腸内細菌の多様性が獲得できた子どもでは、その後のアレルギーの発症を抑えられる

人の腸は、どのように機能的な均衡が保たれているか、まだ、よくわかっていません。
 
腸内細菌の役目は、食物残さを発酵させ、脂肪酸を産生し、ビタミンを合成し、さらに、腸の細胞の成熟にもかかわっています。さらに、栄養物を体内に吸収させていく過程で、腸内細菌がどのようにかかわるかについて、今の栄養学、生理学では、まだ、解明が不十分です。
 
従って、一度、破綻した腸機能、例えば慢性腸炎などがおきてしまうと、その治療は、いまだ、試行錯誤です。腸の病気は、比較的、自然治癒力が期待でき、腸に内在する自然治癒力が戻れば、腸内細菌と腸は、再度、友好関係を保つようになると思われます。密に接触している腸内細菌と、腸の免疫細胞は、お互い相手を刺激せず、相互に許し合う(寛容)関係になっていないと、腸の健康は、達成できません。
 
現在、ヨーグルトが、生活習慣病やアレルギーを予防するなどの宣伝が先行しているが、まだまだ、データは確立していていません。ヨーグルトに含まれる菌が定着するには、腸において、いろいろな条件が必要となり、むしろ、ヨーグルト菌だけが増殖したら、腸の健康は保てません。特定の菌の増殖は、腸の健康を脅かすものだからです。
 
生まれたての赤ちゃんの腸は無菌ですが、産道や、あかちゃんにふれた人の手の菌は、赤ちゃんへうつっていき、あっという間に腸内細菌相は、つくられます。そして、種類の異なる菌が、多様に縄張り争いをしている状況が、腸の健康状態です。
 
今までも、腸内細菌の研究は、アレルギー予防の観点から、世界中から研究報告されていますが、今回は、コペンハーゲンからです。生後すぐの乳児を、半年ごとに追跡して、どういう子どもがアレルギーになっていくかをチェックしたコホート研究を紹介します。JACI  2011;128:646
 
1か月、12ヶ月の乳児約300人から、便をとり、腸内細菌を培養したり、DGGE PCRという方法で調べています。この方法は、菌の多様性をチェックできる19S rRNA部分を分析して、培養不可能なタイプの腸内細菌を調べる方法です。
 
調査対象の乳児の便の腸内細菌を、生後1カ月と、12ヶ月で調べます。1か月の時に出ていた便と比べて、生後12カ月の便では、明らかに腸内細菌の多様性は進んでいた(菌の種類が増えていた)。

そして、その腸内細菌の多様性が獲得できた子どもでは、その後のアレルギーの発症を抑えられていたとの結果がでた。特に、有意差を持って明らかだったのは、7歳時の鼻炎で、1か月、12ヶ月の時の便の腸内細菌が多様であった子どもは、アトピー性皮膚炎が7割に減っていた、さらに、この研究では、子どもの好酸球の増加や、IgEの産生と、腸内細菌多様性との関連が証明できた。
 
しかし、6歳児の喘息、0-7歳時のアトピー性皮膚炎の発症については、腸内細菌の多様性との関係を見出せなかった。

このように、アレルギー性疾患と腸内細菌の関連が、鼻炎に限定的であった理由として、論文の著者は、腸内細菌の多様性を証明するための技術がまだ、十分でなかったからではないかと、考察している。同一菌種に属する菌でも、さらに、菌がひとつひとつ微妙に変異している可能性があり、今回、用いた手法では、そこまでの多様性を証明できなかったと述べられている。著者は、腸内細菌は、特に、この多様性が腸の健康維持に大事と結論している。
 
今までも類似の研究はありましたが、論文によっては、必ずしも、腸内細菌とアレルギー発症との関連をもとめていません。KOALA研究では、1か月の乳児の腸内、大腸菌とクロストリディウム菌の存在は、2歳のアトピー性皮膚炎の発症と関連したと報告しています。
 
他の論文では、腸内細菌の多様性が失われる病気として、肥満をあげており、7歳時の肥満とブドウ球菌の腸内繁殖との関連が指摘されています。
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