女性ホルモン療法による肺がん死亡率の上昇

プラセボ群よりも、ホルモン補充療法群(エストロゲン+プロゲスチン併用)で、肺がんの発症に違いがあるかどうかを検討した論文の紹介です。

ホルモン補充療法は、女性の肺にも危険であることを世界に知らしめました。アメリカの40施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化試験で、1993~98年に、50~79歳の閉経後女性16,608例を対照に、ホルモン補充療法を行い、この治療が女性たちに与える影響について検討したものです。詳しくは、過去ログ(エストロゲン・女性)をご参照ください。

方法は、結合型ウマエストロゲン0.625mg+酢酸メドロキシプロゲステロン(黄体ホルモン)2.5mg(合剤)を1日1回投与する群(8,506例)、あるいはプラセボ群(偽薬)(8,102例)に、無作為に割り付けました。年齢分布は、ホルモン補充療法群は、50-59歳2837人33.4%、60-69歳3854人45.3%、70-79歳1815人21.3%、一方、偽薬群は、50-59歳2683人33.1%、60-69歳3655人45.1%、70-79歳1764人21.8%でした。両群に差がありません。白人の占める割合は、両群とも85&、喫煙状態は、両群ほど同頻度で、非喫煙約50%、元喫煙40%、喫煙10%でした。喫煙機関は、30年未満が約65%、30年以上は約35%で、両群に差がありませんでした。
 
この研究では、試験期間中に、肺がんと診断された女性をフォローアップし、さらに試験期間が終了した後も、女性たちを追跡して解析を行いました。試験期間中および追加フォローアップして、全肺がん、小細胞肺がん、非小細胞がんの発症率を検討し、さらに死亡率について解析しました。

平均試験期間5.6年および平均追加フォローアップ期間2.4年の時点で肺がんと診断された女性は、併用ホルモン補充療法群が109例(年間発症率:0.16%)、プラセボ群は85例(同:0.13%)でした(ハザード比:1.23、p=0.16)。
非小細胞肺がんの発症率も、併用ホルモン補充療法群は96例(年間発症率:0.14%)、プラセボ群は72例(同:0.11%)でした。(ハザード比:1.28、p=0.12)。

年間の肺がん死亡率は、ホルモン補充療法群(73例、0.11%)は、プラセボ群(40例、0.06%)よりも有意に高い結果で、(ハザード比:1.71、p=0.01)となりました。

この結果は、主に非小細胞肺がんによる死亡率の差によるもので、ホルモン補充療法群は62例(0.09%)の死亡率であり、偽薬群は 31例(0.05%)の死亡率で、ハザード比:1.87、p=0.004]でした。一方、小細胞肺がんの発症率および死亡率は両群で、ほぼ、同等(ホルモン群は1.16倍)でした。
 
ホルモン補充療法群で肺がん死となった人は、喫煙をしていない人は9人、過去に喫煙していた人は32人、現在も喫煙している人は30人でした。
一方、偽薬群は、喫煙をしていない人は4人、過去に喫煙していた人は16人、現在も喫煙している人は20人でした。
ホルモン補充療法群は、偽薬群と比較し、非喫煙者では、肺がん死は2.09倍、過去の喫煙者では1.89倍、現在喫煙者では1.5倍でした。

ホルモン補充療法群は、非小細胞肺がんによる死亡率を増加させると結論されました。
Lancet. 2009 Oct 10;374(9697):1243-51. Epub 2009 Sep 18 19767090
 
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