やはり興味深い。議事堂襲撃事件を扱う公聴会は、関係者が隠していた事実が公開される。

時事通信社が次のように報じている。
トランプ氏にじわり打撃=「責任逃れ」許さぬ執念―米特別委
2022/07/23 07:14


日本では、関連する報道は出ているが、マスコミの話題としてはあまり、盛り上がっていない。
この記事には、コメントも少なく、日本では関心も低いようだ。
「マスコミは、本当にトランプが嫌いなのね。」位のコメント反応だ。
単なる政治ショーでしかないとの評価もある。

しかし、学とみ子は興味深く、この事件を追っている。
手振り身振りを入れたハッチンソン証言などは、迫力満点である。
議事堂襲撃を扱う公聴会は、暴力的な独裁者に権力を持たせないとの米国民主主義の決意を示す国家的ショーだと、学とみ子は見ている。


権力の座につくと、そこから引きずり落とするのが、いかに難しいかは、プーチンのいるロシアを見ていればわかる。
また、長い歴史の中で、権力者の暴挙イベントは多数あったし、人々はそれを教訓としてきた。

しかし、島国日本は、独裁者の怖さをあまり感じたことの無い人が多いのかもしれない。


こうした中で、時事通信社は、この話題をシンプルにまとめた。
時事通信社は、「トランプ前大統領の「責任逃れ」を許さない執念を示した。」

この表現は、あくまで、下院公聴会側のスタンスを示したものである。
この表現は、シンプルだけど事件の本質を示していて、書き手の記者はなかなか、すばらしい。
派手な書きぶりでないところが魅力的だ。

一方で、この記者自身は、
>11月の中間選挙をにらんだ「政治ショー」の色合いが濃く、

つまり、記事を読む人は、その人なりの判断ができるような書きぶりになっている。
日本の政治評論家は、読者に判断を任せると言う書き方をしない。
しかし、事件の経緯を読んで、何を考えるのかは、読者次第だ。

議事堂襲撃公聴会では、常軌を逸した大統領の行動に対し、その周りの人たちが自身の思いを証言している。
大事な事件に遭遇した人たちが、自らの経験と評価を語る様子は興味深いものだ。


>トランプ前米大統領=20日、ニューヨーク(EPA時事)© 時事通信 提供 トランプ前米大統領=20日、ニューヨーク(EPA時事)
 【ワシントン時事】米連邦議会襲撃をめぐる下院特別委員会は、生の証言や映像、音声を多用する異例の演出を凝らし、トランプ前大統領の「責任逃れ」を許さない執念を示した。2024年大統領選での返り咲きも視野に入れるトランプ氏にとって、不利な事実を繰り返し突き付けられたことは、少なからぬ打撃となりそうだ。

 6月から続いた一連の公聴会では、当時の政府高官のほか、各州の選挙関係者らも証言した。大統領選敗北の受け入れを拒むトランプ氏が主張した「選挙不正」への関与を疑われ、脅迫された選挙管理人。選挙結果改ざんへの協力を断り、今も自身や家族が嫌がらせを受ける州議会幹部。それぞれが、事件によって人生が一変したさまを語った。

 議会公聴会は1日がかりとなることも多いが、特別委はテレビ中継を意識し、各回とも2~3時間に短縮。ホワイトハウスや議事堂の見取り図、襲撃時の映像をスクリーンに映すなど、視聴者の目を引く工夫を凝らした。初回と8回目は夜の高視聴率帯「プライムタイム」に開かれ、主要局が中継した。

 与党民主党が主導した公聴会は、11月の中間選挙をにらんだ「政治ショー」の色合いが濃く、支持政党によって有権者の評価は分かれている。ABCニュースなどが6月に行った世論調査によると、民主党支持層で85%が特別委の調査を「公平」と回答したのに対し、共和党支持層では31%にすぎなかった。

 一方、同じ調査では58%が「トランプ氏を罪に問うべきだ」と回答。昨年1月の54%から微増した。政治専門紙ポリティコは、共和党支持層でトランプ氏が依然人気を保つものの、暴走ぶりがたびたび報じられたことで「トランプ疲れ」も起きていると指摘した。 


