「捏造の科学者」論評を続けます。
今日は、須田著書「捏造の科学者」前三分の一当たりの107頁を開いた。
すでに引用した著書部分は、あまりにおどろおどろしい内容の後半であったので、 著書前半はもう少し、ましだろうと思って開いてしまった。
そうしたら、さらにおどろおどろしかった。 そして内容がせつない。
ここのページでは、若山研究室の人々が登場する。
若山研究室の証言は、桂報告書にも書かれているから、若山研究室の何人かは小保方氏に好意的でないことはわかっている。
須田氏はすでに、若山研究室に何回も来れているようで、若山氏およびその研究室メンバーをいろいろに取材できている。
なぜ、そのようなことができたかの詳しい経緯は書かれていない。
事件はすでに起きていたのだから、マスコミ代表須田氏の来所及び取材については、若山研究室も神経を使っていたであろう。
「捏造の科学者」を紫字で示す。107ページです。
若山氏によれば、万能性と増殖能を併せ持つ幹細胞は、小保方氏が若山研に来た当初から作りたいといっていたものだという。
確かに、小保方氏に幹細胞のイメージはあったと思うが、この時点で、その幹細胞の有用性のイメージを強く持っていたのはベテランの若山氏であろうと思う。
「あの日」には、小保方氏は、幹細胞作製を目的としていたとは書いていない。
小保方氏は将来の臨床応用という視点をもっていたであろうから、小保方氏の気持ちを若山氏が代弁したともとれる。
しかし、結果的には、この須田さんが受け取った理解は、小保方氏が幹細胞づくりをめざしていたとの誤解を生む元となった。
STAP疑惑は、多くがキメラ、幹細胞にかかわる疑惑であったからだ。
さらに、「捏造の科学者」を読み進めると、若山研究室の人々が何を言っていたが書かれている。
マスコミ代表として探りにきた須田氏に、研究員の誰かが、いろいろしゃべってしまっている。
後になり、須田記者に書籍まで出されてしまったのだから、困った人々はむしろ、ここにもいるだろう。
小保方氏に対する生の証言として、須田著書に書かれてしまったのである。
ここを読む一般読者は、小保方氏の研究環境は望ましくないものであったことがよくわかる。
須田著書「捏造の科学者」が発売になった当時は、STAP擁護派から出版停止の要請があったようだが、言論の自由の旗のもとで、出版中止は叶わなかった。
ですから、後の時代になって、この本の問題点と矛盾を指摘するのも、言論の自由として正当であることになる。
マスコミの人は、ある程度にSTAP擁護派から追及されてもしかたないだろうが、若山研究室には、事件の経緯を随分心配していた誠意ある人たちもいたであろう。
さらに、時代が進めば、現場を知っていた人達が生の声を聞かせてくれる日がいつかくるかもしれない。
マスコミ取材内容の正当性は、証人、証言の持続性ではないのかな?
後の時代になって、再度の検証が行われても、以前の取材内容がひっくり返らない報道の維持である。
STAP事件で、それが可能なのか?
後になると、証人がいなくなるような取材しかできないなら、マスコミは、それだけのクオリティでしかない。
大手マスコミなら、積み重ねた知識部門、経験ある記者たちがいるはずだが、毎日新聞には、そうした機能が働いていたのだろうか?
一流新聞社は、少数記者が取材したSTAP否定を真実であると決めつけて報道していたのだ。
そうした経過が、捏造の科学者には良く書かれている。
今日開いたの108ページでは、若山研究室員が小保方氏情報を須田氏にさずけている様が書かれている。
小保方氏に対するネガティブな情報がある。
若山研究室内で、仲が悪い同士とかはしかたないにしろ、教室が危機にひんした時、内部情報を外に出す時は、研究室員皆、慎重になっているはずだ。
こうした場では内部の人間同士、お互いをかばいあい、隠し合うのか普通だ。
それぞれの研究員は、自分自身が疑われないよう、他人を疑わないようとの言動をしっかり守るのが筋だろう。
誰かが他人である誰かのねつ造の疑いを証言したいなら、悪口にとどめず、相当の覚悟をもって状況証拠を証言しなければならない。
特定の誰かを中途半端に批判をすることは、まずいのではないのかな?
