統合失調症の発症原因(ネイチャーから)No.2

前回の続きです。
 
神経細胞のシナップスがどこの部分のことかは、前回ブログの図を参考にしてください。赤と黒の結合した部分がシナプスでしたね。神経細胞同士がお互いに連絡をする結合部分です。結合して生じた間隙に伝達物質が分泌されると、別の神経細胞に電気信号となって伝わっていきます。
 
統合失調症の発症原因(ネイチャーから)No.1と同じ図を再度、下に出します。文章が2分裂してすみません。
 
抑制性のシナップス(信号の伝達を止める)が、15歳から20歳にかけて急激に発達してきます。図では、青い線で示してあります。一方、興奮性のシナップスは、5歳の時に、一番発達しますが、それから20歳までに減少していきます。図では、赤い線でしめしてあります。このように、人の脳が正常に思考していくためには、脳の電気サーキットが適切な連絡網を使って廻っていく必要があります。人の脳内で、どんどん、サーキットが廻ってしまうと、物を考えられなくなり、本人はとてもつらい状態となります。この抑制と興奮のバランスは、人としての脳機能に必須な条件です。高度な思考回路を完成させた人間は、それで苦しまないように、抑え込みバランスをとるしくみを同時につくりあげてきたのです。
イメージ 1
 
統合失調症は、思春期発症の高いことをふまえ、今後、当面の治療の展望は、異常が出る前に、治療介入を開始するとの方向性と書かれています。早期発見の方法は、今後に開発されるであろう機能検査、MRIPETなどのさらなる進歩により、脳の機能測定の向上が期待されています。又、多職種がかかわりあって、問診の技術を向上させ、発症前の統合失調症の前駆症状を、他の病気としっかり区別して選び出す(病気を間違えないように)ことも必須と書かれています。つまり、微妙な認知機能の低下や、記憶の低下などを、早期にスクリーニングして、リスクを持つ人を選択し、環境の対策や早期の治療介入を行っていく必要があるとのことです。そして、早期発見後の治療効果をあげるためには、副作用の少ない特異的な薬や、有用な介入の開発が必要とのことです。
 
 
統合失調症は、遺伝子レベルでの解明はまだ十分でなく、発病を特定できる遺伝子はみつかっていません。統合失調症が高率に出てくるある種の遺伝子の病気でも、その遺伝子異常を持った人全員が、発病するわけでなく、又、一卵性双生児でも、発症は約半分の一致率しかありません。つまり、同じ遺伝子背景があっても発症がばらつき、環境と個人差が大きく影響する病気であると言えるようです。
 
人間以外の霊長類を用いた研究は、統合失調症の解明に役に立たないと言われます。それだけ、興奮と抑制のバランスは、高度な脳機能であると言えます。人が人たるために、この抑え込み機能の回復が、統合失調症の解決に向けて重要であろうと思います。
 
このネーチャーの特集号では、日本において、2002年の病名が変更されたことが紹介されています。それまで、分裂 (mind-split disease)と呼ばれてきたが、統合失調(integrated disorder)となったわけですが、世界的にも、病気に対し適切に評価する事が大事とありました。外国では、100年前から”シゾフレニア”という言葉は変わりませんが、スチグマ(汚点)でなく、もっと多くの職種や立場の人々が、早期にかかわりあい、回復させていかなければならない病気であると書かれています。
 
作図は、ネイチャーを参考にしました。
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