寄生虫の攻撃から、人を守ってきた大事な免疫系は、アレルギーも起こす

最近、マイコプラズマ肺炎がはやっている。この病気とは限らないが、咳や痰のでる人が多い。咳と共に、気管から痰が上がってくる時は、気管支炎が起きていると考えて良い。
 
さるやんごとなき方も、気管支炎とかで入院と報道されているが、普通の人の、普通の気管支炎ではまず入院はない。
 
しかし、気管支炎になると、すぐには治らない。咳と痰をすぐに止める薬はない。睡眠時間を増やして、温かく休むことが一番である。そして、発熱とか、痰の増加とか、さらなる病気の進展だけ、気をつければよい。
 
痰は、気管支での病原体と生体の戦いのなごりであり、痰には、脱落した気道の上皮細胞や、多くの白血球の死骸を認める。ドロっとしたその形は、粘液・ムチンと言う物質が多いからである。
 
このムチンは、高分子糖蛋白であり,蛋白骨格(コア蛋白,アポムチン)に、糖側鎖を多数結合した巨大分子からなる.痰中ムチンには、人の体を守る働きをしている。分泌型ムチンは、上皮細胞から分泌され,ゲルを形成する.正常臓器の消化器、呼吸器には、多数のムチンが存在する。ウイルス・細菌に対して殺菌的に働く。
 
そう考えると、痰は、きれいなものではないが、臓器内の免疫細胞が頑張った結果であるとも言える。痰の経過を観察して、病気の判断に役立てて欲しい。
 
感染症が起きると、気道のムチンがすみやかに産生され、上皮細胞は、粘液でパンパンにはち切れそうな状態となる。これを、上皮細胞の粘液変性(杯細胞化)という。
 
本日は、ムチンの働きは、私たちを寄生虫から、守る働きもしているという話を紹介する。J Exp Med 2011;208:893

日本では、患者さんの数は、極めて少なくなった回虫だが、戦後の子供の間には、回虫症は蔓延していた。
 
今回の論文では、マウスを用いて実験をしている。ムチン(MUC5AC)の産生が低下・欠損しているマウスでは、回虫などの線虫を駆除できないのである。ムチン(MUC5AC)をつくる遺伝子が欠損しているマウスでは、線虫の追いだし作業が、とどこおってしまった。そして、この欠陥マウスは、線虫が長く体内に留まることを許してしまう(慢性感染)。
 
論文では、線虫の追い出し作業には、ムチンが大いに活躍していることを証明したが、さらに、ムチン(MUC5AC)は、回虫を殺せる直接作用も持っていたことも明らかにした。
 
人にも同じ物質があるので、人の回虫感染でも、この物質は回虫に殺菌的に働くであろう。
 
ムチンは、IL-13というサイトカインの刺激をうけて増加する。IL-13の増加やTh2型の免疫反応は、アレルギー反応を起こす時に増強する免疫系である。つまり、現代人ではアレルギー反応として、きらわれもののIL-13,Th2サイトカイン、ムチン(MUC5AC)であるが、これらの物質は、元々は、寄生虫の攻撃から、人を守ってきた大事な免疫系なのである。
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