とにかく声が大きい。
世の中には“褒め殺し”という言葉があり、尋常でないほめ方をしてターゲットを潰す手法がある。
この逆の手法として、“けなしして救済する”方法が思いつく。
こうした言葉は一般的ではないが、けなすことで逆説的にターゲットとなった人を救う方法である。
理不尽に特定個人がけなされている場面では、多くの人がそのことに気付く。
けなし活動に精を出している人たちの問題点に気づくのである。
つまり、いじめのターゲットとなってしまった人を助ける時、けなす人たちの問題点を浮かび上がらせる。
いじめに参加している人たちは、うっかりと「いじめが楽しい」「暇つぶしだ」 などと口が滑ってしまうものだ。
桂報告書全般に、二つの異なる方向性が混在しているが、科学的部分には、ES混入の想定できる原因が書かれている。
故意の混入ではなく、実験者が気付かずして犯してしまう実験ミスである。
このタイプの混入は、あちこちのサンプルから同じ遺伝子の細胞がでてしまう。
Oct入り細胞でSTAP実験をしていたつもりが、他の増殖能の高い細胞に入れ替わってしまうリスクを、桂報告書は説明している。
FES1が、キメラやテラトーマからも検出できたようにである。
一方、報告書の最後のまとめの部分には、ES派による印象操作がふんだんに書き込まれている。
この理不尽な書きぶりに、一般人でも違和感を感じるのだ。
どうやら、こうした印象操作を行ったグループの人たちは、科学的考察には、積極的に踏み込めなかったレベルの人のようだ。
若山氏は、小保方氏にNGS解析をすることを禁じていたが、若山研究室の飼育マウスはその遺伝子型が明らかにされ、交雑していることや、多数の遺伝子異常を抱えている事実がわかってしまった。
そして、FES1と別の胚から作られたFES2細胞でも、理研がNGS解析をしたことから、同時期マウス由来でない証拠がでてきてしまったのである。
おまけに、STAP幹細胞とぴったり一致する細胞は、持ち主不明だったのである。
これはES派の戦略としては、大誤算である。
結果、報告書最後のまとめ文章で、ES派は、STAP憎し!の思いの丈を披露したのだろう。
ここに目一杯、印象操作用の文章を書いて、印象操作で危機を乗り切ろうとしたのではないだろうか?
さて、今回も、桂報告書を読んでみよう。
桂報告書は青字で示す。
>本調査委員会は、小保方 氏が細胞増殖曲線実験(Article Fig.5c)と DNA メチル化解析(Article Fig.2c)において、データの捏造という不正行為を行ったと認定した。このような不正行為が健全な科学の遂行 と発展に大きな妨げになることは、言うまでもないことである。 ここでは、小保方氏の問題点は、ESねつ造とは無関係の2点の図表で不正が認定されたと言っている。
そして、すぐ後に続けて、小保方氏が、ESねつ造も実行したかのように操作するための文章が続く。
しかし、これは逆効果である。
これを読む一般人は、印象操作に怒るであろうから、ES派にとってマイナスポイントなのである。
桂報告書の書き方は、誰がどの実験を行ったか、実験の不備の責任が誰にあるか?を明らかにしないで書いてある。
特に、若山氏が関与したと思われる実験部分には、桂報告書はポーカーフェイスをきめこんでいる。
具体的な問題であるキメラ、テラトーマにふれてみよう。
