食物アレルギーは、個人差が大きく、さらに、体調や調理法などの不確定要素が加わります。

先ほど、小麦の加水分解産物によるアレルギーの話しをしました。論文によると、この方は、小麦食品は食べられるとのことでした。
 
ここで、アレルギーに関して理解しておきたいことは、私たちは、食品に含まれる蛋白質のごく一部に反応しているという事実です。

反応する蛋白質部分は、人によって違います。加熱卵に感応する人、加熱しない卵のみに反応する人などの違いがあります。人は、卵の外の部分にでている蛋白質部分に反応するのですが。加熱により、卵の外側の構造が変化してしまうと、もはや、加熱後は、反応しなくなります。しかし、そうならない人もいます。
 
一般的に、加熱すると、反応しにくくなるのですが、ピーナッツの場合は、かえって反応しやすくなることがあることは、以前のブログに書きました。加熱することにより、内部の蛋白部分が外に出てきてしまうので、その部分に反応してしまう人がいるのではないかと、考えられているようです。
 
先ほど、小麦の加水分解産物に反応してしまうが、小麦は食べられる人を紹介しましたが、まさに、そうしたアレルギーです。この人は、RAST検査では陽性に出ませんでした。これは、RAST検査で試薬として用いられた小麦蛋白には、この患者さんが反応する蛋白部分は含まれていないのです。
 
検査は、100%でなく、検査で陽性になるのは、患者さんが反応する蛋白質部分と、検査で用いられた蛋白部分がたまたま一致した時に、反応が出るのです。
 
ペットアレルギーなどでも、実際には飼っている動物に、反応している(IgEを作っている)が、検査では、アレルギーが証明できないことがあります、ペットなどでは、同じ名前の動物でも産地や種類が違うと、試薬に含まれる蛋白質が違うので、患者さんの血液中のIgEが反応しないのです(すなわち、検査精度が低いのです)。
 
実際には、アレルギー検査が拡大解釈されていて、それでアレルギーがすべてわかると、誤解されていたりします。
 
IgEが発見された頃(約45年位前)には、すべての反応がIgEアレルギーで説明できると誤解された時期がありました。しかし、その後、研究が進むにつれ、アレルギー反応はさらに複雑であり、その解明は、現在も進行形です
 
それでは、なぜ、RASTは、大事な検査としてこんなに普及しているのでしょうか?それは、個人差があるものの、蛋白には、多くの人が共通して反応しやすい部分があるからなのです。それを、主要抗原と言います。
 
例えば、ピーナッツは、7S-グロブリンのArah1、2S-グロブリンのArah2、11S-グロブリンのAra h3などがあります。これらは、ピーナッツに含まれる複雑で多種な蛋白質の代表です。しかし、人々は、それぞれ、違うピーナッツ構造に反応します。たとえば、Ara h3に反応している場合、検査試薬にAra h3が含まれていないと、検査では反応がでません。
 
花粉症は、植物花粉に対する反応ですが、植物の1種に反応が始まると、連鎖的にどんどん、他の植物にも反応が広がることがあります。春の花粉症から、始まり、1年中の症状に変化したなどです。一方で、人によっては、1種類だけの花粉症だけが起こり、やがて治ってしまいます。
 

人のアレルギーが複雑であることは、皮膚病診療のアレルギー特集号で、症例が紹介されています。今度は、ピーナッツに対するアレルギー反応のある人の話しです。
 
この方は、花粉症があり、びわ、リンゴ、さくらんぼ、モモによる、口腔アレルギー症候群があります。これらの果物を食べると、口の中がかゆくなります。果物成分に対して、IgEをもっています。花粉症があるために、植物成分にIgEを作りやすくなっていて、花粉と似た構造をもつ果物由来の蛋白質部分にも、連鎖的にIgEを作り、アレルギー反応をしてるのです。しかし、果物では、口の中がかゆくなるだけで、強いアレルギー反応は起こしません。
 
この方が、ピーナッツを材料とした豆腐という形態を食べた時に、強いアレルギーの症状がでました。この方のピーナッツアレルギーの原因は、ピーナッツに含まれているAra h8であることが、検査で判明しました。
 
Ara h8は、植物が、共通に持っている蛋白質です。この方の血液は、Ara h8に対するIgEが高くなっていました。そして、大豆と一緒に、にがりで固めて豆腐となった状態の時に、アレルギー反応を起こすのであろうと推定されました。
 
この方は、普段、ピーナッツが食べられる人で、豆腐以外の食べ物なら、Ara h8を処理できる能力を持っています。しかし、豆腐の形態となった時には、強くアレルギーを起こすらしいのです。皮膚病診療:33;479
 
食物アレルギー反応は、毎回、同じ量で同じ反応をおこすわけではありません。アレルギー蛋白質が、体内でどのような処理をうけるかにより、アレルギー反応は変化するようです。どうすると食べられ、どう料理すると危険なのかを見極めるのは、個々の人で違い、難しい病気と言えると思います。
 
食物アレルギーの検査が陽性なら、食べない方がよい、検査陰性なら食べられるというような誤解が、いまだにあります。検査はあくまで、参考程度の意味しかありません。検査の数値が高ければ、反応する可能性が高くなりますが、数値が高くても反応しないこともあります。私たちの体には、アレルギーにならないように、止める作用も働くからです。幸い、最近は、検査で食べられるか?食べられないか?を決めるという方法方は、とらなくなってきています。
 
どの人が、どの位に、アレルギーを防ぐ機能をもっているのかは、個人差が大きく、さらに、不確定要素が加わります。
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