米国民は、バイデン氏の判断をサポートするが、党派主義の分断状態にあるとしています。しかし、化学兵器などを使うような状況になれば、世論は結束するだろうとも。

この1種間で、ずいぶんと、ウクライナ戦争の展開が変化したように思います。

ヤフーニュースです。

今の日本の論調は、ロシアの兵力では、ウクライナに常駐してウクライナの抵抗を抑え込む力がないとしています。
CNNやBBCでは、早くからウクライナの善戦を報道していましたが、日本はロシア圧勝と伝えてきました。
やっとここへきて、最初の頃の論調とはずいぶんと違ってきています。


それなのに、最近になってもロシアの言い分は、以前と変わらず、あくまで戦争の主導権はロシアにあると言っています。
ウクライナの蛮行をロシアが正すという姿勢です。

[ロンドン 25日 ロイター] - ロシア国防省は25日、ウクライナにおける「軍事作戦」の第一段階はほぼ完了したとし、ウクライナ東部ドンバス地域の完全「解放」に焦点を当てると表明した。

プーチンもなんだか、「歴史ある大ロシアを、世界が意地悪で潰そうとしている!」と、愚痴のようなコメントを出していました。
大ロシアの全能の支配者の立場に一度、プーチンがなってしまうと、いつまでもそこにいられる!いるべき!と考えてしまうようになるのでしょうか?
自らの身をどう想像しているのでしょうか?名誉ある立場でいるためには、弱いものいじめをしてはいけないし、尊敬される慈悲の人であるべきなのに・・・・。



こうした状況で、今週金曜日に語られているジューディさんが司会するPBSニュースの討論会は、どう展開しているのかな?
前ブログ記事で、PBSニュースの金曜日に行われる大手新聞社、コラムニストDavid Brooks氏 (New York Times ) と Jonathan Capehart氏 (Washington Post)と、アンカーの Judy Woodruff さんの対談を書きました。

又、その討論会について触れます。

その今週版25日(金)です。

今回のタイトルは、Brooks and Capehart on Biden’s handling of the war in Ukraine, Supreme Court hearings

PBSニュース討論会における戦争への評価は、どう展開しているのかな?と思いきや、ウクライナ問題が討論された後、女性黒人判事任命のための公聴会についての話題に移ってしまい、むしろ、黒人いじめ問題で、討論者二人とジューディさんは盛り上がっていました。

こういう問題は、先の見えないウクライナ問題より、Brooks氏と Capehart氏 コンビはしゃべりやすい課題のようです。
Brooks氏と Capehart氏は、しゃべるために必要とされる時事問題や判決結果の知識をたくさん持っているのでしょう。
「(番組で話し合うための)時間はどのくらいあるんだろうか?」なんて、三人は冗談も言い合っています。

後半の話題の判事指名における黒人差別問題で、黒人である Capehart{ケイパート)氏は、有色人種のたゆみない努力を熱く語り、一方、白人のBrooks(ブルック)氏も「ケイパートさんの言葉に感動した!」などと言いながら、言葉につまっていました。
テレビ中継されたこの公聴会でのやり取りは、米国の黒人差別を象徴するようなやりとりがあったようです。
もっとも、公聴会というのは、大統領に任命された判事が、過去に行った判例にどのように向き合っているのか?を問いただすためのものでしょう。ですから、公聴会のやりとりを聞いている人たちは、黒人差別と結びつけて嘆くということになるでしょう。
この黒人差別問題は、米国におけるとても大きな社会問題であり続けていることがわかります。

最初に議論されていたウクライナ問題については、米国はある程度にめどがついてきたと見なしているようです。
今後のプーチンの動向に、マスコミ人の熱い視線が向くのでしょう。
ウクライナ戦争については、ブルック氏は以下のように言ってます。

ロシアの戦闘は陸軍タンクが中心だけど、今の戦争は、タンクを破壊する手段はいろいろあるし、ロシアの闘い方は問題あり、指揮系統もうまくいっていない。現場指揮官が評価できず、判断が生かせないようで、こうしたトップダウン型の戦略が問題だ・・・とブルック氏は言っています。

And they made three key points. First, we may be leaving the tank era. The anti-tank weapons now are very powerful at destroying tanks, in the way they didn't used to be. And Russia is a tank-based military. Second, apparently, the Russian tactics, they're not a learning organization, the way we thought they were. They're so top-down. The commanders on the ground and even local — the soldiers on the ground don't have the choice to make choices, to adapt to circumstances.




