クローン病の原因は、特殊な大腸菌?人の病気と腸内細菌はもちつ、もたれて、時に病気と関係

昨日、紹介したGastroenterology慢性腸炎特集号 に、クローン病の原因解明に関する学説が紹介されていますので、もう少しこの病気に関する情報を提供してみます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3%E7%97%85
 
現在も、多くの原因不明の難病がありますが、慢性腸炎もそうした病気の一つです。慢性腸炎の代表的な病気は、潰瘍性大腸炎、クローン病ですが、厚労省は、原因不明の難病に指定しています。
 
ウキベディアのクローン病の説明は、次のような病因説が紹介されています。
1)遺伝子異常が背景にある。
クローン病のかかりやすさは特にNod2 (IBD1) の機能欠損多型やHLAの多型により影響を受けるが、日本人ではNod2との関わりは明確ではない。
2)2007年、リバプール大学のJon Rhodes教授らが、結核菌の仲間の菌Mycobacterium avium subsp paratuberculosis (MAPと略)が、クローン病を引きおこしている可能性があることを発表した。
 
今回、このブログで紹介する今年の専門誌Gastroenterology特集号の報告は、日本語ウキベディアに記載された後と思われますので、クローン病に関する記述は異なっています。Gastroenterology特集号では、MAP原因説は、確証はないと否定的でした。(医学界にも、激しい競争がありますね)
 
原因不明である難病を有効に治療するには、まず、原因の究明が先決です。今回、Gastroenterology慢性腸炎特集号には、現時点での慢性腸炎の発症機序が書かれています。人の難病の究明には、多くの因子を考慮しなければならないということを教えてくれます。つまり、ひとつの難病の解明は、他の難病を解明するヒントを提供することが多いです。クローン病を例に、病因を組み合わせていくことを学びましょう。柔軟に多方向に考えをめぐらす必要があります。
 
一般的に、原因不明な病気が目の前にある場合、まず、病原体さがしから始まります。細菌であれば、抗生剤が効くことがありますので、試しにいろいろな抗生剤をためしてみたりします。クローン病の場合は、抗生剤が効いたようでもあり、効かないようでもあり、はっきりしない・・・というのが現状です。さらに、研究者は、次のように考えを展開させていきました。
 
病原性が無いと考えていた細菌(あるいはウイルス)が、実は病原性を発揮しているのではないか?
特定の遺伝子背景のある人に発症しやすい。免疫細胞になんらかの遺伝子異常があり、病原体の増殖を許してしまうのか?。特定の弱毒の腸内細菌が増えているのか?
第一ヒット、第二ヒット、第三ヒットと、腸内イベントが続くと発症してくるのか?

遺伝子異常に関しては、ウキベディア同様に、関与が指摘されています。その代表はNOD2遺伝子異常です。双子の一方が発症すると、もう一方も発症する確率を一致率といいます。遺伝子が同一である一卵性双生児では一致率が高く、遺伝子の異なる二卵性双生児では一致率が低下する場合は、病気の発症に、遺伝子が影響していると推定できます。
 
クローン病では、一卵性双生児の一致率が30%、二卵性双生児では3.6%、一方、潰瘍性大腸炎では、一卵性双生児で一致率15%、二卵性双生児3.9%です。

正常人では病原性が低い腸内細菌が住みつこうとしても、殺菌されてしまいます。ところが、遺伝子異常がある免疫細胞では、弱毒菌を殺菌できなくなります。
 
NOD2遺伝子からつくられるタンパク質は、免疫細胞が細菌を殺菌する時に働きます。この遺伝子異常をペア(一方は父、一方母からもらった染色体遺伝子異常がペア)であると、クローン病の発症が17倍に上昇し、シングルの遺伝子異常を持つと2.4倍に上昇するとの数値が示されています。
 
さて、クローン病の発症は、小腸を中心に多発性に腸に潰瘍を生じてくる病気ですが、若い働き盛りに多い病気です。その原因菌として、adherent-invasive Escherichia coli(AIECと略、英語の直訳では接着性侵襲性大腸菌)が推定されています。この菌が、クローン病では増えるのが、病気の原因ではないか?とのことです。この菌が、回腸(小腸)で増えますが、患者の回腸から36.4%、健康者では6%に検出されました。
この菌が、どのように病気を関係するかの学説は次のブログに書きます。
 
まず、図を先に載せます。これは、腸の粘膜の断面図です。青い部分は、上皮細胞で、黄色の部分は、粘膜の固有層と呼ばれる部分で、体の内部になります。腸管上皮細胞の外側に、紫色の腸内細菌がいます。鞭毛をもっていて、活発に動いています。ふつうは、腸内細菌は、外にいて、粘膜の内部には入ってこれません。上皮細胞は、青い色のコイル状のセンサーを突き出して、見張っているので、菌を内部に入れないのです。それが、破たんしていまうと、慢性腸炎が起きてきます。
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