ピルの安全性に関する微妙な問題 子供のアレルギーとの関連

2012年、あけましておめでとうございます。今年も、女性の健康に関する情報を紹介していきますので、よろしくお願いします。

今年の初の情報は、ピルに関する話題です。ピルは、避妊方法として有名ですが、ピルは女性の自然な性ホルモンサイクルを抑えます。
 
避妊のしくみですが、ピルにより、人工的に女性ホルモン濃度が一定に保たれますと、自然排卵が起こらず、妊娠はしないのです。ピルを飲み続ける限り、本来の性ホルモンの変動は起こりません。
 
一般的に、ピルは,、比較的安全と言われていますが、安全と考えられる理由は、ピルの内服を中止すると、2か月位で、人工ホルモンの影響が取れて、本来の女性ホルモンの自然サイクルにもどるからです。しかし、これは、大部分の女性においての話であって、すべての女性で回復が保障されているわけではありません。細かいところでは、いろいろと女性の体に影響が出ることが分かっています。
 
人工の性ホルモンは、その他の体内ホルモン剤にも影響を及ぼします。人工ホルモンの影響は、数年に及ぶことがあります。ピルによる体への影響は、個人ごとに差が大きく、事前に予想するのは難しいです。
 
一般的にピルには、ろ胞ホルモン(エストロゲン)と、黄体ホルモン(プロゲステロン)が合剤として含まれています。一部の人では、黄体ホルモンのみの製品を使っている場合もあります。黄体ホルモンは、男性ホルモンであるアンドロゲン作用があるので、これがどのように作用するのかは、個人差が大きくあります。
 
ピルをつかっている女性から生まれる子供では、アレルギーや呼吸器のトラブルが多いとのいう疫学データがあります。

Brooksらによると、ピルを使った女性から生まれた子供は、喘鳴が1.8倍、咳が2.7倍になるとの疫学研究の成果を紹介しています。Osmanという研究者は、喘息・喘鳴が、1.16倍になると報告しています。KeskiNisulaらは、こうした因果関係を証明できなかったとしています。
 
小児科アレルギー領域の代表的な医学雑誌の最新号(Pediatr Allergy Immunolの2011;22:528)に、ピルと子供の喘息・喘鳴との関連を調べた疫学研究がありましたので、紹介します。
 
研究は、米国とノルウエイとの共同の作業になっています。ノルウエイでは、妊婦の大規模な集計が行われていて、妊婦の同意をとり、妊娠中に使われた薬を記録し、生まれた子供の病気との関連を調べています。
 
このデータによると、合剤ピルを内服していた母親19786人、黄体ホルモンProgestinのみの薬剤3286人、ピル内服歴のない人36548人の女性たちから生まれた子供の健康の経過を観察しています。子供が1歳半になるまで観察できた子供の数は、42520人 3歳まで観察できた子供の数は24472人でした。

経過観察の結果は、母親が黄体ホルモンProgestin剤を内服していた群では、子供の病気が起きやすくなるというものでした。

母親が合剤(エストロゲンと黄体ホルモンProgestin)のピルを服用していた場合は、子供の1歳半、3歳でのアレルギー、下気道の呼吸器症状とは、関連がありませんでした。しかし、母親が単剤の黄体ホルモンProgestinを内服していた群の子供では、子供が6か月の時点では、下気道の呼吸器症状1,41倍になりました。補正後は、1.19倍

糖尿病の治療に使う、インスリンのように、病気により体に足りなくなってしまった物質は、補わないと生命維持ができません。人工的な薬が、人類の病気に貢献しています。しかし、避妊薬とは、本来、機能しているしくみを、人工的に変調させるものなので、母子に望ましくない影響がおきることがあります。
 
こうした事実関係を、ていねに積み重ねていくことは、女性の健康問題に大事なポイントとなるでしょう。
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