桂報告書は、複数の学者の共同執筆であると、当ブログは言っている。
共同執筆者は多様であり、ESねつ造説を推し進めたい学者もいれば、ESねつ造説を否定したい学者もいる。
ESねつ造説を推し進めたい学者は、ESねつ造がわかるように堂々と文章を書き、ESねつ造説を否定したい学者は、巧妙に書く。
ESねつ造説を否定したい学者の真意を読むには、科学の知識と洞察力を持つ事が必要になる。
結果、ESねつ造説を否定している事実に気付く読者もいれば、気づけない読者もいる。
物事を単純化して考える読者は、桂報告書がESねつ造説を否定している事実に気付けない。
桂調査委員の各人がみなしているねつ造説への信憑性は、どの程度なのかはわからない。
専門家である伊藤氏は、積極的にES捏造を支持しているとは思えない。
しかし、そうした本音の理解は別にして、桂調査委員会での桂氏は、ESねつ造説を推し進めたい学者である様子は確かだ。
ESねつ造説を推し進めたい学者は、本人が本気でESねつ造説を信じているとのスタイルを取る必要がある。
そうでなければ、その学者は真実とは違う嘘をついていることになってしまう。
桂調査委員会は、ES混入を認め、その原因が過失か?故意から決められないとした。
しかし、記者とのやりとりを聞けば、桂氏は小保方ESねつ造ありきの立場で話をしている。
今までも書いてきたように、桂氏は小保方氏がESを若山氏にわたしたと解釈できるような言い方をしているのである。
2012年11月頃よりSTAP細胞が良くできるようになり、それはESがコンタミしていたからであると言っている。
桂氏は、最初から、小保方氏を問題ある人とみなしている。
たとえば、小保方氏の言い分には、聞くたびに以前と違うことがあるとする。
データ認識の混乱やミスが多いと言っている。
そして、桂氏が、小保方氏に対して悪評価の最大は、小保方氏がデータを出さないでいる人とみなすところだ。
桂氏は、小保方氏の聞き取り調査は、3回であったと言っている。
なんと、たったの3回でしかない。
当時の小保方氏は、桂調査委員たちの質問に対し、自身の実験以外には、積極的に情報提供をしていなかったようだ。
これは、小保方氏が他の実験者に配慮したりもあるだろうが、小保方氏は、「実際に実験を担当者が答えるべき」と研究者としての矜持があったのではないかと思う。
ところが、そうした小保方氏の周りの仲間への配慮は、小保方自身をとても不利な状況に追い込んだと思う。
小保方氏にとって、実験協力者を悪く言うわけにはいかないのは当然なのだが、疑惑を全部、押し付けられてしまったようだ。
何しろ、たった、3回の聞き取り調査では、周りの調査委員たちが、小保方氏にどのような印象を持っているのか?小保方氏は見極められなったのではないだろうか?