>公開データ再解析の結果に よれば、論文に記載された実験の中では Letter Fig.4 に使われた可能性が高く、また Letter 論文 Fig. 2i にも使われた可能性がある。しかし実験記録の不備 から使用実験を 特定するには至らなかった。なお、Article のメソッドに、129/Sv carrying Rosa26-gfp からキメラ寄与能を有する STAP 幹細胞が樹立された、との記述があるが、129/Sv carrying Rosa26-gfp マウスは理研 CDB に導入された記録や飼育記録はないことから、 これは誤記と考えられ、若山氏の説明によれば、 ここで言及された STAP 幹細胞は AC129 であった可能性が高い。 実験記録の不備であるとか、実験動物がいないとか、実験記憶が間違っていた可能性について、上記に書かれているが、誰がその責任者なのかは書いていない。
しかし、上記青字の下線部分に、”実験記録の不備” と、報告書は書いている。
調査委員会が実験記録の不備をスルーした様相をあえて残しているのである。
一般読者は、大事な部分を調査委員会がブラックボックス扱いにしていることを知る。
そして、次の文章では、そこにさりげなく触れている。
下線で示した部分であるが “若山氏の説明によれば”と書いている。
調査委員会は、若山責任部分である事実を示唆しているのである。
こうした実験根幹にかかわる若山研究室の問題点に対しては、調査委員会は大目に処理をしているくせに、ねつ造判定した細胞増殖曲線については、小保方氏によるねつ造!ねつ造!と騒いでいるのである。
この)Article Fig.5c グラフは、ES細胞がES細胞用の培地で増殖する、STAP細胞は増殖しない、一方で、幹細胞は増殖することを示した補助的な実験だ。
記者会見で、STAP細胞がESなら、ES用培地でも増えるはずとの片瀬氏の質問に対し、若山氏の答えは、その実験は小保方氏が担当としたであった。
いづれにしろ、補助的な実験に過ぎないものを、調査委員会がここまでねつ造!と騒ぐと逆に目立ってしまう。
調査委員会のES派は、小保方氏による単独実験と証拠をつかんだ図表を利用して、何が何でもねつ造者のレッテル貼りをしたいのである。印象操作でべたべたに崩したいのである。
>同氏が細胞数の計測という最も基本的な操作をしていないこと、ま た希釈率についても 1/5 と説明したり、1/8 から 1/16 と説明したりしていること、オリ ジナルデータによる確認もできないことから、小保方氏の捏造と認定せざるを得ない。 小保方氏は、1 人で細胞数を計測し、 細胞増殖率測定のグラフを作成したことを認めてい るところ、小保方氏によってなされた行為はデータの信頼性を根底から壊すものであり、 その危険性を認識しながらなされたものと言わざるを得ない。よって、捏造に当たる研 究不正と判断した。 若山氏は、細胞増殖率測定のグラフ作成を小保方氏に提案した研究室の主宰者であり、 小保方氏をシニア研究者として指導監督するとともに、共同研究者として、データの正 当性、正確性について十分な注意を払うことが求められていた。若山氏は細胞数の計測 や増殖曲線の作成に直接関与したものではないが、指導監督を怠り、データの正当性、 正確性について検証することなく、このような捏造を生じさせたことの責任は過失とは いえ重大である。 桂報告書 29頁
(なお、論文に書かれているB6GFP×129/Svや129/Sv×B6GFP等の表記は、実際にマウスの 交配を行った若山氏によれば、間違いとのことである。) (調査結果) STAP幹細胞FLSから作製した4Nキメラを戻し交配して得た子にGFPを含まないマウスが 含まれていた。このことは、STAPFLS幹細胞FLSを作成したマウスは129(CAG-GFPホモ)と B6(CAG-GFPホモ)を交配したF1であるとの、若山氏の認識と矛盾する結果だが、若山氏 と小保方氏 はこの矛盾について、それ以上の追求をしなかった。 調査委員会は、間違いとの判定したくせに、それが若山氏の不正かどうか?の判定をなぜ、調査委員会はしないの?
下線部分は、小保方氏は関係ない。なぜ、小保方氏も加えて、ふたりの名前があげるの?