事件直後、トランプ政権の閣僚が何人か辞任した。
又、米軍トップのミリー統合参謀本部議長が、「クーデター懸念がとても高まっていた」と語ったが、その実態が日本人にはピンとこなかったと思う。
閣僚や議員などには、実際に起きていたことについての情報が廻っていたであろうが、皆、決定的なことは沈黙していた。

しかし、今回は、トランブ側近者らの証言が明らかにされ、トランプは強引に政権を奪おうとしていた様が明らかにされた。
こうした関係者が隠していた事実が、公開されるという事実がとても興味深いのだ。

トランプ側の主張は、一部のトランプファンの暴徒が勝手に暴力行為に走ったというものであり、トランプ演説に使われたpeacefullyなる語が強調されていた。
つまり、トランプは平和解決を望んでいたが、暴徒はトランプの意向に逆らって議事堂襲撃したとのトランプ擁護の解釈である。

トランプの名誉も守るため、共和党の名誉を守るために、米国のトランプ擁護の世論は強かった。

しかし、今回は、政府高官のほか、各州の選挙関係者らも証言し、立場ある人たちによって、直接、トランプの行状が暴露される結果になった。
本気で、ペンスを絞首刑にしてしようとする人たちもいて、こうした行動も煽る言動も、トランプはしていたことも判明した。
ペンスの側近であったジェイコブ氏などが、その時の様子を説得力を持って語っている。

トランプは、司法長官の「選挙結果は正しい」との判断に激怒し、食堂テーブルをひっくり返し、ケチャップが壁から滴り落ちるとの惨事も語られた。
トランプが、強引に議事堂に行こうと車に乗り込む様子なども複数の証言があった。
そして、議事堂行をあきらめたトランプは、混乱する議事堂中継テレビを見ながら、暴動を止める行動や命令を示さなかった。
そうした様子についても、側近たちの複数の証言があった。

今のロシアがそうであるように、権力者を取り巻く人たちというのは、権力者の言いなりであり、その取り巻きの力が強いことで、権力者の権威は守られている。
権力者のとって不利な事を暴露する人はいないし、権力者をかばうことばかりをしている。
そのための側近たちのつく嘘は、当たり前に通用する。

それが壊れているのが、今、公聴会で証言しているトランブ側近の暴露言動である。

こうした権力に対抗する力がしっかり働くのが、民主主義だと思うので、学とみ子には公聴会が興味深いのである。

しかし、強い人は強い態度を取る。
元トランブ側近のバノン氏がどのような証言をするのか?とマスコミは騒いでいたが、こうした評決が出た。

タイトル 証言拒否のバノン氏に有罪評決 米連邦議会襲撃事件調査めぐり

>バノン氏は評決後、「今日、ここでの戦いには負けたかもしれないが、今後の戦いには負けない。私はトランプ前大統領や憲法と共にあり、決して引き下がらない」と述べた。


トランプと共にあるという表現は、今後、米国マスコミをさらに刺激するだろう。
さて、バノン氏の刑の確定は、10月とのことだが、同様に、トランプ起訴もあるかどうかが注目される。


側近の法律顧問のシポローニ氏などの証言なども公開された。
彼は、トランプ大統領時代に、トランプ弾劾裁判の際、トランプを擁護し続けた法律顧問だ。
その彼が、今回の公聴会では、悲痛の表情で、議事堂襲撃時のトランプの無作為を証言した。

トランプは、ホワイトハウス内のプライベートダイニングで、壁にかかったテレビでFoxニュースを見ていて、暴徒を止める命令を、出さなかった。
側近たちはもちろん、トランプの息子や娘も、トランプに暴徒を止める命令を強くせまっていたようである。
大変な修羅場であったようである。
結局、ペンス氏が暴徒制圧命令に動いたことは、早くから報道されていた。

