若い人では、「喘息って、なんなんだよ!」と、イラだつ人もいます。

喘息は、老人あるいは小児期の病気のイメージがありますね。しかし、喘息はすべての年齢で生じ得る病気で、その始まり方もさまざまです。
 
ヒューヒューする、咳が止まらないなどの訴えで診療を受けると、喘息と診断されてしまう事があります。過去に喘息の診断をうけたことのない人では、困惑したり落ち込んだりします。
若い人では、「喘息って、なんなんだよ!」と、イラだつ人もいます。
 
最近は、咳喘息という言葉もしばしば使われますので、ますます、喘息と言われて悩む人々が増えています。
気管支炎などを契機に、神経性の咳に移行する人も増えているようです。
 
気管支炎などにかかると、痰がふえてきます。痰を出す手段として、咳はとても有用です。
 
しかし、人は意識的に咳をすることができます。そのため、咳が出るような状態でなくても、咳をしたくなる感じにつきまとわれてしまう場合があります。
 
これは、心因性の咳と言えるのですが、最近、このタイプの咳が、営業マンや電話対応の職種の若い人に増えているような気がします。この時点では、喘息と言える状態ではないのですが・・・・。
 
医師に喘息、あるいは咳喘息と言われた時から、人々の咳の悩みが深くなり、ますます、咳が止まらなくなる場合もあります。心因は、どんな病気でも作り出してしまいます。
 
喘息は、心因性の咳とは、異なり、気管支が狭くなる状態が決め手で、子どもも大人も共通の現象が起きてきます。では、なぜ、そうした状態になるのでしょうか?
 
健康な人では、多少の刺激物質を吸い込んでも、気管支が縮むことはないのです。それは、縮まないようにうまく調節されているからなのです。
 
しかし、喘息となった気管支は、さまざまな刺激に対して縮んでしまいます。喘息の人が風邪をひくと、ウイルス感染がうまく治められません。ウイルスが増え易く、その他の刺激でも、気管支が強く過剰に反応してしまうのです。
 
しかし、喘息の本態は、それほど、わかっているわけではありません。
実は、喘息本態についての議論は、ここ何十年と長く続いているのです。
 
喘息は炎症であるとの説明も、良く言われていますね。もう少し、気管支の縮み易さについて、考えてみましょう。
 
動物は、体が傷ついた時、炎症を起こして、修復に努めます。炎症は体のすべてで起きますが、のぞけない部位は、炎症のイメージがわかないかもしれません。
 
例えば、胃炎のある胃の粘膜は、真っ赤になっていて、ひどい場合は出血もします。内視鏡写真を見られた方もいるでしょう。同様に、喘息の発作を起こしている気管支の内側の粘膜は、赤くはれています。
 
目で確認しやすい皮膚の場合で、炎症をイメージしてみましょう。皮膚の切り傷などでけがをしたり、毒虫に刺されると、赤く膨れてきます。傷を治すために、血管は拡張し、血液成分は漏れやすくなります。血管から白血球などがしみだしてきます。
 
さらに、時間と共に、皮膚はさらに複雑な反応を起こしてきます。皮膚は、傷の部分のある部分の皮膚に血管を新たにつくる準備を始めます。この時に、局所にあつまってくるのが、血管をつくる前駆細胞(血管内皮細胞)です。血管を新たにつくりあげて、傷を早く修復しようとしているのです。皮膚の傷が大きければ、皮膚の赤みももりあがりも大きくなります。
 
喘息も、同様の変化が、気管支で起きていると、イメージしてください。気管支の内壁に傷がつき、この傷を修復するために、血管内皮細胞がふえてきます。実は、この修復作業が喘息の本体ではないかと考えられているのです。
 
血管をつくる細胞がふえるのですから、気管支の血管は増えてきます。血管が増えると、筋肉も増えてきます。この筋肉は容易に縮み易い性質を持っています。つまり、内側の方向に向かって腫れてきて、気管支を取り巻く筋肉が増えて、空気の通り道が狭くなってしまいます。気管支は痰をつくり、咳は、痰を外に排除しようとします。咳の刺激で、まずます、筋肉は縮んでしまうのです。
 
動物実験で、アレルギー物質を吸入させて、血管に傷をあたえると、動物は傷をうけた気管支の傷に、血管内皮細胞を、集めてきます。
 
人でも、この事実は証明されていて、喘息発作の人から取れた痰では、血管内皮細胞の元になる前駆細胞の増加が確認されています。
つまり、喘息とは、気管支が傷をうけてしまうこと、そして、その修復がうまくいかないことが、その本体ではないかと考えられているのです。
 
専門用語になってしまいますが、喘息の気管支で増えている物質は、IL-8,Gro-α、CXCR2リガンドと呼ばれる物質で、これらは、血管増殖のための因子をよびよせるために働きます。Gro-αは、血管内皮細胞の遊走を強めます。
 
これらの物質の働きと役割をひとつひとつ極めていき、将来の喘息の治療の候補となる物質を見つけていくのです。
(参考文献 Imaokaら、Am JRespir Crit care Med 2011;
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