疑義の部分は、いつでも、小保方氏のせいなのね。
桂報告書29頁
(評価) 上に述べた状況から、CDB若山研のマウスの飼育管理体制は若山氏が中心となり、それ に数名のスタッフが携わっていたと、若山氏の説明からうかがうことができる。また、 マウスの系統管理も、系統間のコンタミネーションに対しては、部屋、あるいはラック を変えるなどの防止策は採られていた。一方、小保方氏に関しては、マウスの飼育を若 山氏に全面的に依存していたことから、この問題に関する責任は低いものと認められる。 以上から、その実験の不整合の原因を確認しなかったという点については「若山氏のミ ス」ということで片付けられ、問題であることは認めながらも、その原因を追求しない ままにしておいたことは、科学者として避けるべきであった。しかし、調査により得ら れた証拠に基づき判断する限り、研究不正とは認められない。 すでに、若山研究室の129も、B6マウスも、それぞれ相互に交雑しています。
つまり、管理がうまくいっていなかったのです。
しかし、そうした特殊マウスの飼育環境であるにもかかわらず、外部からの新人研究員である小保方氏に、誰かがどのマウスをわたしたかについて、桂報告書は、実態を不明のままにしてしまいました。
遺伝子構成が論文とは違ってしまった原因について、使用マウスの解明が極めて大事な調査材料であるにもかかわらず、調査委員会は人事のような扱いになっています。
ラックを変えて注意していたけど、うまくいかなかったのです。
こうした研究室のマウス管理体制なのですが、桂報告書は若山氏が動物管理責任であることをはっきり書きました。
調査委員会は、ぎりぎり、被疑者たちに対してフェアな判定をしているのですが、それが読み取れないような文章構成になっています。
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コメント
早速のお返事ありがとうございます。
>従って、129/Sv carrying Rosa26-gfp マウスは無いと言われたらそのまま受け取るか、無いという証拠を出せというよりない。誰もその試料を開示請求していません。私が今考えているのは誰かが小保方さんに129/Sv carrying Rosa26-gfp だと言ったから、又誰かがキメラを作ったと言った、もしくは言ったと誤解したから、彼女は論文にそう書いているということです。
私が指摘したのは、当時、理研CDBで配布されていた129 carrying RosaGFPマウスは調査報告書では飼育記録がないと記載したことに「嘘を書くな」とコメントしたことです。Ooboeさん達には、報告書との齟齬を理研に問い合わせてもらいたいですね。
>ジャームライントランスミッション実験でGFPを確認するのにそれだけマウスコンタミのあったコロニーの中で交配するなんて適合的ではないでしょう。でも、それは若山研の責任ではありませんね。若山さんのクローン胚の探求にとって、マウスコンタミは大した問題ではなかったはずですよね。こういうことになったのは偶然に過ぎない。バカンティ氏側がキメラを作ってくれと頼んできた流れです。小保方さんの細胞研究をするためのラボではありません。でもこのラボでOct4-GFPが大量に光った。誰が悪いのでしょうかね。
そのご意見は的を得ています。ただSTAP論文として使う必要なマウスの管理を怠っていたために小保方さんさんは被害者になってしまいました。そこで、近交系マウスの交配を知らない方も多いと思うので、小保方さんの「あの日」の記述から、私が想うことを書かせてもらいます。
「あの日」90P
ある日、若山先生から、「ES細胞にはES細胞が樹立しやすい系統のマウスと樹立が難しい系統のマウスが存在している。 また、クローンマウスを作製する時にも、クローンマウスを作りやすい系統のマウスが存在しているから、その系統のマウスを使ってキメラマウスの作製を行ってみたい」とご提案をいただいた。若山先生が準備してくれマウスは129×B6 F1と呼ばれるマウスで、129と呼ばれる系統のマウスとB6という系統のマウスを交配させて作製した雑種の赤ちゃんマウスだった。…
ここで、「あの日」に書かれている129×B6 F1は、必ずしも近交系マウス同士の交雑種表記の129B6F1マウスではないことに留意して下さい。試験に「×」を書くと0点になります。
つまり、彼女はそれを踏まえて129×B6 (2つの近交系129マウスとB6マウスの交配を表す意味に過ぎない「x」表示) とF1の間に隙間を空けています。以下に桂報告書の問題点を提起します。
調査報告書10P
>なお、図の説明にある「B6GFP×129/Sv」は、最初にメス、その後でオスの遺伝的背景を書く通常の表記法では「129/Sv×B6GFP」が正しいが、不注意による間違いと思われる。
誰が決めたんですか?そんなことはありません。「通常の表記法…不注意による間違いと思われる」との結語は通常の表記でない表記があるから、「間違いである」と断定できないのです。
「それを説明するマウスについてお復習」
研究室で維持されている近交系マウスはほとんどの遺伝子がhomoとして維持されているマウス。近交系と近交系の掛け合わせ第一世代(F1)は、すべての遺伝子をheteroに持つ個体になる。ついでにF1マウスは近交系ではないが、ゲノムの構成が明らかなので、系統と同じように扱う。但し、129X1(旧名 129/Sv)とC57BL/6の掛け合わせをすると、