ここで大事なことは、実際に調査した理研の調査結果は別にあって、それに基づいて桂調査委員会は裁定をしているのである。
つまり、ES混入の事実をつきとめた理研内部の調査人たちは、小保方ESねつ造の事実は、桂調査委員会へ伝えていない。
桂報告書に見れる二面性は、こうしたギャップがある結果である。
ESねつ造と、ES混入を分けて考えることはまともな専門家として当然であるから、理研内ではそうした考えの人たちが多かったと思う。
しかし、一方で、桂調査委員会は、それ以外の外部からもいろいろ圧力を受けている。
つまり、科学だけの理屈や価値観が通用しない状況になっているのである。
そうした外的圧力がある状態で、桂調査委員たちは、聞き取りをしているのである。
実際に、理研内の研究者たちが、STAP細胞がESであることを見出したとしても、小保方ESねつ造とみなしていたわけではない。
小保方氏の立場で、ESねつ造行為は難しいからである。
ESねつ造と、ES混入を分ける考え方は、桂報告書の至るところで見出すことができる。
しかし、残念ながら、ESねつ造と、ES混入を分けて評価する考え方は、桂氏の説明からは消失している。
桂氏は、小保方ESねつ造への印象操作を進めている。
小保方氏がデータ、パソコンを示さない、実験していないとの言葉を複数個所で記者に言った。
桂氏は、「小保方氏に実験ノートの提出をお願いしたが、小保方氏はいまだに出していない」と、桂氏は小保方氏を追い詰める発言をしている。
小保方氏はねつ造犯だから、やりもしない実験の図表をつくったのだ!という強いネガティブ印象を、記者たちに与えている。
もちろん、記者たち全員が小保方犯人であって欲しいから、記者会見の成り行きはどんどんESねつ造に向かう。
桂調査委員たちによる聞き取り調査でも、メチル化実験、増殖曲線での捏造判定についても、小保方氏の自身を守るための十分の対応ができないでいたようだ。
小保方氏が積極的に情報開示をしなかったことが、すべて、小保方ES混入犯の根拠とされてしまったように思う。
できるだけ実験の詳細は語らない方が小保方氏に有利であると、他者から言われていたのではないか?とも考えてしまうほど、小保方氏は、実験の詳細を語らないまま、聞き取り調査が終わってしまったのだろうと思う。
騒動が起こってからも、理研には、ES混入を認めても、ES混入犯は認めない学者たちもいる。
小保方ES混入犯を支持するような桂氏物言いがある一方で、桂報告書には、それに抵抗するような桂報告書文章があちこちに見られる。
桂報告書は、メチル化実験については、若山研究室員が行ったと記されている。
STAP細胞実験が行われた当時の理研には、当然、笹井氏が指導した研究グループがあり、笹井氏が魅せられたSTAP細胞実験を目の当たりに経験した学者もいるのだ。
メチル化実験は、GRASスタッフもからむ実験だから、他にもいろいろ証人はいるはずである。
そして、ボスの望むような理想的な結果になるまで、実験を繰り替えた可能性が高い。
実際に、若山研究室スタッフが、大腸菌のサブクローニングを繰り返し、何度も実験していた実情を知っている人もいるはずだ。
実験する人が他にいたのにかかわらず、小保方氏が実験もやらずに、デタラメなデータを作れるはずがないのだ。
個人が、周りの専門家の目をくぐって、1年半にもわたり、ES混入し続けることができないだろうと思う人たちは理研にいる。
その理研の人たちは、STAP細胞調査を行い、ES混入であることを突き止めているが、個人のESねつ造をつきとめたわけではない。
この結果をもらって、桂調査委員会は裁定をしているのである。
桂調査委員会の記者会見で、桂氏は、「ここまで書いていいのか?」との前提を置いて、「専門家による任意の調査では、その権限において限界があった」を報告書に書かせてもらったと言っている。
その部分が、桂報告書30頁の記述であり、ここが小保方ESねつ造色が強くなっている原因でもある。
”故意に混入した疑いを拭えない”という表現は、桂氏にとって熟考した果ての表現なのかもしれない。
そして、この言葉は、桂氏の個人的思いの強い表現であるということなのだろう。
桂ワールドの全開であるが、記者たちは、他の調査委員の人たちにも、全員が”故意に混入した疑いを拭えない”と考えているのかどうかを聞くべきであった。
現実は、”故意に混入した”にしたいマスコミが、そんなことをしてくれるはずがない。
>これだけ多くの ES 細胞の混入があると、過失というより誰かが故意に混入した疑いを拭えないが、残念ながら、本調査では
十分な証拠をもって不正行為があったという結論を出すまでには至らなかった。これは、本調査委員会の能力と権限の限界でもあると考える。また、桂報告書30頁を読むと、記者会見で説明した内容と同じことが書かれてている。