「捏造の科学者」は以下である。
この間、小保方氏がSTAP細胞を作製する様子は、若山氏を含め研究室メンバーの誰もみたことがなかったという。小保方氏は若山研で、できた細胞の万能性を確認するため、マウスの皮下に移植し、さまざまな組織の細胞が詰まったテラトーマと呼ばれる奇形種を作る実験もしていたが、その様子も誰も見ていない。同じ研究室なのになぜ、という疑問がわくが、若山氏によれば、それには二つの事情があったのだという。この二つの理由というのは、小保方氏がマニピュレーター作業をしていない事と、小保方氏は若山研究室から外に出ていることが多かったとのことだ。
小保方氏がひとりで人に見られないように実験をしていたという情報である。
それぞれの実験室にいた研究員各人は、まず、自分の身を守るだろう。
研究員自身が、ES混入を疑われないように言動を気をつけていた。
そうした根回しがあったかもしれないが、 「一人で実験していた」 情報提供は問題がありすぎる。
心無い行動であったと感じる。
桂報告書にも 「一人で実験していた」 の状況が書かれているが、こうした公式の調査では、やむを得ないところがある。
しかし、マスコミへの情報提供は、社会的には、興味本位として取られる。
さらにこのようにも書かれている。
加えて、研究室に通う時間帯も、小保方氏は他のメンバーと少しずれていた。・・・・小保方氏は夜遅くまで実験することが多かったが、朝の出勤時間は一定ではなく、昼からでてくる日もあったという。
・・・・
ただし、発表用の資料の作り方は、他の人と少し違っていた。日付もなく、一つひとつの画像の説明もかかれていないことがほとんど。後に不正と認定された博士論文と酷似するテラトーマ画像は、発表用資料でも使われたが、その際も、実際に使った細胞の由来や付帯的な作成方法は一切、記されていなかった。
しかし、若山氏は、小保方氏の発表はほめることはあっても、資料の不備を指摘することはなかった。
「それまで見たこともないデータがポーンと出てきて、しかもそれがきれいな写真なので、こんなきれいな写真が出てくるなら、ちゃんとした裏付けがあり、確信がもてるまでなども実験しているんだろうと思っていました。」
須田氏は、この話をどのような状況で、研究員から聞いたのだろうか?
複数の人が同じ証言をすると信頼性が高いだろうし、その数が多いほど証言の精度が上がる。
須田氏への情報提供は、複数なのか?個別なのか?は、「捏造の科学者」には書いていない。
証言の詳細はわからないが、複数証言であれば、その人たち同士で相談をしたりしなかったのか?
研究室員の不審な行動は、研究室にとって最大の関心事ではないのか?
マスコミにだけ、小保方氏の問題行動を話すという状況は考えにくいのである。
研究室において不審行動に気付けば、実験者たちにとっては他人事ではなく、対処しなければならない。
なぜ、そうしたことは起きなかったのか?
STAP擁護派は、こうした事件の成り行きに疑問を感じる人たちである。
研究仲間の不審な行動を感じたら、共同実験を一旦中止して、状況を見なければいけないのではないだろうか?