129B6F1:雌が129X1、雄がC57BL/6
B6129F1:雌がC57BL/6、雄が129X1
この2種類のマウスが生まれる可能性があり、これらを雌雄逆転交配(reciprocal cross)と呼ぶ。この両者の場合、ミトコンドリアDNAとY染色体が異なることになるので両方を"必ず"調べなくてはならない。←ココ重要。
ここで問題なのは、調査報告書10P
>なお、図の説明にある「B6GFP×129/Sv」は、最初にメス、その後でオスの遺伝的背景を書く通常の表記法では「129/Sv×B6GFP」が正しいが、不注意による間違いと思われる。
上記の文言ではっきりしたことが分かります。若山研のF1マウスは reciprocal cross の可能性すら調査していないことで、「通常の表記法では」の但し書きを付けて、 不注意による間違いだと。何で簡単にそういう文章になるの?。もし若山氏からの聞き取りだけを採用して調査した間抜けな科学者だったら、ストライカーを使って頭蓋骨に穴を開け、Homogenized した脳の中にAmyloid β-filamentsやRewy bodyなどのinclusion body がそろそろ蓄積していないか成分を問いたいくらいどうかしてますね。まるでB6×129GFPマウスが誤記で、129×B6GFPマウスでなくてはならない論理を展開している。
交雑仔(Hybrid)とは
2つの近交系を交配した仔で、父母にもちいる近交系をそれぞれそろえて交配しているマウスは "遺伝的に同一" であり、両方の親系統の頭文字を用いて表記し(母親の系統の方を先に表記)その後ろに“F1”を付記する。父母を逆にして交配したF1交雑仔は,これとは "遺伝的に同一ではなく" 、その表記も異なる。←ココ重要。
例:D2B6F1 母親をDBA/2、父親をC57BL/6J系統の仔マウス B6D2F1 上記とは反対の交配で産まれた仔マウス。この"F1"は第一世代の意味合いではなく reciprocal crossを表すルールです。
そこで近交系同士の掛け合わせマウス「B6GFP×129/Sv」について、普通は雌を最初に雄を後に表記するが、上記に説明したように、論文にB6GFP×129SVと書かれたら、近交マウス同士で reciprocal cross のF1の意味かな?くらいは科学者として想定しなくてはならない。これはマウスに疎い彼女が書けるわけもないので、若山氏から聞いてそのまま論文に書いているんだよ。それを精査すれば、ある意味、若山氏が「私はマウスの交配管理に無頓着です」とうっかり暴露した証明にもなる。調査委員会は何処まで調べたのか、調べたら辻褄が合わなくなって問い詰められては困るから「誤記である」と断定できなくて「誤記と思われる」表現になっているのではないか?
桂報告書29P
(調査結果)
>STAP幹細胞FLSから作製した4Nキメラを戻し交配して得た子にGFPを含まないマウスが
含まれていた。このことは、STAPFLS幹細胞FLSを作成したマウスは129(CAG-GFPホモ)と
B6(CAG-GFPホモ)を交配したF1であるとの、若山氏の認識と矛盾する結果だが、若山氏
と小保方氏はこの矛盾について、それ以上の追求をしなかった。
何を言ってるんだか。129CAG-GFPホモとB6CAG-GFPホモの交配のF1マウスはヘテロマウスに決まっている。戻し交配でGFPがこないマウスができた結果はケージ内で野ざらし交配の結果だろうに。その交配すら若山氏に追及していない。インクロス、 クロス(アウトクロス)、インタークロス、バッククロスなどの交配の可能性を報告書で考察していますか?
本件について、若山氏は質問状に対する回答で「その当時、STAP現象は絶対に本当だ
と思っていたため、この疑問点は自分のマウスの交配のミスによるものだと判断しまし
た」と回答している。そして、若山氏の結論として「誰かの実験を手伝ったとき、つじ
つまが合わない現象が起こった場合、真っ先に自分の担当した部分を疑うのは当然」と
も回答した。
(評価)
上に述べた状況から、CDB若山研のマウスの飼育管理体制は若山氏が中心となり、それ
に数名のスタッフが携わっていたと、若山氏の説明からうかがうことができる。また、
マウスの系統管理も、系統間のコンタミネーションに対しては、部屋、あるいはラック
を変えるなどの防止策は採られていた。一方、小保方氏に関しては、マウスの飼育を若
山氏に全面的に依存していたことから、この問題に関する責任は低いものと認められる。
以上から、その実験の不整合の原因を確認しなかったという点については「若山氏のミ
ス」ということで片付けられ、問題であることは認めながらも、その原因を追求しない
ままにしておいたことは、科学者として避けるべきであった。
バッカじゃないの?矛盾がありながら「それ以上追及しなかった」「科学者として避けるべきであった」の発言はあれほどの期間をかけて調査した委員会の述べる報告書ではない。あんた達が「その問題の矛盾」の追及を放棄した責任転嫁の桂報告書だろ。若山氏を追及して困るのは、調査委員会、あんた達だろ?
