シングルセル解析を使い コロナウイルスとヒトの戦いの舞台裏では何が起きているか?を知る

この数年で、細胞の遺伝子発現を個々の単一細胞で見る技術が進化してきている。

臨床応用も進んでおり、がんの個別性の研究にも応用されている。
たとえば、がん細胞のシングルセル解析をすることで、ある患者さんのこのがんについては、どのような戦略を取ればよいか?の情報につながる可能性が高い。
がん組織では、どのような遺伝子発現のがん細胞が増加してくるのか?周りの組織の細胞への影響はどうであるか?が検討されている。

他にも、心不全の患者さんにおけるシングルセル解析が進んでいる。
心不全は、心臓がポンプとしての役割を低下している状態だが、ここに至るまでに心筋細胞がどのような変化をたどるのか?が、シングルセル解析によりたどれるのである。
心筋障害が進んでポンプとしての心臓が機能低下していく時、心筋細胞にどのような遺伝子発現レベルの変化が起きるのか?についてがわかるようになったのである。
心筋梗塞で壊死した心筋細胞が、次第に、その機能を回復するのか?あるいは、どのような遺伝子発現の経過を経て、ポンプ機能を停止していくのか?が、シングルセル解析で示されるようになった。

つまり、このシングルセル解析法は、これから当分、医学分野でデータが出てくる分野である。

当然、STAP細胞のように、酸ストレスに暴露された細胞変化も、説得力を持って示せるのである。
つまり、容易に細胞変化は証明できてしまう。

さて、コロナウイルス感染にもどるが、当然、コロナウイルス感染症でも、そうしたシングルセル解析による研究成果がでてきている。
西川先生も、記事を書かれている。


今回は、簡単に、そうした臨床研究の一部を紹介する。
2020 May 4;6:31. doi: 10.1038/s41421-020-0168-9. eCollection 2020.  PMID: 32377375

10人のコロナウイルス感染症から回復した人の血液サンプルを、回復早期ERS(陰性化後7日未満)、回復後期(陰性化後14日以上)別に分けて、シングルセル解析を行った臨床研究である。

著者らも述べているように、このような研究は、コロナウイルス感染に対し、ヒトがどのような防御作戦を展開しているのかを示すものである。
ひいては、ヒトが戦っている部分を増強させる人工的手段はないか?治療に応用できないか?を模索するためのものである。

こうした研究成果がワクチン開発などにつながる。
すでに、以前から、コロナウイルス感染症における免疫研究もあるし、T細胞受容体やB細胞受容体もワクチン開発をめざして研究はされている。
今回の、大幅予算の勢いを持って、コロナウイルス感染症の免疫研究が進んで、ワクチン開発に応用できる可能性が高い。
ただし、以前にも書いたが、コロナウイルス封じ込めには複数の問題点がある。
天然痘、麻疹、水痘のようなきわめて効率が良いワクチンは、開発困難だろう。

コロナウイルス感染が起きると、ヒトは、特定のTCR、BCRのT細胞、B細胞を増やす。
紹介する論文では、どのタイプのTCR、BCRレパトワを持つ細胞が増えているのか?が調べられている。

(TCRは、T細胞受容体、BCRはB細胞受容体の意味で、レパトワとも呼ばれる。それぞれ病気ごとに、増加する細胞が異なるので、病気の質を評価する時にツールになっている)

こう書くと、もうだめという方がいるかもしれないが、別にそれほど難しいものではない。
抗原と抗体の区別はわかると思うのだが、コロナウイルスは抗原(PCRで検出)であり、それを潰すためにヒトが作るのが抗体である。

コロナウイルスに感染したヒトが、侵入したウイルスをみつけて殺すために、免疫司令塔であるT細胞を増やしたり、B細胞に働きかけて抗体を作らせる。
これらの神の手なる過程を、人が覗き見るのが、免疫学である。
つまり、コロナウイルスとヒトの戦いの舞台裏では何が起きているか?を知るために、免疫学がある。

コロナウイルスの侵入を察知したヒトは、前線(のど、はな、気管支)でまずは戦う。
前線の情報をうけたヒトの免疫組織は、さらなる精鋭部隊を編成させる。

精鋭部隊がコロナウイルスを捕まえるためには、限られたタイプのT細胞しか、その任務を遂行できない。
ヒト自らの細胞や臓器を壊さないように、ウイルスだけを殺せるようにトレーニングされていた精鋭部隊がいる。
それが、T細胞やB細胞だ。
防衛戦を行う精鋭部隊はT細胞であり、T細胞自らでウイルスと闘ったり、特定のB細胞も増加させ抗体を作らせて、戦いを有利に持っていく。

コロナウイルスの感染に際し、T細胞も、B細胞も状況を判断するための特別の傍受装置があり、それが受容体である。
感染を察知した細胞から情報をもらったT細胞、B細胞は、それぞれが同じタイプの受容体を持ち合わせる仲間たちをどんどん増す。
つまり、T細胞、B細胞受容体の種類を調べることで、どのタイプの精鋭部隊がコロナウイルス感染時に活躍するのか?がわかる。
この研究は、どのタイプの受容体を持つ T細胞、B細胞が増えているのか?を、シングルセル解析で示す。

COVID-19の早期回復期(ERS)で、血液中の単球は増加していたのに対し、T細胞は減少した。
CD14細胞が増加し、回復早期にはCD14+IL1β+細胞が増加した。
CD4細胞およびCD8T細胞は減少し、回復早期には高レベルの炎症性遺伝子を発現した。
B細胞の中で、形質細胞(抗体を産生できる細胞)は増加したが、分化途上のナイーブB細胞は減少した。