NHKニュースにおいても、ロシア優勢であるとの論評は影をひそめたようです。
しかし、いづれにしろ、BBCやCNNにおけるような積極的なウクライナ応援は、NHKニュースはしていませんし、NHKニュースに登場する防衛省の研究員は、ロシア優勢論をかなり続けていたように思います。

NHK特派員報告というのも、既知の情報に基づき、特派員自身で状況をまとめてしまうという言い方が多いです。
そつなくまとめられてしまうと、状況の交錯状態が見えなくなってしまうので、聞いていても、課題が尻つぼみとなり面白くないのです。
聴衆はもっといろいろな状況を知りたいと思っているにも関わらず、記者が評価をまとめてしまうのです。
聴衆に考えさせるというスタンスには、日本のニュースはないのです。

現地の人にインタビューするとのスタンスも、NHKは、CNN、BBCのようにはできません。

先日の現地インタビューで興味深かったのは、ウクライナに住む高齢ロシア人男性が話した言葉です。
ロシア語を話すというこの男性は、ロシア語を話すことにプライドがあったといい、息子とはロシア語で会話をしていたそうです。
ロシア語を話す人は、名誉ある立場の人間を示すことのようです。
ところが、今回のウクライナ侵攻を経験して、ロシア語を話すことにプライドを失ったと、この男性は言っていました。
ですから、娘とはウクライナ語で話すんだ!と言ってました。

ロシア語、グルジア語、ウクライナ語などいろいろある中で、ロシア語は世界で話される英語のクイーンズイングリッシュのような名誉ある立場なんでしょうかね?
以前にロシア語の通訳の日本人の方が、ロシア語の格調についてコメントしていたのを、学とみ子は思い出しました。

この通訳の方の印象によると、、言葉で差別されるソ連では、日本で人気のあったソ連のシュワルナゼ外相は、話す言葉がなまっていたそうです。彼の言葉はグルジア語であり、クレムリンではエレガントな言葉とみなされず、差別されていたそうです。
グルジア出身のシュワルナゼ外相は、ゴルバチョフ時代のソ連政権にいた人で冷戦の終結に貢献した人です。
ウイキペディアでは以下を書いています。青字

>1991年8月のクーデターでは、いち早くホワイトハウスに駆け込み、エリツィン支持と独裁反対を訴え、クリミア半島フォロスの別荘に軟禁状態にあったゴルバチョフを救出することに成功した。クーデター後、アレクサンドル・ベススメルトヌイフ外相の後任には、クーデターに批判的な態度を鮮明にした駐チェコスロバキア大使のボリス・パンキンが就任したが、パンキンの政治手腕はソ連外交を主導するためには余りにも不安だったため、再びシェワルナゼが外相に復帰した。しかし、シェワルナゼらの努力も虚しく、ソ連崩壊とともに外相を辞任した。

こうした文化の背景を考えると、今後のプーチンは、ロシアの品格をどうやって復活させられるのでしょうか?



PBSニュースの話題に戻ります。

米国の世論調査では、バイデン氏のウクライナ政策を支持するか?武器の投与はどうか?などの国民の答えは、矛盾するような答えしか出てこないと、ジューディさんが言ってます。


And, Jonathan, there was a poll out today, the respected Ann Selzer, a Grinnell College poll. It shows disapproval, 48 percent — by 11 points people disapprove of his handling, compared to 37 percent approve.

But when you ask people what about the specifics of the administration's policy, namely, should we be sending armed forces, 70 percent say no. That's the president's policy. Should we provide weapons? Seventy-two percent say yes. That's the president's policy. Enforce the no-fly zone; 52 percent, small majority, say no. That's the president's policy.

ジューディさんは上記数値をあげた後、以下を言ってます。

What do we make of all this?

これに対し、ケイパート氏は、米国民は、バイデン氏の判断をサポートする状態にあるとしています。
しかし、化学兵器などを使うような状況になれば、世論は異なってくるだろうとのことです。

What is more important are the specifics that you just pointed out, asking specific questions, troops, weapons, and other things. And it shows that the American people are with the president, and the president has his finger on the pulse of where the American people want to be with — on the war with Ukraine.

And all of this will change if Putin does the unthinkable, chemical weapons or use a nuclear device.

ジューディさんも、状況によって世論は変わりますねと言ってます。
Yes. All bets are off if that happens.

このやり取りの中で、ブルック氏は以下のような捉え方を言っています。
党派主義の中でのお決まりの相手潰しの議論であるということです。

美しいサンセット風景に対するバイデン大統領の政策をどう思うか?を、世論調査で米国人に聞くようなものだと。
「党派の偏った今の時代では、バイデン大統領の美しいサンセット政策に85%の人が反対するなら、私も美しいサンセット政策を支持しないし、この政策は支持されていないと私には思える。」とブルック氏は言います。

My view is, if you ask American people, what do you think of President Biden's policy toward beautiful sunsets…
85 percent of American people will say, no, I really disapprove of President Biden's policy toward beautiful sunsets.

