経口減感作療法が、舌下療法より、治療効果が高いことがわかりました。

減感作療法は、IgEが発見される前から、長期間、アレルギー治療法として経験的に試みられてきました。

普通、細菌やウイルス感染症にかからないためには、その病原体と接触するのを避けますね。うがいをしたり、手洗い、消毒をしたります。

しかし、逆に、避けないで、接触することで、体の反応が起きなくなる場合があることを、人々は経験的に知っていました。

IgEの関与する免疫反応では、こうした現象がおきやすいです。
IgEの関与する病気は、慣れることで症状が出なくなる性質を持ちます。これを、体が減感作されるといいます。
 
アレルギーの病気の治療は、減感作療法で代表されるように、体を、原因抗原に触れさせて、慣らす治療法です。体が反応しないように変化すれば、根治療法になるわけです。
 
つまり、減感作治療を目的として、アレルギーの原因物質を、繰り返し体内に入れていきます。
 
体に繰り返し入っている侵入物質に対して、動物は反応しなくなるという、生体の調節機能を利用します。
 
さて、実際には、抗原物質を、どのように、どの位を体内にいれると、治療効果が出やすいのでしょうか?反応しなくさせるための効率のよい方法論が、世界で試みられています。

体内に花粉をいれる方法論として、注射法、腸管に入れる(食べる方法)、舌の下に花粉エキスを入れる方法などがあります。花粉症の治療としての舌下療法は、花粉エキスを舌の下にいれて、体内に花粉エキス吸収させ、花粉に対する(免疫細胞の)慣れを誘導するものです。

同様に、食物アレルギーは、食べられないアレルギー食品を、少しづつ、食べて、胃腸を慣らす治療法です。

この治療が有用であることがわかっていても、治療を試みたすべての人で、同じ成果が期待できないこと、成果がないばかりか、他の免疫病を引き起こすことが考えられます。

しかし、まれに起こる合併症に躊躇せず、子どもの将来への影響が大きい食物アレルギーを治そうとする治療が進められています。

本日は、そのうちの2編の論文を紹介します。
 
A Allergy Clin Immunol Kim EHら 2011;127:640
食べて治すをコンセプトに、ピーナッツに対しても、経口減感作が進められました。この比較研究に参加した子どもたちの年齢は1-11歳、すでにピーナッツアレルギーの診断のついた18人の子どもたちです。
結論は、治療がうまくいき、ピーナッツの減感作も積極的にやれるというものです。しかし、副反応は起きています。
 
ダブルブラインドという研究方法をとる治療では、投与される人も、投与する人(医師)も、実際の舌下にいれる物質の中身を知りません。この論文では、一方の群には、ピーナッツを舌下に投与し、他方の群では、偽物質(偽薬群)を投与します。

もともと、アレルギーのある子供を集めていますので、この子どももたちは、日常的に反応しやすく、この比較試験でも、ピーナッツ群11.5%、偽薬群でも8.6%に反応がおきています。
 
ピーナッツ群でおおいのは、約1割(9.3%)におきた口腔内のかゆみでしたが、ピーナッツの入っていない偽薬群では、皮膚のトラブルでした。

いろいろな反応のおきる子どもたちに対する治療の検討には、偽薬との比較が大事です。
しかし、日本では、この方法による治療は難しいものと思われます。
 
治療は順調に進んで、論文では、ピーナッツ群では、1710mg食べられ、偽薬群では85mgまでに止まり、両群の治療成績の差が明らかでした。

子どもたちのIgEは、減感作療法開始後、4か月までは上昇し、その後は下降に転じました。
 
理論通り、ピーナッツ抗原と接することにより、IgEの産生は抑えられることが、この論文で証明されました。
 
Keet CAらJ Allergy Clin Immunol. 2012 Feb;129(2):448-55, PMID: 22130425
次は、ミルクアレルギーの子どもたちの減感作による治療法の論文です。

この論文では、6-17歳のミルクアレルギー30人を対象に、ミルクを飲ませて、ミルクアレルギーを克服させました。

この論文では、舌下療法と経口減感作療法を組み合わせています。
ミルクアレルギーの子どもを、3群に分けました。舌下療法のみ、舌下療法と経口減感作療法のコンビネーション療法、経口減感作療法のみの3方法です。

ミルクを飲ませながら、12-60週間かけて減感作の治療を行った後、ミルク蛋白8gを飲ませる試験を行い、この負荷試験に耐えられるか、つまり、減感作がうまくいったかの治療効果を調べました。

舌下療法では、10人中1人、
コンビネーション療法では、10人に6人、
経口減感作療法のみでは、10人中8人が、
 
負荷試験に合格しました(食べられるようになったという意味)

この子どもたちの、アレルギー反応の変化を見ました。

IgEや、ヒスタミン反応性については、経口減感作療法を行った子どもたちに、望ましい結果がでました。その他のアレルギー検査では、舌下療法と経口減感作療法に大きな違いはありませんでした。CD63やCD203cは減少し、特異IgG(4)は上昇しました。しかし、経口減感作療法の方が、副反応が多くでました。しかし、総じて、経口減感作療法が、舌下療法より、治療効果が高いことがわかりました。
 
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