精神疾患の急増について ネーチャー記事より

2004年のWHOの発表では、世界で一番、診断可能な精神疾患の人が多いのは米国で、人口の26.4%だそうです。そして、それを治療する精神科医は、10万人あたり15人いるそうです。
 
それにくらべて中国では、2009年のランセット(有名医学誌)によると、診断可能な精神疾患の人は、17.5%と極めて高いそうです。ネーチャーの統合失調症の特集号11月号に、記事(Davit Cyranoskiによる)がありました。この記事をさらに読んでみますと、こう書かれています。
 
中国の精神疾患者の特徴は、1999年から急増しているとのことです。汚職と関連して数人の官僚が自殺するという事件がありました。又、紛争の続くチベットから、精神病科医師が撤退していうようです。今は、中国の急増する精神疾患に対応するために、オーストラリアから精神科医が治療協力をしているそうです。
 
中国が経済大国になり、世界レベルの医学知識が導入、診断技術の向上、新薬の開発など、複数の要因により、中国における精神疾患の急増の実態が明らかにされました。そして、精神科領域の医療費が急増してします。1999年には、精神科領域の医療費が、うつ領域2500万ドル、精神疾患2500万ドルであったようですが、2005年に医療保険の制度が変更され、この時から、抗うつ薬、抗神経病薬の使用量が急増しています。2010年の医療費は、うつ領域23000万ドル、精神疾患33000万ドルになっています。
 
アメリカ精神医学学会はDMS(Diagnostic and Statistical Mental Disorders 精神疾患診断のためのマニュアル)と呼ばれる精神疾患の診断基準を発表しています。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AE%E8%A8%BA%E6%96%AD%E3%81%A8%E7%B5%B1%E8%A8%88%E3%81%AE%E6%89%8B%E5%BC%95%E3%81%8D
 
従来難解だったヨーロッパ系の精神医学を廃し、実際の診療の場で使いやすく改訂したものです。日本でもこの考えは導入されているものの、日本語に訳すと、大うつ病、小うつ病などとなってしまい、居心地の悪さがあります。人の病気の複雑性を考えると、単純化しすぎているという批判はありますが、病気をクリアに分類して、分類の根拠を明確化したため、世界中で使われているガイドラインとなっています。中国もこの基準を用いて、元のDMSをほとんど持ちこんで、中国風改定版の診断基準をつくりました。

以下は、ネーチャーの記事から離れます。
中国では、高級官僚にうつや自殺者が多いそうです。この理由は、はっきりしていませんが、少しでもランクの高いポストにつくための熾烈な競争の陰の部分なのかもしれません。日本でもそうですが、役人は、入庁後、移動と共に少しづつポストがあがります。勤勉さ、事務処理能力の高さ、友好性、人間性など、多方面から能力が評価され出世していくようですが、所詮、人間の決めること!そこにはさまざまな当人の能力以外の因子が働きます。
 
役所の仕事は、組織の仕事なので、誰か個人の業績になることはなく、従って、誰が優秀かの評価はわかりにくいです。部下の努力で出生していく人間もいるかもしれません。しかし、一旦、役所にミスが起きると、その時のしかるべき立場の人間に責任が生じてきます。本人は、まったくそのミスに関与していなくともです。それまでの人生をかけて、営々とキャリア築きあげてきた優秀な人材が、そのミスを契機にいっぺんにだめになることがあるようです。こうした役人の残りの人生は、他の多くの同僚と同じような横並びのポストに甘んじなければなりません。
 
もっとも、失脚した人の苦しい気持ちは、昔から絵画や歌にもありますね。
 
俺は河原の枯れすすき、同じお前も枯れすすき、
・・・・
熱い涙の出るときは、汲んでおくれよ、お月さーん

 
中国の役人の場合の汚職の内容はわかりませんが、自殺者が複数ででるという事態は悲しいことだと思います。日本の自殺者も毎年、3万人を超えています。ニューロサイエンスの知識が広まり、普段から心のしくみを学んでおくことで、少しでも自殺の回避につながれば良いですが・・・。
 
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