2019/12/08 URL 編集
JISAIさんの追加質問
>ということは若山氏の知らないところで、マウスが入れ替わっていたとなりますか?
>実験者にとっては、GFPが来なかったのは予想外だったと考えられますか?
若山氏の知らないところでマウスが入れ替わることは考えられません。ここは、ジャームラインの実験する時点で若山氏の管理するマウスコロニーがおかしいと考えられますし、若山氏もそれを認めています。ジャームラインの実験補足文。 SCIENCE「万能か全能か、医学と科学」 2007/12/26 http://saitotoshiki.com/blog/2007/12/ips_science_medicine
から一部抜粋
「…ESに関しても同じ事が言えます。私はノックアウトマウスの作成システムを研究室で立ち上げたことがあり、100%キメラでもGermline Transmissionが行かないことを経験し…」の記事がありますが、おおよそ生まれた仔マウスの半数にGFPのない仔マウスが生まれるなんて考えられないことから、上記の意見には当てはまらないと思います。JISAIさんの言う「予想外」と言うより、若山氏はこうした文献を既に読んでおり、それを含めてGFP陽性のマウスのみを取り捨て実験をしたのかなと思います。それに関連してF0以前からF1マウス、Fnマウスに至る過程で下記の文章を読めばご理解されるヒントになるかと思います。
5338. Lさんのコメント2019年08月11日 03:45
近交系の場合、変異が定着する場合はホモに収束します。興味深い事に、若山研の129 CAG-GFP マウスでは、第6染色体に129/B6ヘテロの領域が残っているとされており、近交系でCAG-GFPホモマウスを維持していたのかどうか、不明です。SNPなので、生存・繁殖バイアスによりヘテロが選択されるとは考えにくく、CAG-GFPヘテロを129に戻し交配し続けていた可能性もあるかもしれません(このマウスがCAG-GFPホモかどうか、報告書には記載されていないように思います)。
「CAG-GFPヘテロを129に戻し交配し続けていた可能性もあるかもしれません」そのご意見は重要な考察ですが、記載しては困る事情もあるのでしょう。また結果として「あの日」には、生まれてくるGFPマウスの半数にGFPがない結果が書かれており、若山氏も「僕のマウスコロニーがおかしい」と小保方さんに話した発言があってヘルニアマウスが生まれても、その原因を探ることなく「お母さんマウスに食べられちゃったことにしよう」と実験マウスの取り捨てをしています。本来なら、マウスの生殖細胞内の特定の染色体領域を蛍光標識する FISH 法を用いて、GFPの有無やヘルニア等を示すさまざまな遺伝子改変マウス体と正常個体とを比較解析することにより生殖細胞における相同染色体2本の相同染色体の空間的な位置情報が得られるので、減数分裂の進行に伴う相同染色体の相互作用をモニターすべきでした。その訳を知っているから、後に小保方さんにバレないように浅い遺伝子解析ChlP-seqのみを要求したのです。マウスに疎い小保方さんにとっては「そんなこと(半数にGFPがこない)もあるんだ」と若山氏を信じきっていたのかな?と考えられます。
曾て一言さんが鹿馬ブログに組み合わせを考えろやと反論を呟いておられたように、なぜ「ホモであるはずがヘテロであった」或いは「生まれてきた子マウスの半数にGFPがない」、SNPsの問題などの理由から、いろんな交配の可能性を考察して見ましょう。
インクロスとは、同じ種類の相同遺伝子をホモにもつ個体どうしの交配型。n世代でインクロスであれば、n+1世代ではつねにインクロスとなる。クロス(アウトクロス)は、異なった相同遺伝子をホモにもつ個体どうしの交配型。n世代でクロスであれば、n+1世代ではつねにインタークロスとなる。バッククロスとは、ホモ接合体とヘテロ接合体との交配型。n世代でバッククロスであれば、n+1世代ではインクロスが25%、バッククロスが50%、インタークロスが25%の確率でおこり遺伝子座においてヘテロ性が残っていると考えられる。
