疫学データは、結論だけで判断できないようです。ピルの危険性について

昨日、Royal College of General Practitioners' oral contraception study(ロイアルコレッジ開業医によるピル研究)を紹介しました。
 
1968年に、英国において、開業医(GP)たちが協力して、当時25-35歳の女性、当初2万3千人づつの女性に研究参加を呼びかけました。そして参加した女性たちにおいて、ピル使用者とピル未使用者別に、健康追跡調査の結果を発表してきました。このブログでは、この論文シリーズについて、さかのぼって成績を紹介していきます。結論のみでなく、それを導き出す経過についても、考えてみましょう。
 
その結論は、35年間にわたり追跡調査を行ったところ、ピルを内服する女性の死亡は、服用しない女性に比べて、死亡率は上昇せず、全死亡もがん死亡も減少するとの結論になっています。しかし、論文を読んでいくと、いくかの問題点に気づきます。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2837145/pdf/bmj.c927.pdf
 
昨日も書きましたが、1968年当初、ピルを内服する女性と、内服しない女性の同数づつに、研究参加を呼びかけました、しかし、実際に承諾してくれた人はピル群に多く、その結果、ピル群に属する女性の数が、参加人数が多くなりました。一部は、最初はピルを使っていませんでしたが、途中からピル群に、変更になった場合もあります。
 
そして、ピル群の女性の方が、年齢が若くなってしまいました。両集団の年齢補正は、年齢グループに分けて行っているようです。
 
集計の結果では、ピル群と、非ピル群とに、年齢による違い、喫煙率による違いが生じてしまいました。当初、ピル使わない人17306人、ピル使った人28806人の女性が参加しています。
 
又、参加した女性の98%が白人だったということです。
 
ピルの使用の必要性の違いから、女性の社会背景に差異が出ており、それは、結果にバイアスがかかると予想されます。集計結果から見ても、ピル群で、自殺者や、外傷で死亡する女性が多くなっていて、女性の社会背景に差異が伺われます。
 
自殺者は、ピルの内服期間が長いほど、多くなっています。そうした女性の背景に配慮して、論文を理解していく必要があります。
 
当初の研究は、1400人ほどの開業医が協力する観察研究でしたが、1976年に、英国の公的医療システムのNHSにデータが引き継がれています。当初の75%の女性の引き継ぎに成功したようです。
 
さて、もう一度、論文内容を検討してみましょう。

ピルの使用と非使用群間における、39年以上にわたる死亡状況の比較ですが、一覧表で整理されています。 
年間の参加人数に、それぞれの女性の追跡年数をかけた値は、ピル使用者819 175人、ピル未使用者378006人でした。
 
あらゆる原因による死亡率と、がんによる死亡率が、ピルの使用の有無と、どのように関係するのか検討しています。39年年間の観察後では、

ピル使わない人生存者15559人と死亡者1747人、死亡率11.2%
一方、ピル使った人では、生存者25942人と死亡者2864人、死亡率11.9%でした。
 
30歳未満の占める割合が、ピル使わない群では51.6% 、ピル使った群は、63.6%であることは、昨日に書きました。有意差が<0.001です。
 
研究者も、このピル群と非ピル群の違いに配慮して、工夫がされています。
 
すなわち、女性の年齢別にわけて、死亡との関連を出しています。
そうすると、年齢が若い層では、ピル群に死亡が多くなっています。
すべての原因による死亡は、30歳未満では、ピル使用者は、未使用者の2.85倍、30代では、1.06倍となります。
 
がんとの関係については、この研究の成果として発表された過去の論文結果を、次に書きます。
こうご期待!
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