肝機能の異常は、どう考えたらいいの? No.2

男女の違いから病気を考える。
 
健康診断で必ずでてくる肝臓の数値、AST(GOT)、ALT(GPT)がありますが、この正常値は、米国では、男女で数値が異なります。男性では、30IU/L、女性では19IU/MLです。
 
若い女性の肥満は、内蔵型ではないのですが、加齢とともに女性の肥満も、男性同様の内蔵型になっていきます。内蔵型は心臓の冠動脈、肝脂肪への影響が大きいのです。女性は若い時はやせていますが、中年をすぎると肥満程度があがってきて、それにつれて、脂肪肝の人がふえてきます。難しいのは、この軽度上昇している肝臓機能をどのように評価するかです。軽症な場合は、しばらく経過をみないと、なかなか評価できないことがあります。むしろ、結論の早く出る場合は、進行が早いとか、経過が悪い場合が多いのです。以下に述べますが、生検をしないと、肝臓内部でおきている変化はわからないことが多いです。
 
女性の肝臓の病気には、男性とは異なる特徴があります。元々、女性は感染症に抵抗力があり、細菌、ウイルスなど病原体を殺す能力は高いです。C型肝炎ウイルスも同様に、男性の方がC型肝炎ウイルスによる肝炎の進行が早く、予後が悪い(肝硬変、肝がんで死にやすい)のです。男性は、C型肝炎ウイルスが増える速度が速いようです。しかし、C型肝炎ウイルスの特効薬のインターフェロンは、女性で効きが悪いです。女性はもともと、インターフェロンの分泌能力が高いのです。ですから、自ら作ったインターフェロン(内因性のインターフェロン)でも、治せなかった人が患者として残ってしまうので、そうした人では、さらに外から薬としてインターフェロンを追加しても、なかなか治療効果ができにくのではないかと考えられています。その反対に、男性では、外来性のインターフェロンが良く効く人がいるのです。
 
C型肝炎では有利に働いていた女性の能力が、一方で、肝炎の原因になることがあります。女性の異物排除の能力が高いことが、逆に災いをするのです。それが女性に多い自己免疫性肝疾患です。“自己免疫性”とは、自らで、自らの肝臓を痛めつけてしまう病気です。女性は、体内に侵入した物質に対して、いろいろに対抗
する物質を作りこんで、強く反応します。病原性のある外来物質がくれば、それを殺すための物質を作ります。たとえば、女性はTNF-αなどを呼ばれる物質を多く作りますので、これらが、自分自身の肝臓もだめにしてしまうわけです。こうした現象が、女性の自己免疫疾患の発症機序です。
 
女性特有の肝臓病
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
肥満や生活習慣病でおきてくる病気です。内蔵型の肥満を合併すると、肝臓に脂肪がたまりますが、エコー検査をすると、輝く肝臓と呼ばれるように白く光って見えるのが脂肪肝です。この病気は、程度が軽ければ、9割以上は大きな病気にはつながらないですみます。しかし、一部の人で、肝硬変、肝がんがおきてくることから、要注意な面もあります。そのため、この病気が疑われる場合は、肝機能のチェックをつづける必要がでてきます。脂肪肝は、さらに別の因子により悪化が進みます。俗にいう体質と呼ばれる悪化因子ですが、体質の中身は、必らずしも解明されてはいませが、一部を紹介します。その人が、活性酸素をうまく処理できる能力があるか?TNF-αをつくりやすいか?インスリン抵抗性(血糖を下げる物質であるインスリンの効果がでにくい)があるか?鉄を処理する能力がしっかりあるか(鉄は肝炎を悪化させる)? 代謝酵素(CYP2Eなど)が働いているかどうか? など、いろいろな個人の能力に依存しています。初期には、どの人がどのくらい悪くなるかは、なかなか予想できないものです。

脂肪性肝炎(NASH)
この病気のうち、肝臓の組織を一部とって、顕微鏡などを用いて組織検査(肝生検と呼ばれる検査)をして、肝炎という形になっているかを見ます。こうした特殊検査で、肝炎の所見がはっきりすると、病名が変わり、
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)から、脂肪性肝炎(NASH)となります。顕微鏡で肝臓の組織をみると、病気がすすんでいるという証拠をつかまえることができます。
 
いずれにしろ、“炎”がつくようになると、要注意なのです。最終的に肝炎があるかどうかは、こうした検査によらざるをえません。肝炎になっていても、初期には自覚症は無く、軽度のALT(GPT)の上昇がみられるだけですが、さらに進んでくると、ヒアルロン酸という数値が上昇してきます。肝炎になると、さらに肝硬変や肝がんになりやすいのです。脂肪肝から肝炎が起きてしまった人を男女差で比べてみると、女性の方が高血圧や糖尿病を合併している人が多く、女性は男性より軽度な肥満で肝炎になりやすいと言えます。
 
 
 

 
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