神経疾患の理解のために知りたいこと

12月16日に、抗神経病薬について、知ろうという記事を書きました。下に概略を書きましたが、この説明では、とてもわかりにくかったと反省しています。へたな図ですが、参考にしてみてください。
 
脳には、それぞれ種類と役割の異なる複数の神経細胞がいるのですが、細胞体から棒状の構造を伸ばして、隣の神経細胞と連絡を取り合います。複数の種類の神経細胞が、相互に作用し合っています。黒いのは1個の神経細胞です。細胞の中央には、核を持ちます。そして、長い長い多数の突起を出して、他の神経細胞と連絡をとります。水色の鞘(さや)構造物が、だんだん小さくなっていくのは、書き手が遠近法を用いて書いたつもりになっているためです。この遠近感覚、読者も共有してみてください。この突起はすごく長く、ほとんどの教科書は、このように書かれています。黒い細胞は、鞘(さや、水色の部分)で守られているニューロンと呼ばれる高級な神経細胞(殿様細胞)です。各種の脳内神経細胞は、私たちが胎児だった時に、すでに完成しています。殿様細胞である「神経細胞は、胎児期にすでに完成しています。家来のようなグリア細胞は、生後も変化していきます。グリア細胞は、神経細胞をささえますが、ギリシャ語で糊という意味、日本語でも膠(にかわ)という字がつかわれます。赤い構造物は、他の神経細胞からの突起です。神経細胞は、お互いに突起を出して、連絡しあっています。ニューロン同志、グリア細胞とニューロンの相互作用(お互いにどのような情報交換をしあっているのか?)については、現在でも、研究者間で激しい議論があります。いづれの神経細胞は、軸索(軸様構造物)によって、密接に連絡し合っています。
 
脳内の神経細胞をつくり終えて、私たちは生まれてくるのですが、神経細胞間の連絡網は、生後に完成していきます。この脳内の細胞連絡網は、子どもが思春期になる時に、速い速度で完成していきます。つ
まり、細胞同士で、支えあったり、抑えあったりしているのです。実は、脳の働きは、神経細胞が、じょうずに繊維を伸ばして、細胞同士でうまく連絡しあうかで決まってきます。そして、子どもの脳は重量を増して、神経細胞が成熟していきますが、その過程で、繊維網を完成させていきます。時には、神経細胞から飛び出した無駄な繊維をきりとり、重要な繊維を強化するなど、ネットワーク網を慎重に作っていきます。神経ネットを結びつけるには、ドパミン、セロトニンなどの脳内伝達物質です。これが増えたり消えたりして、細胞同士で連絡をとります。連絡しあう部分をシナプスといいます。図では、赤と黒の結合した部分で示し、緑の矢印です。脳内ではドパーミンという伝達物質の役割が重要ですが、それを抑制する薬が、主要な抗神経病薬です。
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ドパーミンが過剰に出てしまう統合失調症などは、シナップス(緑の部分の矢印です)において、神経伝達物質のやり取りがうまくいかないと考えられているのです。そのため、薬剤を用いて、調節しているのです。つまり、人類は、伝達を抑制する薬を発明し、人工的に脳内伝達物質を操作しているというわけです。過剰な物質を抑え込み、不足する物質を出させています。そうしながら、再び、脳内のネットワーク構造が、うまく働くように、待っているのです。神経の病気は、すぐ治るというものではありませんが、人は回復する能力を持ちますので、それに期待します。

もっと、神経細胞の構造を詳しく知りたい方はhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%84%E9%9E%98に、すばらしい図がのっています。参考になさってください。
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