STAP事件と違って、ウクライナ戦争では、専門家は黙して語らずということはない。

本屋に行くと、戦国時代のような過去の時代に、どのような戦略が立てられたか?について図解している雑誌が結構、目につく。

他にも過去の戦争解説の資料と言うのはあちこちにあって、長野の方が行くと、高速道路のサービスエリアにそうした戦地地図なるものがある。信玄と謙信の闘いの配置図なる石組があったりする。戦争映画もしばしばヒットしているし、歴史や物語で戦争が語られてきた。

人々は、色々な機会で戦争を学ぶわけだが、戦前や過去の戦国時代ならいざ知らず、高度に文明の進んだ今、近代化されたビルが砲撃される場面が、テレビやネット動画に写し出されるとは、人々は思わなかった。

武器で領土を勝ち取る本物の戦争が起きてしまった。武器で脅して、政治家を拉致し、領地を奪っていく行為を目の当たりにした。それをやっているのが世界の大国ロシアである。

殺人や略奪行為が正当になるのが戦争なんだなとわかる。
こうした強権で脅すトラブル解決をいまだ、人類はつづけているのだ。

一般的に女性は戦争の仕方について、興味が薄いが、今度のウクライナ戦争を見ていると、誰もが考えておかないといけないと感じる。自らでどうするかを判断できるために、普段から考えておかなければならぬことが多くある事に気づかされる。

権力者が、メンツのかかる思いこみをしてしまい、それを実行されてしまうと、一般人は大変な被害を被る。

権力の無い一般人に何が出来るか?、権力者の愚行を思い止まらせるために、一般人が何が出来るか?をいろいろに考える。

人の間で起きる戦いを回避をするには、権力の独占というものを避けていく工夫が必要であると思う。

人がいくつになっても、歴史を学ぶことは大事であると思うし、今は、そうした状況に恵まれている。
NHKのニュース番組を見ると、防衛省の専門研究員とかが登場して、解説を行うが、その兵頭氏によると、ロシア軍はちゃくちゃくと戦略を進めていると解説するので、聞くたびにがっかりさせられる。

NHKは、CNNやBBCの論調とは違う。
兵頭氏本人はそうとばかりをおもっていないであろうが、秀才たちは余計なことは言わない。
兵頭氏は、立場上、機密事項をしゃべらず、できるだけ単純化しているのではないかな?

東欧というのは、遠い国と感じる人が多いと思う。
学とみ子も知識は持たない。だからこそ、とても新鮮にニュースを聞いている。
いづれにしろ、学者さんたちの解説を聞くことはとても大切なことだと思う。
とにかく、STAP事件と違って、ウクライナ戦争では、専門家は黙して語らずということはないのだから・・。


日本記者クラブの講演会で、ウクライナ問題についての講演が動画配信されていた。
講演者は、小泉悠氏である。

講演した小泉悠なる人の名は初めて聞くが、小泉悠氏は、若い時からのプーチンの書いた論文を読みあさったという部分に、学とみ子は興味をもった。

兵頭氏の経歴を見てもわかるが、とにかく、専門家たる人は、過去のプーチン資料を読み漁る作業は、研究に必須の作業だろう。

歴史、政治問題を語るには、とにかく文献、記録、論文、過去の考察を読み漁ることが必須だ。

小泉悠氏は、プーチンのKGB時代からの人となりを話しているのだが、そこが興味深い。
プーチンの考え方を知るには、ロシア語でアクセスをして、プーチンの書いたものをそのまま読まないと得られない手応えなのだろうと思う。
小泉悠氏は、ロシア語が得意とのことだが、ウイキペディアによると、妻はロシア人で、そりゃ有利だわな!と思う。

小泉悠氏によると、プーチンはアメリカ一極集中状態に対抗意識がとても強く持つ人なのだろうということだ。
そして、プーチンは、ロシアが国際政治の世界で強い指導力を発揮したいと望む人であり、着々とそのための準備を進めてきたと小泉氏は話す。

かつてソ連はその米国とわたりあえる大国であった。

しかし、経済の混乱からソ連崩壊が起こり、東欧諸国が西側になりNATOに加盟してしまった。
かつて、ソ連の領内であったはずのウクライナ、ベルラーシも独立していってしまった。
つまり、プーチンは、ここを元に戻し、かつての栄光ある大国をめざしているということだ。

そして、小泉氏によると、プーチンのやり口は、とにかく、言い訳を用意するとのやり方だ。相手が問題行動をしているから、そこを修正するとの論理で、プーチンは事を進める。シリア介入でも見られたように、戦争への介入には、国際的ないい訳を用意するとのスタンスにプーチンは立つのだと、小泉氏は話す。


今回のプーチン進攻の大義も、ウクライナ内で虐待されているロシア人を救い、ウクライナにおけるネオナチの脅威からウクライナ人を救うというものであった。

しかし、ロシアは初期戦略には失敗した。初回で大規模空爆をして陸軍の投入につなげるべきところを、そうした戦闘形態をとることができなかった。

チェチェン進攻やシリア戦争とは異なり、同じスラブ民族同士で無差別攻撃をし合う羽目となった今回のウクライナ戦争は、プーチンの計画どうりには進まなかった。ウクライナ居住者が、自らの土地に強い執着を持つ場合、そこを武力で制圧するには強く多数の軍隊が必要なのだと言う。それには、今のロシアの兵力では足りないと言う。