IGHV3-23やIGHV3-7など、B細胞受容体(BCR)がスイッチしており、以前からウイルスワクチン開発に使用されていたアイソタイプ(IGHV3-15、IGHV3-30、IGKV3-11)の表出も確認された。
この研究では、IGHV3-23-IGHJ4が、新規的であった。

IL-1βとM-CSFが炎症性ストームの標的遺伝子であり、TNFSF13、IL-18、IL-2、およびIL-4は、COVID-19患者において、感染回復に導くかもしれない。


とにかく、コロナウイルス感染症の時、体は頑張っているのだから、静かに見守るのが一番だと思う。ただし、これは高齢なる私の場合です。何も薬は飲まない。麻黄湯のような交感神経を刺激するものはダメ、解熱剤ダメ、パルスオキシメータで酸素などチェックしない。しかし、トイレに歩いて苦しくなるまでは我慢しない。その前に(私の場合は)気付くと思う。廉価なるパルスオキシメータが必要だと感じる人は使えば良いと思う。

1週間以内で、軽快傾向が無い場合は、要注意だ。その人自身は、コロナウイルス制御が下手な人、治せない人でである可能性が出てくる。


一般的な経過を取らず、頻度が低い原因で急変したら、諦めるしかないだろう。入院しててもリスクはある。入院しても、病院や主治医が気に入らないと、ストレス多く、免疫に悪影響する。

栄養のあるものが食べられる胃腸機能があり、ゆっくり眠れるメンタルヘルスがあれば、感染症初期は十分に戦える。高齢者は,
普段からアルコールを飲んではいけない。

家族のいる場合、コロナウイルス接触者や医療関係者は、自宅には帰らないのが良い。しかし、スーパーなどで、そばの人からウイルスをもらう可能性は低い。こうしたメリハリのない対策がまかりどおっている。8割おじさんは、重症呼吸器感染症、市中のインフルエンザ感染症の臨床経験がある医者たちとどういう議論をして、自らの学説を説得させたのか?
現時点では、単なるひとつの学説にすぎない8割論を、どうして肥大化させたのか?

8割説が意味を持つためには、8割減らせば、その病原体がその後も封じ込められるとの展望がなければならない。




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コメント

中国の科学力

気まぐれぺルドン
書き忘れですが、中国の科学力を高く評価されている御様子ですが、共産党政権と科学の普及、公開性とは、相反する様子ですね。中国の科学史は成程、当時の西洋を凌駕する者だったにせよ、
共産党政権になってからは、特許等の科学的・社会的秩序が理解出来ていない。特に機密製に関する研究は、金を払わず、盗んでくる技術だけが、異常発達してしまった。米国を始め、大学・研究所から中国人研究者や学生を排除する反動が当然起きてきている。

このままでは、トランプを筆頭とする欧米社会と、激突し、武漢ウイルス禍による死者を遥かに上回る犠牲者が生じかねない。そうすると、日本は狭間に挟まれ、悲劇的な運命を再び味わう可能性がある。とても残念な予想ですが・・・

年齢も色々

気まぐれぺルドン
高齢者の死亡率が高いのは、それはその通りでしょうが、戸籍年齢の高齢者なのか、肉体年齢の高齢者なのか、そこまでは調査せず、単に戸籍年齢を採用している可能性がありますね。運動の重要性を知って、日頃から運動をしている人達は大いに不満でしょう。
生命力が運動に支えられている面もあるとすれば、そのあたりの調査も考慮されたら、国民の健康にも役立つものだと思われますが。

学さんは散歩はされておられるようですが、犬を連れての散歩も悪くありませんよ・・・

誰でも最後は自分の判断ですね。

学とみ子
気まぐれぺルドンさん、ご紹介ありがとうございます。
読んでくれる人が増えればうれしいです。

医学も病気もわからないことだらけですね。
ですから、誰でも最後は自分の判断です。そして、後悔しません。
そのために、皆、情報を仕入れますよ。

自身が正しいと思ったことが間違っていたら、皆、あきらめます。
病気の初期には、専門家の判断が間違えることがあります。

専門家ほど、わからないと言いますよね。
過去の知識からではわからないという状況を、理解することが大事と思います。

中国武漢で、コロナウイルス感染が、どのような経緯で再発するのか、あるいは治ってしまうのか?は、注目です。
都市閉鎖をしても、結局、人はいつか、今回のコロナウイルス種にはかかるのかもしれません。
米国のヒスパニック系では、すでに抗体保有者が半数を超えたと報道されました。
これでヒスパニック系の感染が起きなくなれば、理論どおりです。
数年かかって、コロナウイルス感染は普通の風邪になっていくストリーです。

武漢のコロナウイルス感染で一人っ子の娘を失った母親の嘆きが報道されています。
中国の母の嘆きは、広く、世界に発信されると良いです。
中国の科学はすごく進んでいるので、科学から国の情報公開が進めば良いと思います。
コロナウイルス感染の悲劇も、中国の情報公開の突破口となってほしい。
中国には、もう、そうした大国の包容力を示しても良い時期ではないでしょうか?

学とみ子は、政治的なことはあまり良くしりません。
又、いろいろ教えてください。

紹介しておきました

気まぐれぺルドン
例によって、断りなく当方のコラムに紹介・・掲載料は払いません。
もし掲載料を払いたいと言う熱望がおありでしたら、考慮します・・・
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