議事堂襲撃が開始されてから、約3時間後、やっとトランプがビデオメッセージを出し、「君たちは勇敢だった。でも、もう家に帰ろう」と呼び掛けた。

議事堂襲撃の日、群衆の行動が開始されてから、トランプはホワイトハウスで何をしていたのかの詳細は明らかになっていなかったのだが、そこが公開されたということだ。



産経新聞
>【ワシントン=大内清】米国で昨年1月6日に起きたトランプ大統領(当時)の支持者らによる連邦議会議事堂襲撃事件を調査する下院特別委員会は21日、8回目の公聴会を開いた。当時のホワイトハウス高官らが宣誓証言し、トランプ氏が政権幹部や家族の訴えに耳を貸さず、事件発生から約3時間にわたって襲撃を止めるための行動を意図的にとらなかったことが明らかにされた。

公聴会では事件当時、2020年大統領選の結果を確定させる上下両院合同会議を取り仕切っていたペンス副大統領(当時)の警護官が証言し、暴徒の突入に死を覚悟したことを明らかにした。

議事堂を襲撃した暴徒らは、ペンス氏が大統領選をバイデン氏勝利で確定させたことに激怒し、「ペンスは裏切者だ」「縛り首にしろ」などと叫びながら居場所を探していた。

暴徒は一時、ペンス氏が身を隠していた部屋から約36メートルの地点まで接近し、最悪の事態を想定した警護官は無線で同僚に「家族によろしく言ってほしい」と伝言を託していた。

一方、事件直前の集会で支持者らに演説で「とことん戦え」と呼びかけていたトランプ氏は襲撃が起きている間、ホワイトハウスでFOXニュースのテレビ中継映像を見ていた。

同氏の長女のイバンカ大統領補佐官やホワイトハウス法律顧問らは相次いでトランプ氏に面会し、暴力の停止を促す声明を出すよう求めたが、トランプ氏は襲撃開始から1時間近くたって「ペンスは卑怯(ひきょう)者だ」と逆に支持者の暴力をあおるツイートを発信した。

大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)だったマット・ポッティンジャー氏は「このツイートをみて辞任を決めた」と証言した。

また、大統領副報道官だったサラ・マシューズ氏の証言では、1本目から約50分後に投稿されたツイートの文言を巡り、トランプ氏は当初、暴力を非難することを拒み、「平和」という言葉を入れることにも難色を示した。結果、イバンカ氏の提案で「(デモは)平和的であり続けてほしい」と実態とはかけ離れた文面が考案された。マシューズ氏も同日夜に辞任した。

トランプ氏が支持者たちに「家に帰れ」と呼びかける動画を投稿したのは、集会での演説から約3時間が過ぎてからだった。



トランプ氏はこの間、軍・警察への指示を一切行わず、代わりにペンス氏が指揮を執っていた。

しかし、公聴会で新たに公開されたミリー統合参謀本部議長の証言によれば、トランプ氏側近のメドウズ大統領首席補佐官(当時)はミリー氏に電話で「ペンスがすべてを決定しているという物語は潰す必要がある。大統領が機能し安定していることにしなくては」と電話で語り、トランプ氏に傷がつかないように口裏を合わせるよう求めた。

委員会が明らかにしたところでは、議会周辺に展開した州兵が暴徒の排除を進めていた同日午後6時半ごろ、トランプ氏はホワイトハウス職員に「ペンスには失望した」と言い残して居室に引き揚げた。




CNNニュース日本語版
行動しないことを選んだトランプ氏 米議会襲撃、公聴会8日目のポイント
2022.07.22

(CNN) 昨年1月6日に発生した米連邦議会襲撃事件を調査する下院特別委員会による今夏最後の公聴会が21日に開かれた。新たな証拠から、当時のトランプ大統領が3時間にわたって暴動を公然と非難せず、暴徒らを解散させようともしていなかった実態が浮き彫りになった。

今夏8日目となる公聴会では、事件の中の「187分間」に焦点が当たった。これはトランプ氏が支持者らに議事堂へ行進するよう伝えてから、最終的に「家へ帰る」よう求めるまでの時間を指す。

