人が食べてきた食べものでも、違う状態で胃腸に入ると、アレルギー反応が起きやすい。

巷では、アレルギーと言う言葉を、必ずしも、厳密な意味を考えて使っているわけではありません。人々が、アレルギーそのものを理解しようと思っても、一般向けの良い教科書があるわけでもなくし、やっぱり、よくわからないということが多いと思います。しかし、実際に起きたアレルギーの病気をひとつひとつ、考えていくと、アレルギーへの理解は進むかもしれません。
 
最近、起きたアレルギー関連の事件に、茶のしずく問題があります。
開発した業者は、こうした事態を予想しなかったでしょう。添加した小麦蛋白の作用により、肌がしっとりとして、商品開発の勝利だったはずと思います。もし、この商品がそれほど売れなかったなら、反応する人がもっと少なく、こうした騒ぎにはならなかったかもしれません。この事件を契機に、アレルギーがもっと、身近になったような気がします。そうした意味では、大事な出来事だったような気がします。
 
食品、化粧品には、動物、植物由来の蛋白質が、“かくし味”として入っています。それのどれに、反応する人が多いのか?これは、商品が売れて、多くの人が使って(食べて)みないとわからないのではないでしょうか?
 
食品化学の進歩によっても、人々は人工的な加工物質に、さらされるようになりました。味を良くする、舌触りをよくするためなどに、人工的な加工成分を、食品に添加する場合があります。
 
今までの人類が食べてきた状態とは、違う状態となって、私たちの胃腸に入ってくるのです。こうした時、免疫細胞は、新参物質として身がまえます。しかし、多くの人では、新しい成分は、消化液で分解されしまうので問題は起きないのですが、一部の人では、アレルギー反応となる人がいます。新種の食品を食べていくうちに、腸の免疫細胞がIgEをつくってしまうのです。

小麦には、炭水化物の代表的な食品ですが、他に蛋白質も含まれています。小麦は、自らの品質を保持する(植物として生き残る)ための蛋白質を作ります。小麦アレルギーとは、私たちがそれに反応してしまう病気ですが、アレルギーを起こす代表的な小麦蛋白は、グルテンと呼ばれています。
 
特に、その中でもω-5グリアジンと呼ばれる蛋白質が、私たちにアレルギーを起こす成分として有名で、食物依存性運動誘発アナフィラキシーという病気の原因となることが多いです。パン・うどんなどの小麦を食して運動することにより、強いアレルギー反応(アナフィラキシー)が起きる病気です。
 
ひとつの事例を紹介します。これは皮膚科診療という医学雑誌に載っている論文で、横浜市大皮膚科の先生方が書かれたものです。皮膚科診療2011:33;475

豚の角煮の中にはいっていた小麦成分に反応した人において、アレルギーの原因を解明しています。
豚の角煮を食べて、両眼の周囲が、パンパンに腫れた人の事例です。この症状は、血管運動性浮腫と言います。医師による熱心な調査で、この方は、豚の角煮に含まれていた小麦加水分解産物に反応していたことが判明しました。
 
この方は、総IgEも低く、RAST検査(アレルギー検査で特異IgEを調べる)でも、小麦、グルテンには反応がでませんでした。
 
しかし、この方の皮膚を使った検査では、豚の角煮に反応がでました。豚の角煮のうちのどの成分に反応したのかを調べるのは、難しい作業となります。その食品に入っているあらゆる成分を、ひとつひとつ、チェックしていかなければなりません。まさに手作業で検査をくりかえす必要があり、患者さん側もいろいろな検査への協力を求められます。検査にかかる費用は、病院持ちでが多いです(保険の対象にできない)。
 
医師らは、製造元から、材料をとりよせ、アレルギーの原因をチェックしていきました。そして、小麦の加水分解産物に、患者さんが反応していたことをつきとめました。この成分に対して、患者さんが特異IgEを作っていたことを証明できました。
 
論文によると、豚の角煮には、塩酸と水酸化ナトリウムで加水分解して得た小麦成分が添加されていました。こうすることにより、添加後の食品は、水に溶けやすくなり、味や保存性が良くなり、パンや麺類なら、粘りが出て、加工しやすくなるそうです。
 
フランスからの論文報告では、レバーパテ、フォアグラパテなどにも、小麦の加水分解成分が、含まれていて、反応する人が紹介されています。食品以外に、化粧品などにも、小麦の加水分解成分が添加されています。この小麦加水分解産物は、人にIgEの関与する1型アレルギーを起こす性質があるようです。
 
“茶のしずく石鹸“事件も、小麦蛋白でした。特に、皮膚から小麦成分が入ることで、消化管より、さらに、人にアレルギーの反応が起きやすくなります。消化管の免疫細胞は、毎日、大量の外来物質に接しているので、侵入物(食品のこと)が危険であるかの見分け能力に優れているのです。
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