日本のアナフィラキシー死亡の疫学数値は、多様な立場の医師による診断書を基本

前回、妊婦のアナフィラキシーについて書きました。今回は、もう少し一般的に、アナフィラキシーについて書きます。
 
アナフィラキシーは、重篤であるために話題性が高いですが、背景にアレルギーの増加があります。その重症型であるアナフィラキシーも増加しています。日本では、アナフィラキシーの定義が、まだ、混乱しています。又、諸外国で、アナフィラキシーの原因因子の頻度が異なっていますが、アナフィラキシーの診断が難しいことがあることを読み取ってください。
 
論文によるばらつきはありますが、順序として多いのは、以下の3疾患
 
 疫学調査結果(論文)よりアナフィラキシーの頻度を推定した。
  ペニシリンアレルギー0.7% - 10%,
  造影剤アレルギー0. 22%ー1%、
  虫刺アレルギー 0.5%ー5%
 
一方、有名だが、実際には以上の場合より少ないのは
  食物アナフィラキシー 但し、アナフィラキシーとの誤診が多い。
それでは、それぞれの論文の内容を見てみましょう。
 
米国のアナフィラキシー3篇の論文
 
1)NEISSと呼ばれる全米規模の健康障害関連サーベイランスのしくみがある。2003年の2ヶ月間のデータでは、食物関連イベントによる20,821人の病院受診数のうち、アナフィラキシーは2333 人、
 
食物アレルギーによる入院520 人、平均年齢26歳、5歳以下24%、6歳以上では、魚類、5歳以下では卵、フルーツ、ピーナッツ、ナッツであった。
 
診療録では、エピネフリンを受けたのは19%、死亡したのは、ゼロであった。アナフィラキシーと思われる症状の57%は、アナフィラキシーとの診断名はついていなかった。
 PMID: 18206508 J Allergy Clin Immunol. 2008 ;121:166-71.
 
2)1990-2006年にかけて、ニューヨー クでは、20歳以下のアナフィラキシーによる入院が4倍に増えている。男児は、女児の1.4倍に起きていて、ピーナッツが原因が一番、多くなっています。
Ann Allergy Asthma Immunol. 2008 ;101:38

3)25 年間 (1978-2003年)、大学付属のアナフィラキシーセンターの診療録を調査し、質問表を用いて患者を追跡した。
 
601名で評価できた。患者は、1-79歳(平均37歳). 女性が62% を占める.
 
アナフィラキシーの原因は、41%に判明した。食物は131人(22%), 薬剤69人(11%), 運動31人(5%)であった。 223人(37%)は、皮膚テストが陽性のアトピー素因を持ち合わせていた。87%の患者が蕁麻疹と血管運動性浮腫を持ち合わせている。
 
マストサイトーシス(マスト細胞が増加する病気)は、3名にみられた。 アナフィラキシーを一旦、呈した患者でも、時間と共に、アナフィラキシーの頻度や重症度は減弱した。Ann Allergy Asthma Immunol. 2006 ;97:39.

フランスでは、アレルギー関連救急受診は、0.2-1% 。
 重症のアナフィラキシーは、1万人に1-3人、そのうち死亡は、0.65-2%、すなわち100万人に1-3人と推定される。学校における食物によるアナフィラキシーは0.065%と算定.
米国やオーストラリアではもっと数値が多い。 Allergy. 2005 ;60:443 PMID: 15727574
 
英国
アナフィラキシーの頻度は増えていて、2001年には10万人当たりの6.7人から、2005年には7.9人と増えている。一生のうち少なくとも1回のアナフィラキシーを経験した人は、2001年は、10万人に50人の割、2005年には、 10万人に75.5人の割で増えている。
 
この時期にアドレナリンの処方量は、97%上昇している。2005年の終わりには、37,800の人がアナフィラキシーを経験している。英国では、1,333に一人の割で、アナフィラキシーを経験している。 J R Soc Med. 2008;101:139
 
日本
21年人口動態統計では、アレルギー疾患に関連した死亡者数は2,190名であり、「喘息」による死亡は2,139名(97.6%)、「スズメバチ、ジガバチ、ミツバチとの接触」による死亡は13名(0.6%)、食物反応によるアナフィラ キシーショックによる死亡は4名(0.2%)との数値が出ています。
 
ここで、注意したいのは、日本では、分類が異なること。アナフィラキシーであることが明らかであるハチアレルギーに対し、喘息の誘因は多様であり、アレルギーによる死亡とするのは断定できない症例があるはずです。
 
こうした諸外国の統計とは結果が異なる理由は、日本のアナフィラキシー死亡の疫学数値は、多様な立場の医師による診断書を、死亡の基本としているため?
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