We live in a partisan era.

さらにブルック氏は、現時点では、まだ、党派主義が支配している時期であると言ってます。
今後、(核や化学兵器などで)状況がかわったら、9/11後の米国がブッシュ政権を92%支持したように、米国は党派を超えて結束するだろうけど・・・と、ブルック氏は言ってます。

When you attach the name Biden or Trump or Republican or Democrat to anything, and you get instant opposition. So it's nothing more than a measure of partisanship.

The question is, if we were really in trouble, as Jonathan mentioned something, we get to a next step in this war, could we unify? After 9/11, if I'm remembering this correctly, George W. Bush's approval rating was like 92 percent. It was something insanely high.





もう一つこの討論の話題になったのは、初の黒人女性の最高裁判所裁判事指名に関する公聴会の話題でした。

米国で最終的な法律判断を行う判事になるためには、議員たちから4日間にわたり、あれこれ質問を受けるしくみが米国にあります。
バイデン大統領が指名したジャクソン裁判官について、あれこれと否定的な質問がでていたことを、このPBSニュース討論会では話題にしています。

ジューディさんは、ジャクソン裁判官に対する民主党の評価と、共和党の評価が異なることを問題視しています。

To listen to the Democratic senators, you would think this was a supremely qualified woman who'd served for almost a decade on — in the federal courts. To listen to Republican, she's soft on crime, she tends to give lenient sentences to people who've engaged in child abuse.

上院公聴会で、女性議員から、「女性の定義とは何か?」と聞かれたジャクソン裁判官は、「私は生物学者ではないから、答えられない。」と答えたんです。しかし、さらにその後もしつこく議員から聞かれていました。

又、児童ポルノ事件におけるジャクソン裁判官の過去の判決についても、上院議員からジャクソン裁判官は犯罪者に甘いとして追及される質問があったようです。
児童ポルノ雑誌を持ち歩く人は収監されるとの考え方を、ジャクソン裁判官は支持していなかったのですが、それについても、議員から追及されたようです。

PBSニュースのジューディさんと二人のコラムニストの三人とも、ジャクソン裁判官の判断を支持していました。


共和党支持者は、保守的で拒否的であると、熱くなったケイパート氏は、判事指名公聴会での議員による差別的質問を問題にしていました。

ケイパート氏は、ジャクソン裁判官とは見知り合いではないけど、彼女のがんばってきた経緯は、すごくわかると言っています。黒人皆が共通にもつ血脈があるんだ!とまで言ってます。
黒人層は、大変な苦労をして、勉学を積みポストを確保し、さらに得たポストを維持するために絶え間ない努力をしているのだとケイパート氏は語っていましたね。
ジャクソン裁判官は、感極まって泣いたりしたらしいです。それをテレビで見ていた黒人たちも泣いたようです。

公聴会では、どのようなやりとりがあったかについてのPBSニュースの記事があります。

この公聴会で質問に立ったのは、共和党で問題行動の多い人のようです。
つまり、問題発言をくりかえし、マスコミ人の標的になっている議員たちです。

たとえば、当ブログで紹介した、テキサス州のテッド・クルーズ上院議員も質問に立ったようです。
サウスカロライナ州のリンジー・グラハム上院議員、ミズーリ州のジョシュ・ホーリーは、ジャクソン裁判官が判事として扱った多くの過去の判例について、「後悔していないか?」というようなネガティブな聞き方をしたようです。


Democrats doing their level best to remind people of just how qualified Judge Jackson, Judge Brown Jackson, is, how qualified, beyond qualified, she is to serve on the High Court. And the Republicans did everything they could to tear her down, belittle her experience, call her everything but a child of God.

最高裁には、男性ならすでに黒人のトーマス判事がいます。
ところがこのトーマス判事の妻なる人は、立場を考えない問題ある人のようです。
トーマス判事の妻なる人の名は、ジニートーマスさんと言います。
この方の妻は保守派の活動家のようです。
最高裁判事の一人である判事トーマス氏は黒人ですが、妻は白人です。
ジニートーマスさんは、トランプ氏と組んで保守政治を守ろうとしている人なのです。
なんと、彼女は、大統領選挙結果におけるバイデン氏の優位をひっくり返すようにと、ホワイトハウスに働きかけた人のようです。
その時に使われた証拠書類が残っているらしいです。

この三人の討論には、Andrew C. McCarthyなる名の人もでてきますが、この方のウイキペディアリンクです。



結局、バイデン大統領の指名したジャクソン裁判官の評価は、民主党に比較して共和党は低いのですね。

「同等の資質がある」の割合は、民主党支持者の61%、共和党支持者の54%、
「より優れている」の割合は民主党支持者30%、共和党支持者2%。

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