桂報告書の示したもの

以前に、多田教授の説明を引用したことがありましたが、専門家の認識では、ES細胞は、他の臓器細胞とはまったく異なる質の細胞です。

ES細胞とSTAP細胞は、核、細胞質の構造、言ってみれば細胞の全ての構造が異なるものです。エピジェネチィクスの違いどころではありません。

STAP細胞は、酸浴という刺激だけで、ES細胞様に ”多能性を維持したまま増殖(自己複製)する” という部分が、専門家にとって画期的であると同時に、科学的疑問だったのです。

ですから、ES細胞ではないか?の疑問が科学界わきあがりました。

そして、理研の専門家は、ES細胞のコンタミを疑い、そこを確かめるために、NGS解析を行いました。

そして、専門家である理研の調査学者たちは、ES細胞のコンタミが疑わしいと結論しました。
ES細胞とぴったりな遺伝子構造の細胞を証明しました。


STAP実験で登場するES細胞で、一番大事なものはFES1と呼ばれたES細胞です。
STAP事件において、FES1細胞がES混入疑惑の焦点です。
この細胞が、キメラ、テラトーマにも入っていました。

FES1には、同時に同一実験者によって作られたFES2という細胞があって、この二つのES細胞は本来、極めて類似しているはずですが、両者の遺伝子構造が大きく変わっていました。

ここは謎のひとつですが、謎のままで、次に進みます。


理研で調査した学者たちは、親の系統は同じで、そこからそれぞれに変化した FES1,FES2 の両細胞の遺伝子DNAの並びを比較しました。


遺伝子構造の異常は、親マウスが持っている場合、ES細胞ができる時に生じる場合、細胞培養を継続していく間で生じる場合など、さまざまな塩基の違いが生じます。

ですから、そうしたDNAの違いを比較することで、その周辺のある細胞同士が近いか、遠いかがわかります。
近いか?遠いか?を考える事は、どちらがどちらの細胞からできてきたか?を考えることです。

二つの細胞がとても近い場合は、全体のDNA配列がとても良く似ていて、かつ、親由来でない変化を、二つの細胞が共有しています。

こうしてNGS解析で調べたところ、STAP幹細胞、FLS,CTS は、FES1より、持ち主不明細胞の129/GFP ESの方が類似性が高い結果になりました。
持ち主不明細胞の129/GFP ESは、FES1から派生した株です。
何度も凍結融解を繰り返すことで、FRS1から129/GFP ESが生じたと考えられます。

つまり、実際に、STAP実験中に混入したのは、129/GFP ESでした。
STAP実験において、Oct-GFP細胞を扱って実験をしているうちに、129/GFP ESが混入してしまい、培養を重ねていくうちに、Oct-GFP細胞は、129/GFP ESに入れ替わってしまったのです。
これは、桂報告書に明記されています。

キメラ、テラトーマは、NGS解析はできなかったので、ESの混入はFES1までのレベルまでしか調べられませんでした。

STAP事件の謎は、実際にコンタミしたと思われる 129/GFP ES には持ち主がいないという部分です。

もう一つの謎は、FES1,FES2のDNA構造がなぜ、これだけ違うのか?の疑問です。

単純に考えれば、「マウスコロニーの中に、いろいろな遺伝子構造の違うマウスがいたから」 でも答えになります。
この説を採用してしまうと、若山研究室のマウス遺伝子はめったやたらだった!です。
これでは、若山研究室に申し訳ないです。

FES1,FES2のDNA構造がなぜ、これだけ違うのか?は謎です。

しかし、このFES1,FES2があることで、その他の関連細胞の近縁関係がはっきりしたのです。
一番の利点は、上記で示したように、実際の実験で混入したのは、FES1より129/GFP ESの方だったということです。

そして、FES1は、2005年ごろにできた各種のES細胞の背景となるマウスの遺伝子状態を反映していないこともわかりました。
ここも不思議なことなのです。



もうひとつ大事な事ですが、STA細胞の持つ多能性の能力と、ES並みの自己複製能とは別に考えることです。

STAP細胞が、ESと同じになる必要はありません。
遺伝子構造の変化した特殊な細胞では、無限の自己複製能を持ちます。
生物学は、科学や物理とは違って、ある細胞だけに特殊に起きる現象や反応というのがあり、他の細胞では再現できません。
ここを抑えることも重要です。

[ESから作られたマウスからSTAP細胞を作ったら、DNAがぴったり一致]

です。STAP細胞に多能性が獲得されていたら、129/GFP ESとぴったり一致のSTAP細胞は作れます。



過去にも似たような記事をあげているので、参考までに記します。

FES1 FES2を比較をすることで、いろいろわかったことが多い。 2020/12/14


理研の調査委員会は、STAP細胞はFES1の混入と結論づけたものの、後追いDNA調査では確定できない不明点が残る事を明記したかったのだろうと思う。2020/11/24
https://katura1.blog.fc2.com/blog-entry-1407.html




おまけ
Dさんは、学者特有の傲慢なキャラの人なんだろうな。図々しいのも、科学者特有。自信過剰で、自身が犯している違反は見えない。オホホポエムと同じメンタリティだ。世の中の人は、Dさんが考えるより賢いぞ!悪巧みなんて通用しない。Dさん自身にダメージになる前に、個人情報暴露をやめよ!

匿名の科学者のブログの中には、
奢ってはいけない!
謙虚にあるべき!
なんて、自戒、自制の念が書かれたものがあります。

研究界の人って、そういう危ない面があると思います。世間一般と付き合ってない。やっぱりさんもそうした奢った人だった。Lさんはずっとましで、Lさん内部でカモフラージュしてるけど、研究者の奢りは隠せない。

でも、Lさんの存在感は絶大だ。みな、優しくされるとヨレヨレだ。羨ましいなあ。学とみ子の事もけなさないで、誉めてくれたらなあ。ため息さんより、ずっとましなはずなのになあ~。

臨床医のブログには、そうした奢りは少ない。臨床医は、常に一般人と付き合っていて、人の強さと賢さを感じ取れるから。

Dさん、自身が偉いと思っているなら、業績一覧、受賞歴一覧を広げて披露してみたらどう?

もし、そうしたものがあるなら、学とみ子個人情報暴露活動によって、今までのキャリアアップが台無しですよ。


今朝のため息さんコメントです。

何の迫力もないですね。反論ができてません。

>FES2はSTAP幹細胞やテラトーマと関係ないのだからFES1とFES2の一部染色体の一部が異なっていても問題する意味はありません。


澪標さん、
2020年12月20日 11:47 AM
澪標さんは、なぜFES2が必要なのか?わかるでしょう?ため息さんに教えてあげてください。
澪標さんとplusさんで議論すれば、帯に短し襷に長しは解決します。L虎降臨するかも。でも、FES2問題がわかると、桂報告書の真意も理解することになります。


ため息さんです。

>「FES2が先(古い)に作られた」

近交化されていないマウスだと、何も言えません。マウスは欠失無くても、ESを作る時に生じる欠失の可能性もあります。

2010年の若山研究室マウスには欠失ないです。親マウスに生じた欠失ならば、その染色体をもらったマウスは、欠失です。大きな欠失は、減数分裂で生じやすいのですよね?

ES細胞ができるときの欠失なら、そのESから作ったらマウスは欠失を持ちます。

FLS、CTSも欠失です。129/GFP ESから4Nマウスを作り、そこからSTAPができたら欠失があります。

ただし、今回は、Oct-GFPマウス由来STAP細胞が、生存力の強いコンタミ129/GFP ESにすりかわったというストーリーです。
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