しかし、そうした確認作業があったとは、須田著書には書かれていない。
さらに小保方氏の問題点は、語られていく。
・・
小保方氏は、議論中に突然、怒り出すことが時折あったと言う。
「今から思えば、小保方さんが知っているべきことについて指摘されたときが多かったような気がします」とある関係者は話す。
この関係者は、後に若山氏が論文撤回を呼び掛ける理由のひとつにもなったSTAP幹細胞に残る遺伝子の痕跡(TCRの再構成)に関するやりとりが、特に印象に残っているという。
TCR再構成は、STAP細胞がリンパ球からできたことを示す証拠で、STAPからつくったSTAP幹細胞に当然、みられるはずだった。2012年の中頃、八株のSTAP幹細胞について研究室のメンバーが調べたが、遺伝子の痕跡はどの株にもみられなかった。
「ところが小保方さんが、翌週にもう一度調べたら、数株でうっすらと痕跡が見えたんです。小保方さんはその結果をプログレスリポートで発表しました。」
若山氏は、STAP細胞を塊のままでなく、ばらばらにしてからSTAP幹細胞に変化させれば、はっきりした遺伝子の痕跡をもつSTAP幹細胞ができるのではーーとアドバイスした。
「そうしたら小保方さんは、{そんな大変なことができるわけがない}と怒りだしたんです。」
この関係者なる人が若山研究室員かどうかは、「捏造の科学者」には書いていない。
しかし、この話はおかしな話だ。
今では、小保方氏はSTAP幹細胞をつくっていないことを誰でも知っている。
小保方氏が幹細胞のTCRを調べたと言うなら、そのDNAサンプル(あるいは細胞)はだれかから渡されているだろう。
それにTCRがあったというのはどういうことなのか?
しかし、TCRに熟知した笹井氏、丹羽氏のシニア研究者からの疑問を、小保方氏はしっかりクリアできている。
小保方氏がおかしな行動をしたとは、笹井氏、丹羽氏は思っていないのである。
小保方氏が行ったとする実験について、説明できないようなおかしな結果があるなら、笹井氏らがそこで気付かないはずがない。
笹井氏も丹羽氏も、T細胞の動態は良く知るから、この二人の専門家から、小保方氏からいろいろ聞かれているだろう。
TCRが証明できたという実験についても、話し合っている。
そうした席上で、小保方氏の説明におかしなことがあったら、シニア研究者は気づく。議論が始まることは必須だ。
実施にはそうしたことが起きていないのだから、小保方氏の説明に矛盾はなかったのである。
笹井氏も指摘するように培養を繰り返した細胞にT細胞が生き残る可能性は理論的に低い。
特に今回はES用の培地なのだからT細胞生存には不適当だ。
小保方氏は、「あの日」でも、笹井氏と丹羽氏が難しい議論をしていたと記述している。
これは、おそらくTCR議論である。
そこで、小保方氏はおおいに学んだと、「あの日」に書いている。
当初のSTAP実験に関係した学者は、TCRに詳しくなく、T細胞の生存についても議論をしていないと思われる。
彼らは、TCRは、D2J2で見られる遺伝子の変化であるとの認識のようである。
上記の議論でわかるように、若山氏も、幹細胞になってもTCRが残っているはずと思っていたようだ。
恐らく、当初の小保方氏も、若山研究室における議論を通じて、他の研究者同様に、TCRは短い遺伝子領域の変化ととらえていたと思う。
それが、笹井氏、丹羽氏との議論を通じて、TCRの本態を把握したのではないのかな?
須田記述を読むと、小保方氏が主体的に幹細胞を作っていたかのように書かれている。
ここは、2年後の「あの日」の記載とは全く異なる。
幸いなことに、桂報告書では、幹細胞の作製は、小保方氏はしていないと書かれている。
しかし、須田氏が若山研究室を取材した時には、小保方氏は幹細胞の作製もしていたと須田氏は認識している。
須田氏は、そのような説明を受けていたと思われる。
当ブログでは、STAPのような微妙な細胞を扱う共同研究において、ねつ造はできないとしている。
おかしな行動をする研究員がいれば、複数の人の目にふれるのは必須です。
その時点で、研究者なら皆、共同研究から手を引く。
後から、実験に加わらなかったシニア研究者が論文作成に参加しても、おかしな実験の経緯を見逃すことは無い。
TCRについても、議論を重ねたはずである。
ねつ造者に加担するようなことは誰もしない。そこはすごく神経を使っている。
一流の学者が参加する共同研究で、新人がおかしな行動を行ったり、おかしな説明をしたら、チェックが入る。
笹井氏の説明も、丹羽氏の説明も矛盾するものはない。
小保方氏がGRASにサンプルを持ち込んで、その結果がばらついていても、共同研究者は論文参加を続けている。
小保方氏の行動に不審な点がないからです。
晴れて論文がアクセプトされ、その発表の場に主要著者らが全て顔をそろえた。
この事実は重要である。
そして、論文撤回する時も、本来なら、著者らは顔をそろえるべきであった。
再現実験をするなら、オリジナルの実験者が参加すべきである。
ESねつ造を否定する一般の人たちも、そうした常識的な考え方をしていると思う。
ため息さんです。>TCR再構成のあるT細胞が酸浴とかストレスで初期化されたのが事実であったら、免疫の専門家は人工培養でも生存するだろうと考えていて、学とみ子が気になったのは、ここの文章です。考えたのは誰なんですか?