ここには理想論、建前論がかかれているのだが、こうした理想論の記述をするのは誰でもできることである。
しかし、桂氏は、自身の思惑とは別に、実際の聞き取り調査で交わされた貴重なやりとりをしっかりと一般社会に教えてくれている。
桂調査委員が、小保方氏にES混入させたことはあるかと質問し、小保方氏は、「ES混入はしていたのかもしれないが、私自身(小保方)が混入させたということはない」と答えたと、桂氏は言っている。
ここで大事なのは、小保方氏は、桂調査委員会の聞き取り調査で、ES混入を認めているという事実である。
小保方氏がES混入をずっと懸念していたのは確かであるが、その事実を本人も認めていたという事実は大事である。
ES混入は、実験していた全員が懸念していることなのである。
すなわち、自分自身の作業において、ミスがあるかもしれないと、実験を担当した全員が懸念しているのである。ESとの比較実験のあるSTAP論文なのだから、誰にも過失の疑惑がある。また、ES混入したときのみ実験がうまく行き論文に採用された可能性が高い。小保方氏が混ぜ続けたなどと考える人はまれだと思う。記者たちも、混ぜ続けたとは思っていないだろう。
桂報告書には、メチル化実験の実態がかかれている。
この実験は、小保方主体の実験ではないと、桂報告書にしっかり書かれているのだ。
メチル化実験のシークエンス結果が無い事をもって、すぐ、桂氏は小保方捏造に結び付けている。
こうした短絡性に問題があることをすでに書いてきた。
メチル化実験の実際の担当者は小保方氏ではない事実が何より大事なのだ。
(桂調査委員でなく)理研で実際の調査にあたった専門家たちは皆、知っているのである。
メチル化実験は、桂報告書19頁に以下が書かれている。
(調査結果)
CDB 若山研におけるプログレスレポート(PR)にて提示された資料、論文原稿の各バージョンで示された図、
実験を担当した CDB 若山研メンバーより提供された実験ノート記録、GRAS のコンピューターに残っていた実験データを照合し、PR 資料や論文図に示されたデータの信憑性を検討した。また、小保方氏に作図法やデータ処理について聞き取り調査を行った。その結果、以下のことが判明した。
赤字で示したこの一言が入るだけで、メチル化実験の詳細箇所には、小保方氏の責任が薄いことはわかるのだが、桂氏はそのような方向では説明をしていない。
データが無いとの理由で、すべて小保方氏の責任であると、桂氏は持って行く。
桂報告書
>(評価)
CDB 若山研の PR 資料において図の取り違えがあったこと、Article Fig.2c について裏付ける実験記録の存在が確認できないことなど、小保方氏のデータ管理は杜撰であった。のみならず、小保方氏は、自認するとおり、得られたデータのうちの一部だけを仮説に沿って意図的に選別して提示し、データの誤った解釈を誘導する危険性を生じさせた。
小保方氏が問題の不正作業をしたと、何の証拠も、桂報告書は示していない。
小保方氏が実験を担当していなければ、改変作業などもできないはずである。
小保方氏が、「誇れるデータではなく、責任を感じている」と言ってしまった事を根拠に、メチル化実験の全ての責任が小保方氏に及んだことになる。
他の実験と同じように、小保方氏が論文用の図表を選んだから、すべて、その内容に責任があると、桂調査委員会は裁定をしたのである。
個々の捏造の証拠を積み重ねて、捏造犯がいたと結論していくのが科学のやり方だが、法律家はその逆の方向の思考回路をとると、桂氏は言っていた。
法律家は、捏造があったと裁定を先に行い、それにむけて証拠を提示していくとの方法をとるのだと、桂氏の説明であった。
記者会見の桂氏の説明は、法律家の思考回路と同じに、先に小保方ES混入を設定し、小保方氏がデータ提出をしない、実験の実態を知らないことを根拠に、捏造判定をしているのである。
ES混入は、過失か故意かはわからないとするのが、理研調査の結果であり、その根拠は桂報告書内に書かれている。
故意であるとするには、相当の証拠を必要とするはずだが、調査委員会はそれはできていない。
故意であることが真実であれば、科学の真実のために、学術界の人たちが協力するはずである。
しかし、そうした動きはなかった。
学術界はただただ、関与せずの沈黙をまもったのである。
ESねつ造の思い込みの強い学者であることと、本当の専門家であることは別問題である。
STAP論文読まない、実験知らないの自称学術者の何を言おうが、言ってることが本物でないことはバレバレである。
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