喫煙女性は、タバコの有害物質を減少させる能力がエストロゲンによって阻害され、エストロゲンからも有毒代謝物が出ます。

慢性肺疾患を持つ女性における女性ホルモンの影響について、ご紹介します。BMC Womens Health. 2011 Jun 3;11:24.
 
過去のブログでも、女性は、呼吸器の病気が起きやすいことを紹介してきました。喫煙が、女性でまだまだ男性より少ないことを考えると、女性の肺の病気の多さは、驚くべきことです。
 
女性は炎症が起きやすく、病原体の排除には好都合ですが、一方では、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)のような炎症性肺疾患が悪化しやすいです。時に、これらの病気は、致死的なため、死亡率は、女性で増加します。
 
喫煙の影響は男女共にうけるものの、女性は、喫煙の影響を受けやすく、そこにも女性ホルモンの影響があるようです。
 
興味あることに、病気のない健康女性では、月経周期に関係なく肺機能が保たれますが、上記のような病気がある女性患者では、月経のサイクルの間、肺機能が低下してしまうことが疫学研究で示されています。エストラジオールと黄体ホルモンが気道を縮めてしまうことに関与するようです。
 
女性ホルモンの増減を感じる部分は、受容体と呼ばれ、αとβがあることは、以前のブログでも紹介しています。エストロゲン及びその受容体は、胎児の肺が出来上がる時に重要で、これらの物質の相互作用で、肺は作られていきます。αは肺胞構造を、βは肺間質(肺胞以外の部分)をつくっていきます。α受容体は、炎症に対して抑える働きをしていますが、βにはこうした抗炎症作用はありません。
 
喫煙女性では、タバコの有害物質を代謝する能力がエストロゲンによって阻害され、さらに、エストロゲンから生じる有毒な中間代謝物も、できやすくなります。その結果、女性で、タバコによる酸化ストレスが高まります。
 
マウスモデルを人工的に操作して、喘息マウスを作れます。喘息をおこさせる原因物質には、卵が用いられます。マウスに卵白を吸わせて、免疫グロブリンのIgE,IgGを調べると、メスマウスの方が良く反応します。もちろん、喘息発作も起こします。
 
卵巣を摘出したマウスでは、気道炎症が抑えられますが、卵巣摘出マウスに再度、エストロゲンを投与すると、気道炎症は元にもどります。
 
エストロゲンの1種であるエストラジオールは、免疫の遷延化がおきやすいTH2表現型の方へ適応可能な免疫を左右に動かします。
 
閉経すると女性の喘息は軽くなる傾向ですが、その効果は、女性ホルモン療法を行うと、元にもどります。
 
この論文は、カナダのデータですので、日本には少なく白人に多い嚢胞性線維症CFが重くなります。この病気は、男女とも発症する遺伝子異常からくる肺の病気です。女性ホルモンは、気道上皮細胞のMUC5B遺伝子の働きを強めます(痰が多くでる)。 黄体ホルモンは、気道炎症を増やすことに加担します。

気道の分泌が亢進していても(痰が多くても)殺菌能が悪く、何度も細菌感染を繰り返します。そして、致死的な緑膿菌の慢性感染となっています。死亡率の高さは、30年間の観察で、女性は常に男性より高く、1989年には大きく水があきました。その後、女性の生存率も上昇したため、男女差は減少しています。

その様子は、以下の英語サイトでご覧になれます。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3129308/figure/F1/
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