低酸素リスクを少しでも避けるためには、アナフィラキシーを起こした妊婦は、左を下にした側臥位をとります。

アレルギー医学専門誌(J Allergy Clin Immunol 2012;130:597-606)に、妊娠中に起きるリスクのあるアナフィラキシーについての解説と、注意喚起を促す論文がありました。
 
アナフィラキシーは、アレルギーの急性期反応の重症型で、血圧低下、意識低下、窒息(喉頭浮腫)、心停止などにより、重症であれば、死亡することがあります。
 
1型アレルギーは、本来、生体に飛び込んできた異物(抗原)を、すばやく除去するために発達した免疫反応ですが、それが過剰に強く働くことにより、ショック状態となり、体中へ供給される血液量が低下します。
 
昨今、アレルギーを持つ女性が増えてきましたので、妊娠中の喘息や、アナフィラキシーの危険について、注意喚起する記事が増えてきました。アレルギーの多い外国では、すでに、妊婦の10人に1人に喘息があり、妊娠中の喘息に対する治療検討が続けられています。
 
今回話題のアナフィラキシーは、喘息より頻度は低いですが、妊婦対策としてより重要性が増していると思われます。
 
対策の基本は、その女性の過去の既往や出来事から、アレルギー反応が起きる要因をしっかり把握しておくことと書かれています。当たり前のことですが、案外、妊婦も医師も抜けてしまうことがあるようです。
 
アレルギーの原因は、個々の女性で異なりますので、過去の出来事をしっかり評価して、その因子をリストアップし、妊娠中は特にしっかりと避けてくださいとのことです。そして緊急時には、妊婦自身で注射できるエピペンの用意しておくことも大事です。
 
妊娠の初期におきるアナフィラキシーの原因は、一般女性と同様に、食品、吸入性抗原、ですが、いよいよ、出産時期が近くになると、さらに注意を要するイベントが加わります。
 
例えば、産道感染を防ぐために、出産近くになって開始される抗生剤、医療関係者がはめるゴム手袋など、予め、これらのアレルギーの有無をチェックしておくことが求められます。実際に、以下に書くように、こうした物質が危ないのです。
 
引用論文によると、各国から集めた妊娠中にアナフィラキシーを起こした女性は、23名いました。8人は、抗生剤(βラクタム)、6名にゴム手袋(ラテックス)、その他の薬剤、ハチ毒、蛇毒などがありました。
 
母体の死亡はなかったのですが、1名に胎児死亡、早産を含めて、7名に後遺症が残りました。
 
テキサス大学の60万回のアナフィラキシー女性の調査では、19名に出産時アナフィラキシーが報告され、10万回の分娩に2.7回でした。その主たる原因は抗生剤と考えられました(11/19)。

出産近くになると、抗生剤へアレルギーは、それが頻度は低いものではあるものの、重大なイベントを引き起こすことがあります。

想像できるように、母体にアナフィラキシーが起きると、胎児は低酸素にさらされます。動脈の酸素は、妊婦の1/3 から1/4が胎児に供給されています。ある程度の予備力をもって、酸素が胎児に配られるのですが、母体の酸素低下は、直に、胎児の酸素低下です。
 
低酸素リスクを少しでも避けるためには、アナフィラキシーを起こした妊婦は、左を下にした側臥位をとります。心臓へ血液が戻る量が最大とするための姿勢です。起き上がったり、座ったりは絶対避けたいです。血圧は最低でも90mHgは保ち、子宮への血流を維持します。

この論文では、減感作療法は、妊娠中をさけて、妊娠前後にすることを勧めています。
 
著者感想
食物アレルギーの増加に伴い、食べて治す治療法の減感作療法が盛んになってきています。食物アレルギーは、治りやすい小児期に、これらのアレルギー状態を無くしておくことが求められます。
 
女性は、将来の出産などのことを考えると、アレルギー物質を正確に把握しておきたいです。抗生剤は、必ずしっかりとした名前で記録すべきでしょう。抗生剤は、必要があって投与するものですから、ばくぜんと抗生剤とだけ言っても、医師は困るでしょう。
 
予防を目的とした除去食を避け、離乳食を遅れることなく導入します。以前のブログでも紹介したように、乳児が初めての食べ物を受け入れやすい時期というのがありますので・・・。
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