女性ホルモンとは何者なのか?を考えるための情報提供です

欧米では、閉経後に、多くの女性で、ホルモン補充療法HRTが行われていたことを紹介しました。そして、ホルモン補充療法HRTが、発がん作用、血液凝固作用の副作用があることがわかり、今は、欧米では治療を受ける人がかなり減りました。
 
日本では、産婦人科学会が、HRTに対して好意的な立場です。いづれにしろ、この治療を選ぶかどうかは、女性が良く考えるということなのだと思います。このブログでは、HRTに対しては、マイナスの立場で情報を発信しています。本日は、女性のメンタルと、ホルモン補充療法HRTについての二編の情報をお届けします。
 
一編目は、ホルモン補充療法HRTが、メンタルトラブルを改善させるかどうか、その有効性についてです。
子宮を摘出した女性を対象に、二重盲検法を用いた検討です。
 
二重盲検法とは、本人も医師も本物の薬か、偽薬かのどちらが投与されたかわからないで、薬効を判定する方法です。
 
馬エストロゲン投与をうけた女性と、偽薬を投与された人において、メンタルトラブルを改善する効果は、どうかを調べた臨床研究です。
 
結論は、エストロゲンの有効性を示す結果は得られませんでした。それでは、効果が無かったのかというと、そうではなく、参加した女性たちのメンタルトラブルは、本当の薬(ホルモン剤)でも、にせ薬でも、改善されました。
Arch Womens Ment Health. 2011 14(6):479  PMID: 22016254

更年期の気分障害を治療するための、女性ホルモン補充療法(ERT)の有効性は、確立されていないです。
 
 この研究の目的は、閉経後の女性の気分障害と不安を改善するために女性ホルモンが有効であるかを調査することでした。ランダム化された、二重盲検による偽薬対照研究で行いました。抱合型馬のエストロゲン(CEEs; 0.625mg/日)、あるいは偽薬を、28日づつの6周期の区間にわけて投与し、症状を分析ました。
 
対象女性は、子宮摘出後に健康で、明らかな鬱病の発症は無い人です。薬使用前とその後のメンタル状態をベックうつ病調査表(BDI)とハミルトンAnxiety Scale(HAMA)を用いて、評価しました。
 
両群で、薬の投与前と比較して、BDI得点は、第1、2、3と6期で、改善しました。 投与開始から、エンドポイント評価まで、不安症状を得点化したところ、両群の症状の有意差は、投与開始後の第1期でありましたが、その後は、有効性に差をみいだせませんでした。
 
不安症状は、第3期より両群共、改善しました。 POMSスコアを用いた得点は、ホルモン群では、第1、2、3と6期に症状が改善し、偽薬群では、第2、3と6期に症状が改善しました。その結果、両群に差がなくなりました。
 
結論として、ホルモンの補充は、閉経後の女性で、気分障害や不安徴候を偽薬と比べて改善させる効果はありませんでした。

第2編目は、女性のうつと、遺伝子との関連です。

女性のうつ発症と、女性ホルモンとに関連があるのかどうかを、解明するために、遺伝子研究が行われています。
 
エストロゲン受容体遺伝子の特定部位に遺伝子形の変化(多型と呼ばれる塩基の入れ替わり現象)がある女性は、一生を通じて、うつ状態が発症しやすくなるとのフランスの遺伝子研究の成果を紹介します。
 
この論文の結論は、特定部位の遺伝子多型をもつ女性は、閉経とは無関係に、一生を通じて、再発しやすいうつ病が発症しやすくなりました。つまり、女性のうつと、女性ホルモンは、遺伝子多型レベルで関連することを証明できたとする成績です。
J Affect Disord. 2011、 PMID: 22051074
 
エストロゲンは、女性のうつを含めた気分障害MDDと関連しているだろうとの大方の予想にかかわらず、エストロゲン受容体(ER)遺伝子多型と、生涯の大うつ病の関係は、明らかになっていませんでした。今回の結果は、エストロゲン受容体ESR1遺伝子多型と、うつ発症の関係を証明した最初の研究とのことです。
 
方法: 3987人のフランスThree市に在住する65歳以上の女性において、ミニ・インターナショナル問診票を使い、疾病分類DSM-IV基準に従って、現在及び過去におけるうつ病を含む気分障害病(MDD)が診断されました。その女性の遺伝子検査を行い、病気とエストロゲン受容体遺伝子の個人差(多型)との関連を調べました。
 
遺伝子多型の検査とは、両親から受け継ぐ相同遺伝子において、塩基配列がどのような塩基配列であるかの個人差を調べる作業です。違いを持つ人に、病気が起きやすいかを調べます。
 
エストロゲン受容体アルファ遺伝子(ESR1)多型の有無を、回帰モデルで調べました。その結果は、遺伝子ESR1 rs9340799の場所において、ホモ接合(同じ塩基が並ぶ)のある女性では、生涯を通じてうつ・気分障害(MDDと略)が発症しやすくなりました。
 
うつ・気分障害(MDD)は、ESR1遺伝子にホモ接合のある女性では、それが無い女性に比べて、病気が1.6倍に起きやすくなることがわかりました。
 
さらに、この特定できた遺伝子部位rs9340799において、GG遺伝子型(Gはグアニン塩基のこと)の人は、うつ病(MDD)が、再発しやすくなるリスクを持ち合わせていました。うつ状態の持続期間や重症度との関連については、今回の研究では考慮できませんでした。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

トラックバック