しかし、これらの値は、F0世代での交配型がすべてクロスとした場合からもとめられているので実際は、F0世代で、すべての遺伝子座においてクロスのみとなることはなく、インクロスの場合もある。なので、インクロスの確率と近交係数は表の値より大きくなり、ヘテロ接合体が残っている確率はより小さくなる。これを踏まえて兄妹交配を20回くり返したものを近交系と定める。マウス、ラットの近交系を確立する過程で重要な関心事であるゲノム固定の割合は、近交係数ではなく、インクロスの確率からもとめるのが良い。n世代におけるインクロス、クロス、バッククロス、インタークロスの確率があり、インタークロスとは、ヘテロ接合体どうしの交配型をいうので、n世代でインタークロスであれば、確率計算でn+1世代ではインクロスが12.5%、クロスが12.5%、バッククロスが50%、インタークロスが25%となる。そもそも調査委員会が、元々、reciprocal cross の可能性を含め、めちゃくちゃなマウスコロニーのSNPsの評価で論じるのは、すでに論文が取り下げられている現状、適当な辻褄合わせで終息を図ったと感じます。その証拠に若山氏のマウスコロニーを調べないで、叱責にとどめていることに矛盾があるでしょ。この報告書の信憑性は、すでに破綻していますね。
そこで、若山研究室のマウスの交配管理については、最初の一言さんのコメントから情景が浮かびます。確かに最初は近交系でF1 GFPマウスは作ったでしょう。問題はその後です。STAP細胞に使う仔マウスは通算数百匹が必要で、その都度129マウス、B6マウスの交配で準備されているとは考えられず、ある時点からコロニーの中で自然交配したFn世代のらん交マウスから選んだGFP陽性仔マウスを選んだと考えるのが自然です。事実、(間違った可能性を含めた)戻し交配をしています。実験計画は若山氏の主導です。仔マウスがどんどん生まれ、「ほら、生まれたよ」と報告して、生後8日辺りの仔マウスに合わせて事前にドナーマウスに着床させるため偽妊娠させる薬剤投与は小保方さんの担当かも知れません。
つまりはこうした科学的知見で得られる可能性や実験現場の考察を放棄して、後に都合よく若山氏から用意残されただけの細胞の高精度遺伝子解析SNPs論でES混入ありきのストーリーで辻褄合わせをしている報告書に説得力はありませんね。
2019/12/08 URL 編集
「」について、この桂報告書がデタラメ報告である証拠を下記に示します。http://www.cdb.riken.jp/jp/04_news/articles/11/111212_liveimagingmice.html
独立行政法人 理化学研究所 神戸研究所 発生・再生科学総合研究センター
2011年12月12日
「ライブイメージングに適した新たな蛍光マウスを開発」
発生過程において組織や器官が形成されていく仕組みを知るためには、個々の細胞の振る舞いを調べる必要がある。蛍光ライブイメージングは、生きたままの胚において特定の細胞や細胞内の構造を可視化し、その動きを追跡することができる技術である。マウスにおいても蛍光ライブイメージングが可能だが、多くの場合、蛍光遺伝子を染色体にランダムに導入しているため、発現部位を厳密に制御できない、発現量にバラツキがある、複数の構造を同時に標識できないなどの問題を抱えていた。
理研CDBの動物資源開発室(相澤慎一室長)は、核や細胞膜など7種類の細胞内小器官を条件特異的に蛍光標識できる12系統のマウスを開発した。ライブイメージングに適した十分な蛍光シグナルが得られ、また、二重標識も可能であることが確認された。既に汎用されているCre-loxPシステムを発現制御系に用いているため、容易に発現部位を限定できる。この研究成果はGENESIS 誌の7月号に掲載され、同室はこれらのマウスの配布を開始している。←ココ重要。
これまでの手法が抱える問題を解決するために、彼らは染色体上のROSA26遺伝子座に着目した。この領域に導入された遺伝子はほぼ全ての組織で発現することが知られ、しかも、ホモに変異を導入しても異常を生じない。そこで、ROSA26領域へ蛍光遺伝子を導入し、それをCre-loxPシステムで組織特異的に発現させれば、ライブイメージングに適した汎用性の高いレポーターマウスを作成できると考えた。
2019/10/23 URL 編集