アレルギーを進ませる方向と、それを止めようとする方向へと、乳児の免疫細胞が、互いにせめぎあっています。

前回、このブログで、本物の食物アレルギーは無くとも、人々が食物アレルギーがあると思いこんでいる場合があることを紹介しました。
 
食物に対する反応性は、実証できないことがあり

(その食品がどのような経緯で作られたのか?何が含まれているか?はわからない・・・)
 
人が食物に反応してしまう時、機械ではないため、時と場合で違ってくるので、あいまいで未解明が多いと言えます。
 
そうした食物アレルギーをめぐる疑問は、日常でもしばしばあります。科学の力で、そうした病気のあいまいさを少しづつ解明する努力が続けられています。これからも、客観的事実をつみかさね、診断技術の向上させたいです。

病気を明確化できれば、医師ごとの診断と治療のばらつきは、減っていきます。
 
オーストラリアの小児科研究グループは、生後半年の乳児が、食物を受け入れやすくなる時期であることを証明し、この限定した期間を、ウインドウ期間と呼ぶことを提唱しています。
 
つまり、この時期は、アレルギー反応が起きても、固定化することがなく、むしろ流動的で、アレルギー反応の再現性が低い時期とみなしています。
 
今回の論文の食物負荷の際、オープン法でも、二重盲検法でも、6-9ヶ月の乳児の陽性率は低く、むしろ、9-12 ヶ月の乳児の方が、陽性率上昇していることが興味深いです。
 
6-9ヶ月の乳児で、アレルギー反応の再現性が高くなるのは、IgEが上昇し、反応が固定化するからでしょうが、一方で、年齢と共にアレルギー反応が減弱する様に、乳児の体が変化していきます。
 
すなわち、アレルギーを進ませる方向と、それを止めようとする方向へと、乳児の免疫細胞が、互いにせめぎあっているわけです。
 
そして、多くの乳児は、健全なかたちに修正される能力を持ち、食物アレルギーから逃れられるのだろうと思います。
 
今回は、乳児の食物アレルギーに関する診断の問題をとりあげます。
親から、食物アレルギーがあると申告にあった乳児で、実際にその食品を食べさせて、反応がおきるのかどうかを見ました。再現性をもって実証できた食物アレルギー頻度は、申告頻度の数値より低かったとの結果です。
 
J Allergy Clin Immunol. 2006;117:111 PMID:16675341
 
以下が論文です。

背景:生後1歳までに発症する食物アレルギーの頻度に関する調査は極めて少ない。コホート研究(n=969)で、生後3、6、9と12ヵ月に、栄養法とアトピーの状況の有無を、両親から報告してもらった。子どもが、1歳になった時に、アレルゲン皮膚テストを受けた。症状のある子どもは、実際のその食物を食べさせて、症状が起きるかどうかを確かめるチャレンジ検査をした。
 
結果:親から報告では、食物に対する反応は、乳児が3ヶ月の時点で132人 (14.2%) 、6ヶ月で 83人 (9.1%), 9ヶ月で49人 (5.5%), 1年で65人 (7.2%) の頻度であった。
1歳になった時に、アレルゲン皮膚テストでは、吸入性抗原に陽性率は、1.0% (8/763)は、食物抗原に陽性率は2.2% (17/763)であった。
 
オープン法による食物負荷チャレンジテスト(検査医師は原因食品が含まれていることを知っている)をすると、6-9ヶ月の乳児では 1.4% (14/969)、9-12 ヶ月の乳児では2.8% (27/969)の陽性率であった。
二重盲検プラセボ対照食物チャレンジテスト(原因となる食品が含まれているかは、医師も本人も知らない)では、6-9ヶ月の乳児では0.9% (9/969)、9-12 ヶ月の乳児では2.5% (24/969)であった。
 
1歳までの食物アレルギーの累積率は、オープンテストで4% (39/969; 95% CI, 2.9% to 5.5%)、二重盲検プラセボ対照食物チャレンジテストでは、3.2% (31/969; 95% CI, 2.2% to 4.5%)の間であった。.
 
結論:生後1年間に、食物過敏症は、2.2%から5.5%の間で起きている。しかし、生後1年に、親から報告される食物反応の頻度は、客観的に評価された数値よりかなり高い数値になっている。 
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