抑うつ症状の程度が、エストロゲン濃度の上昇と、関連する事実を示す結果

初潮をむかえ、胸が発達してくる思春期の女性にとって、輝ける人生の始まりの時なはずですが、実際の英国の少女においては、この時期に少女たちの幸福感は高まるわけでなく、むしろ、うつ状態が高まってくるらしいです。

今日はこうした事実を研究している疫学研究(ALSPAC)の紹介です。Psychol Med. 2012 Apr 12:1-11
 
女性ホルモンは、女性の脳に、女性たらしめる作用を持ちます。すなわり、不安をかんじやすい女性の脳は、冒険をさけ、おとなしくしている行動をとります。不安を感じる心は、同時に落ち込みやすい心もつくります。
 
思春期に、急激に上昇する女性ホルモンが、少女たちの心に、不安を起こさせる物質として作用している可能性が高いということです。

そういえば、以前、日本にも、青春時代という歌がありました。その歌詞も、青春時代が夢なんて、後からほのぼの思うもの。青春時代の真ん中は、胸にとげさすことばかり・・・だったかな?
 
不景気風の吹く先進国の子どもたちは、思春期は、将来に向けた不安が大きくなる時期であり、人生最良の時として楽しんでいるわけではないのは確かなようです。
 
日本においても、質問表を用いて毎日の生活QOLを調べると、定年後の人とくらべて、若い世代の人のQOLがはるかに悪いことに驚きます。
 
日本で生活QOLが高い人たちは、定年後の男性たちのようです。女性は、加齢によりQOLは高まりません。
 
今回の成績は、英国で長く疫学研究を続けているエイボン研究(ALSPAC)から、導き出された成績です。
 
気分と精神状態に関する質問アンケート(SMFQ)を用いて、10歳半、13歳、14歳の少女2506人に質問をしました。多変量回帰モデルを用いて解析しました。少女たちの性的発達については、胸の大きさ、陰毛の状態、初潮などから評価しました。

女性の年齢と共に、初潮のタイミングより、胸の発達に平行して、抑うつ症状も増強しました。特に、14歳において、胸の大きさと、抑うつ症状の程度には、強い直線的な関連がありました。

抑うつ症状の程度が、エストロゲン濃度の上昇と、関連する事実を示す結果となりました。この時期の女性の抑うつ症状に、性差が目立つ事実が、男女間のエストロゲン濃度の上昇の違いで、説明がつきます。
 
今回の結果から考えると、思春期に上昇するホルモンが、少女のメンタル状態に及ぼす影響と、そのメカニズムを解明することが、とても大事に思われます。
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