人の折れない心は、前頭前野と、側頭部、頭頂部などと、扁桃体との間の電気的交流に支えられています。

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過去のブログでは、PTSD、社会不安、統合失調症での、脳機能の失調に関する論文を紹介してきました。このブログの“メンタル”の項目をクリックいただき、過去ブログを、ご参照ください。
 
脳の失調は、神経細胞と他の脳細胞との電気的交流の失調により起こります。
 
脳神経細胞は、自らの神経突起を四方八方に突き出し、他の細胞と交流しており、1個の脳神経細胞が持つ突起は、それぞれ何十万という数に達します。周りの神経細胞と密に連絡を取り合います。
 
今回の話題は、脳の扁桃体です。“メンタル”の項目に書かれた過去ブログに、扁桃体の図などを紹介しています。
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扁桃体は、サブエリアである LB (laterobasal)、CM (centromedial)、 SF (superficial) に分けられますが、扁桃体に住み着く神経細胞には、複数の大脳皮質にいる神経細胞から伸びた突起がからみあって、相互に密に連絡しあっています。つまり、扁桃体は、高等脳である皮質の支配をうけています。
 
現代の医学では、多くのタイプのメンタルトラブルは、複数に分布する神経細胞間の連絡が失調して起こると、説明されています。
 
人は誰でも、意識的、無意識的であるかを問わず、日常、心に決めたことを、行動に移しています。脳に入った情報(視覚、聴覚、臭覚など)を整理して、大事だと思うことをピックアップし、成果を想定し、実行に移します。言い方を変えれば、毎日の行動は、心(脳)がやろうと思ったことを実行した結果です。
 
行動を決める時、強い意思を持ち、努力して行動を進める日もあれば、日常的な流れの中で、淡々とこなす時もあります。

人が考えを決める時には、前頭部の前頭前野(prefrontal area)で決定が大事で、この脳皮質で決定したことが、最終的に実行に移されるために、前頭前野は、執行領域(エグゼプティブ)と表現されています。会社重役室がものを決める立場であることと、同じ意味のエグゼプティブです。つまり、外部から前頭前野に入ってくる要望に答えて、決定し実行する支配的な立場にいます。
 
この作業がスムーズに行えなくなる時、人はメンタルな病気になったと感じます。ちょうど、会社であれば、重役会議で大事なことが決まらない状態となり、個々の社員は、問題山積の現場で判断できず、会社として機能しない状態です。
 
連携失調であるメンタルトラブルは、不愉快で不快な症状を起こします。脳への情報入手経路が破たんして、脳に情報が集まらず、脳が指令を出せず、考えがまとまらない状況となります。たとえば、統合失調症でみられる幻聴などは、実際の聴覚刺激が無いにもかかわらず、脳の聴覚領域や、言語処理領域などで、神経細胞の興奮がおきてしまうらしいのです。こうした様子は、fMRIなどでも、観察できるといいます。
 
脳内ネットワークの電気サーキットがうまく廻らない結果、神経細胞が異常に興奮したり、逆に興奮が途絶えたりしてしまいます。神経細胞を興奮させようとしても、電気的活動が起こらなくなります。こうした脳神経細胞の連絡不全の結果は、人の考えや行動に、病気の症状として表われてきます。
 
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考えるための脳神経細胞の代表格のひとつは、錐体細胞と呼ばれる細胞で、長い軸策突起や、複雑にからみある樹状突起を、無数ともいえる数で持っています。
 
支配力のある錐体細胞に、他の脳細胞やマイクログリア細胞が密にからみあっています。この密な連携が健全であれば、感情の混乱や不安から、人々は守られます。
 
何らかの理由で、錐体細胞が死んでしまうと、死んだ神経細胞の数に応じて、その脳部位は萎縮してしまいますが、周りの脳部位が代償的に働きだす力が残れば、修復に努めます。しかし、十分に回復できないことがあります。神経細胞の死や減少の影響は、脳内ネットワークの維持に、大きな痛手です。
 
現時点での脳科学のレベルにおける説明では、正常人が、不安を克服できる機序は、扁桃体と前頭前野との間で、活発な電気回路の行き来がみられる成果とされています。
 
人の折れない心は、前頭前野と、側頭部、頭頂部などと、扁桃体との間の電気的交流に支えられています。人としての規範的な行動をとるために、密な神経細胞の連絡網が張られているのです。
 
つまり、平静心は、前頭前野と、側頭部、頭頂部などと、扁桃体との間の電気的交流の成果です。
 
一方、扁桃体と前頭前野との間で、活発な電気回路の行き来が低下してしまえば、不安などの神経症状に悩まされるようになります。
 
扁桃体の錐体細胞は、まわりのマイクログリアからの要望や、皮質の神経細胞による支配を受けており、不安克服には、皮質の神経細胞からの支配が大きいのです。扁桃体と皮質の神経細胞との間で折り合いがつかなくなると、不安の高まりが起きることになります。
 
メンタルトラブルをかかえる脳では、外からの要望に対し、前頭前野の背側部の能力が、処理能力を超えてしまうと想定されます。ここから、他の脳へ指令が出せない状態です。行動を決められない脳は、不安でいたたまれなくなっても、強い焦燥感を消せなくなります。
 
統合失調症では、前頭前野の背側部と、他の部位との交流が、単に途絶えるとかではなく、不規則に交流するといったさらなる調整の乱れがみられるようです。実際に、fMRIなどの脳機能研究などから、前頭前野の背側部が休んでいる様子が観察されるとのことです。
 
統合失調症の病因のひとつとして推定されるのは、人の成長過程における、扁桃体と前頭前野など大脳皮質との連携の失調です。扁桃体や海馬の脳部分と大脳皮質は、連絡しあいながら発育する必要があり、相互の神経ネットワーク構築を助けあいます。
 
扁桃体・海馬の発育が十分である結果、皮質の発達も促されます。相互に促進しうはずのネットワークの構築ミスは、その語のメンタルトラブルとなるリスクとなり、動物では、新生児期に扁桃体の発達が十分でないと、思春期以後に、前頭前野の機能が悪くなる現象が観察されるといいます。
 
PTSDでは、扁桃体での活性化は増強しますが、他の大脳皮質の反応が少ない現象が観察されます。健康人では、恐怖時に、扁桃体が活性化し、同時にACCの背側などの大脳皮質も共に、活性化する様子が観察できますが、PTSDの人では、こうした協調的な脳の活性化が見られず、大脳皮質の低反応の部分が認められたとの研究結果があります。
 
PLoS One. 2012; 7(4): e35925.によると、扁桃体のLB部分と、MC部分(図参照)と、脳皮質との連携に、男女差があると中国での研究が報告しています。扁桃体の興奮は、不安障害の多い女性で多く起こると予想されますが、扁桃体と前頭前野との連携における男女の違いは、脳機能を解明する糸口となります。
 
今後、ますますの研究と、治療成果が期待されます。
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