脳科学は、試行錯誤を繰り返して、ここまできました。

私のブログでは、脳科学の最新の研究のさわりを紹介しています。
 
人の意識とは何か?なぜ心の病気は起こるのか? この問題は、将来、画期的に解明されるという可能性より、ジグソーパズルのように、少しづつわかっていくのではないでしょうか?比較的早期に、中核となる絵を完成できたとしても、ジグソーパズルの辺縁の似たような色の部分は、ピースの置き場がわからないという状態になりそうな気がします。残念ながら、臨床レベルの脳科学は、まだ、中心部分の絵についても、ピースの場所はわからないという状態でしょう。
 
脳科学は、1900年初頭の近代医学の始まりから、たえまなく研究が続けられてきました。そして、多くの論争を生んできました。そして、100年たって、ここまできました。
 
初期の脳科学は、多くの他の医学分野同様に、解剖学の視点から機能解明が進みました。密にネット状に組み込まれた神経細胞を分類することは、当時の研究者には困難なことでした。しかし、人の努力が続くことにより、1913年には、Cajalと言う人が、神経細胞には、第一成分(ニューロン)、第二成分(アストロサイト、グリア細胞の1種)、第三成分(小円形細胞)に、脳内の神経細胞をわけることができました。
 
それから6年後、Rio-Hortegaは、小円形細胞の一部は、第二成分に属する事を示しました。小円形細胞に分類されたオリゴデンロサイトは、アストロサイト付近に出現することから、第二成分と同じ仲間であることが示されました。そして、彼は、小円形細胞は、ニューロンとは起源を別にする細胞であることを発見しました。それは、他の神経細胞が外肺葉から出てくるのとは異なり、中胚葉系の血液細胞から出ていると主張しました。実は、1899年には、脳の中には、他の臓器と同様に、元々存在しているわけではなく、何かイベント時に限定して増加する細胞の存在がすでに指摘されていました。
 
図に、これらの起源をことにする神経細胞を書きました。
 
イメージ 1
下の三つの薄い黄色の3種は、マクロ(大)グリアと呼ばれ、左からオリゴデンロサイト、アストロサイト、ポリデンロサイトと呼ばれます。オリゴは少ない、ポリは多いという意味です。これらの細胞は、ニューロン(水色)と同じ仲間です。つまり、神経外肺葉という組織から、分化してくる細胞です。左に示した赤の小グリアは、中肺葉系の血液細胞から生じてきます。
 
現在、脳の細胞は、図に示したように、外肺葉系の神経上皮から生じてくる神経細胞(水色のニューロン、黄色のデンロサイトとアストロサイト)と、血液細胞(赤)から生じていくる小グリアに、分類されています。実は、これがきまるまでが大変でした。
 
 
Rio-Hortegaは、小グリアが血液細胞から生じることを、当時の技術で発見したのですが、その後の脳科学の進歩により、彼の説は否定されてしまいます。そして1990年まで、小グリアの起源に関して、神経細胞系(外胚葉)か?血液細胞系(中胚葉)か?で、議論が続きました。神経細胞系の小グリア様細胞は、多くが死滅してしまうのです。それが、この起源論争を難しくした原因でした。
 
血液細胞系のマーカーの一部(Pu.1)を欠くマウスでは、小グリア細胞が生じてこないことなどから、小グリアは、血液細胞系起源であることがわかりました。この小グリア細胞は、グリア細胞としては働きながら、時には白血球のように、食細胞となることができるのです。
病原菌やウイルスが脳内に侵入すれば、白血球は、それらと闘わなければなりません。
 
他の細胞の脳の恒常性を維持するために必要であるのに対し、脳を機能させる中心の細胞は、なんといってもニューロンです。生下時までにニューロンが作られ、その後に成長と共に完成するニューロンのネットワーク構築が大事なわけです。
 
成長発育の時点で生じる、大きなイベントは、ネットワーク構築に大きな影響があります。思春期に戦争を経験した世代は、メンタルが強いとか、そうした影響が出てくるようです。
 
成長と共に神経軸のネットワークが効率よく成長し、最後の、思春期で、抑制系ネットワークが完成すると考えられます。抑制系の完成が不十分であると、統合失調症でみられる陽性症状(不穏、幻聴など)につながると考えられます。
 
不安発作も、ネットワークで抑制系が機能して、不安を抑えます。そして、ネットワークの再構築は可能なわけですから、魔法のようなことはなくても、少しづつ改善させていくことはできるわけです。
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