公聴会には当時のホワイトハウスのスタッフで事件直後に退職したマシュー・ポッティンジャー氏とサラ・マシューズ氏が証人として出席した。


特別委員会は21日の公聴会を利用し、トランプ氏がどのような経緯で行動を起こせなかったのかのみならず、あえて行動を起こさなかったことも示した。この間同氏は、暴力的な襲撃が議事堂に対して展開されるのを目の当たりにしていた。

当時のホワイトハウス内の状況を直接知る複数の証人は委員会に対し、トランプ氏が一度たりとも自身の法執行機関や国家安全保障当局者らに電話をかけなかったと証言した。この時、議事堂への襲撃が行われていたにもかかわらず、同氏はこうした当局者の誰にも連絡を取らなかったという。これまで未公開だった動画による証言で明らかになった。

委員会が確認したところによると、法執行機関の高官や軍幹部、ペンス副大統領(当時)のスタッフなどから何度も聞き取りを行ったものの、誰一人として当日トランプ氏から連絡を受けた人物はいなかったという。

委員会はこれらの証言を利用し、事件への介入を拒否するトランプ氏の姿勢が職務怠慢に当たると主張する。

ホワイトハウスの副報道官だったマシューズ氏は、「私にとって、あの日トランプ氏が行動を起こさず、暴徒を解散させるのを拒んだこと、さらに暴力に対する非難も拒否したことは到底擁護できない」と述べた。

この証言は、同日紹介された他の証拠とも合致する。例えば襲撃翌日の1月7日に録画されたトランプ氏の演説で編集によりカットされた部分には、同氏が用意された演説の内容を変更しようとする様子が映っている。この映像の中でトランプ氏は、側近に向かって「大統領選が終わったとは言いたくない」と告げていた。

また米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は、非公開の場で撮影された宣誓証言動画の中で、襲撃発生時にトランプ氏から何の連絡もなかったことに愕然(がくぜん)としていると語った。その上で、トランプ氏のこうした不作為は、結果的に軍の指揮権を持つ最高司令官としての職務を放棄していることになるとの見方を示唆した。


ウイキペディアで、議事堂襲撃事件は詳しく書かれている。

その中で、軍隊の動向も興味深い。

>米軍の反応
陸空軍参謀総長・海軍宇宙軍作戦部長・海兵隊総司令官・州兵を管轄する州兵総局(英語版)局長(英語版)で構成されるアメリカ統合参謀本部は議長のマーク・ミリー陸軍大将ら制服組トップが署名して全ての米軍兵士に宛てた異例の声明を出し、「連邦議会や議事堂、憲法上の手続きに対する直接的な攻撃だ。我々は憲法を守り、支持する。憲法上の手続きを混乱させる全ての行為は我々の伝統や価値観、誓いだけでなく、法に背いている」と非難して「各州や裁判所が確認して議会も認定した通り、2021年1月20日にはバイデン次期大統領が憲法に基づいて就任し、46代目の最高司令官となる」と述べた[335][336]。また、ミリー統合参謀本部議長は「トランプが唆した非合法デモは、1933年2月のドイツ国会議事堂放火事件と同じだ」「クーデターを連中は計画しているが、軍や中央情報局(CIA)、連邦捜査局(FBI)の手を借りずにクーデターなど成功するわけがない。銃は我々が握っている」と内々に発言してトランプがクーデターを命じた場合は陸海空各軍のトップと1人ずつ辞任する計画を行っていたと内幕本で暴露されており[337]、これに対してトランプは「ミリーという男は極左がアメリカと星条旗を攻撃するのをただ傍観していただけだ」「周囲の反対を押し切って私が統合参謀本部議長にしたのは、バラク・オバマがミリーを解任したからだ。ミリーほど国防総省で尊敬されていない人間はいない」「クーデターを起こすつもりだったとしても、ミリーとだけはやりたくなかった」とこき下ろした[338][339]。


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