免疫の専門家は、生存するとは考えないと思います。ため息さんが考えたのでしょうから、主語をそう書くべきでしょう。
もし、”免疫の専門家は人工培養でも生存するだろうと考えていて”なら、文章そのものが間違いです。
初期化(初期化蛋白の合成)と、ES用培地でのT細胞の生存は無関係です。
STAP論文は、酸浴したらT細胞がESと同じになったという研究ではありません。
ため息さんは書いています。既に、学とみ子が説明しても、全く頭に入ってなくて、同じ屁理屈を繰り返しています。
”免疫の専門家は人工培養でも生存するだろうと考えていて”
これは、
”免疫の専門家は人工培養でも生存するだろうと考えていると、私(ため息)は想像するが”
と書くべきと、学とみ子は主張しているが、ため息さんはわからない。
ただ、以下のようにため息さんは考えるだけ……。
ため息さんです。
>これが理解できないのはとみ子の日本語能力がめちゃくちゃだからです。
ため息さんは、ES細胞、iPS細胞、STAP細胞の違いをイメージできない。TCRも理解できない。そうした自らを反省できずに、STAP擁護をする人を否定する。STAP科学は、専門性が高く、とてもため息さんの手におえない。
専門家とする学者が多く間違った!
確認しておいて欲しいが、当ブログは、免疫の専門家が間違ったと言ってない。
ため息レベルの学者は誤解したということだ。一部の免疫学者は、非専門学者が誤解するような言い方をしたと感じる。
免疫学者たちの解説を正しく理解できないレベルの学者たちが、STAP潰しをしたと言うことだ。
ため息さんです。>誰が読んでも専門家でしょ。日本語の意味ではそうなっても、専門家はそんなことを言わないと思う人は、ここは主語が違っていると感じるのです。
だって、ためいきさんは、そういう細胞の違いを分けることができないのだから、間違いを書くのは日常的です。
この人の誤解は、これからも永遠に続くと思う。
いくら、状況証拠を出しても、ため息さんの頭に入らないのだから、どうしようもない。
以下のコメントは、興味深いです。
ため息ブログメンバーは、皆さん繋がっていて情報交換しているのでしょう。お互い、どこの誰かがわかっているのでしょう。
sigh
2021年8月16日 8:59 AM
業務連絡
>Dさんへ
自治体に届ける機関の構成員とその機関が発表している構成員とに乖離があるのは、この場合しょうがないようですね。特に非常勤構成員は流動性が高いので。
ご自愛ください。お大事に。
このコメントは数日で消去します。一研究者ブログのもくれんさんが、上記コメントに言及している。
4067. もくれん 2021年08月16日 18:26
(sigh:2021年8月16日 8:59 AM)
>ため息氏は、とうとうD氏のコメントを承認しなかった。
>D氏のコメントの内容は、これまでの経緯から容易に想像できるのでその処置は当然だが、業務連絡とは笑わせる。
なるほど・・・、やっぱり、もくれんさんの勘は優れている!
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