プーチンは、ベルラーシを傀儡政権としたものの、細かいところでは属国化できてないこともある。ルカシェンコ大統領は、戦争にならぬよう微妙な外交路線を取っている。
プーチンは、ルカシェンコ政権にもっともっと、ウクライナ征伐に協力させたいと思っているのだろう。

プーチンは、こうしたかつての領土を取り戻して、大国ロシアにするために手段を選ばなくなったのだろう。
プーチンは、その目的を遂げるために、世界の動き、特に米国とNATOの動きをずっと追っていた。
2008年、ジョージア紛争、クリミア紛争でも、NATOは干渉してこないことをプーチンは確信してきた。
また、昨年のアフガニスタン問題でも、米国の対外紛争地域からの撤退姿勢を、プーチンは確認していた。
そして中国とは一帯一路政策で、中国の協力を取り付けた(今回の国連安全保障理事会ではロシア制裁に中国は棄権した)。

講演の後に、記者からの質問に小泉氏は答えていたが、今後の戦況についての質問が多く、ここは講演者の得意分野ではないだろうと思う。なぜなら、プーチンの個人的思考の変化など予想できる学者はいないし、所詮、部外者にすぎない。

小泉氏の得意とする分野をもっと自由に語らせたら、記者も参考にできるのではないかな?プーチンの人となりをもっと突っ込んでほしかった。

だらだらと質問する記者もいて、質問の要領を得なかった。こうした複数の質問をされると、演者はそれぞれの質問をキープするスキルが必要だが、小泉氏は、あっけらかんとした性格のようで、質問者に毎回、2番目めの質問、3番目の質問は何?と聞き返していた。

メモもせず複数の質問を皆、覚えていてスラスラ答える人はやはりすごいと思う。




以下は、小泉講演とは離れる。
バイデン氏の慎重な姿勢ということが、プーチンの決意を招いたたという指摘があるが、そうした側面だけでもないだろう。バイデンの慎重さは、いざという時に、多くの欧州トップの同意を得られ易いということでもあるだろう。
そうした欧米トップの意思の統一を、プーチンは予想できなかったのだろう。プーチン考察による、「ウクライナにおけるネオナチからの解放論をロシアがめざす」という大義論も、欧米に一笑されただけだった。

結局、ウクライナの意志を、プーチンは見くびったのだろう。

アメリカファーストという思想をトランプも盛んに使ったが、そこに実態があるわけでなく、大国でいたい大衆の心をくすぐる政策にすぎないのだ。
言葉だけで大衆の人気取りができる謳い文句にすぎないのだ。
世界の警察官を米国が放棄した時、日本のこれからも割れに割れていくしかないのだと思う。
日本が唯一にとれる道は、一般人の知的レベルを高く保っていくことしかないように思う。
トランブ氏のように、自分自身を自慢する人、大風呂敷を広げる人は信用してはいけないと思う。
トランブ氏が大統領では、軍隊の制服組トップがついていかないと思う。欧州もNATOもトランプ大統領の米国では、共に歩むという政策決定はできないだろう。




小泉悠氏の講演をどのように聞いたかの感想は、それぞれの人により異なる。
以下のような、講演後の解説文もネットに載っている。


核限定使用もあり得る
名越 健郎 (時事通信出身)

 ロシア軍のウクライナ侵攻で、メディアで大活躍する若手専門家の小泉悠氏が、「プーチンの戦争」を明快に解説した。多くの識者がロシアのウクライナ攻撃はあり得ないと予測を誤った中で、小泉氏は昨年3月の兵力増強時から軍事介入は十分あり得ると分析。ロシアと軍事のエキスパートとして「Winner Take All」の貫録が出てきた。

 小泉氏は、コロナ禍で歴史書を読むようになったプーチン大統領が昨年7月に発表した論文で、「ウクライナは手違いで独立した」「西側の手先になり下がった」と属国扱いしたことに着目。開戦演説がゼレンスキー政権をネオナチ扱いしたり、核兵器開発をしていると決めつけたことの矛盾を指摘した。

 開戦から2週間を経た戦況は、ウクライナ軍の善戦でロシア軍の進撃が遅れ、クレムリンの誤算がみられるとし、「ロシアの中途半端で不可解な作戦」の背景に政治的な制約があったと分析した。

 今後の展開では、「総合力ではロシアが強い。航空戦力を投入し、キエフはいつかは陥落する」とし、ゼレンスキー政権は西部のリビウなどに移動し、毛沢東型のゲリラ戦を挑む可能性があるとした。

 ただし、凄惨な市街戦が進む中、兄弟民族であるウクライナへの攻撃はロシア社会に反発が出ると予測。情報統制にもかかわらず、異例の反戦デモやオリガルヒの戦争反対アピールが行われたとし、「ロシア国内で大きな支持はない」と述べた。

 プーチン氏が核抑止部隊に特別警戒命令を出したことについては、ロシアの核ドクトリンが戦局転換や他国の介入阻止で核先制使用を認めていることに触れ、「限定的な核使用がないとは言えない」との認識を示した。この部分の予測は、外れてほしいところだ。


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