前回のブログに以下の文章を書いた。
更年期障害は、女性を苦しめ、望ましい状態ではないが、とりもなおさず、女性の弱い立場を象徴するものでもある。病気になったりしないと、周りにインパクトを及ぼせないのである。
これは、女性は仮病を使うと言う意味ではない。仮病というのは、本人が仮病であるとわかっている。
女性の心身症(自律神経失調などとも言う)は、社会的環境や立場の弱さがおおいに影響して、体の症状となって出てくる病気である。そして、本人はそれが心の問題であると思いたくない。
心身症の代表的な症状としては、体の痛み、疲れ、全身倦怠、うつ、無気力などである。のどのイガイガ、空咳、体のかゆみ、皮膚の違和感、口腔内の違和感など、それぞれの人ごとに症状は異なる。ひとつ無くなると、次に別の症状にとりかわったりもする。
こうした症状には、医師は取り扱いが困難で、診療現場で、医師に理解してもらうには時間がかかるが、日本の3分診療ではそうした機会はない。
ドクターから短時間で切り上げられてしまうと、患者さんは医師が真剣に向き合ってくれないとぼやく。
むしろ、胃腸症状、神経症状などの症状であれば、医師は病名をつけやすい。
結局は、不定愁訴と言われるごとくに、心の不安や不満から、さまざまに体の症状として、外にでているのである。
体はつながっているのだから、心のトラブルは体の症状になるのは、ごく自然なことである。
医師は具体的な病気を探そうとはしてくれるが、治療法のない症状にはあまり乗ってこない。
つまり、診療を受けたとしても、医者の言葉に決め手がないなら、それ以上は期待してもダメである。
むしろ、具体的な病名が無いなら、まず、安心するのが良いと思う。そこから、それぞれの人が、考えをめぐらし対処法を決めて行くことが有用である。
対処法は、100人いれば100人の方法があるような、多彩なものである。自分にとって、楽になる対処方を編み出す工夫をする。
体の不快な症状は、いつに出るのか?どういう時に悪化するのか?何により軽快するのか?などはそれぞれの人が一番、良く分かっている。しかし、こんなことを言っても・・・とか、意味がないのでは・・・と、医師では言わない患者さんも少なくないだろう。
いづれにしろ、自分自身の最高の主治医は自分であり、自ら気づくと言うことが、病気予防にとても有用と思う。禁煙なども自らの決意以外では、成功しそうにない。
このところ、読売新聞の人生相談の記事について書いているが、今回も、中年の女性(仮にAさんとする)が投降したひとつの悩みを紹介したい。
過去に、息子の学校担任だった女性の先生が、Aさんの駅近の自宅の駐車場に、時々、車を置かせてもらいたいと頼んだそうだ。Aさんは、この元担任の先生に、良い印象は持っていない。その理由は、かつて、この先生から息子について不愉快なことを言われたことがあったのだ。
さらに、先生に駐車スペースを提供するためには、早く起きて扉を開けなければならない。こうした状況であれば、息子の元担任教師と言えども、駐車をたのむ人は少ないだろう。この投稿への回答は、大学教授の女性であったが、「私なら断る。」というものであった。
Aさんの話によると、実は、先生の頼みに対し、最初に駐車を承諾したのは、義母であった。私は、ここが大事なポイントだと思った。もちろん、Aさんの場合がそうであるかはわからないが、Aさんの不快感は、駐車をたのんだ先生に対する不満だけではないような気がする。
Aさんの意向が無視されたまま、義母の立場を立てるために、駐車場の扉を空けなければならないことが、Aさんにはつらい。大事な息子をけなされた憎い先生のために、いやな仕事をしなくてはならない上に、自分の感情が無視されていることへの情けなさである。
本来、学校の先生は、親にとって大事な人なはずだが、それだけに反発が起きることもある。女性の教師は、母親はジェラシーを持ちやすい。しかし、息子の成績が良くなれば、母親の感情は尊敬に変わる。
しかし、Aさんは、義母の顔をつぶせない立場にある。義母に対して、Aさんは「反対です」と言えないのであり、家庭内でのAさんの弱い立場が思いやられるのである。
Aさんは、自分自身への情けなさや、義母に対する劣等感も相まって、先生に対しても、より強いくやしい思いが募ってしまっているのかもしれない。
投稿の文章では、憎しみは、先生に対して向けられているが、そうではないのだと思う。Aさんは、文章を作る時に、先生はひどいという表現をしているが、あえてその他の感情を書きこまなかった可能性がある。行間が気になる!代替的な感情なら、それに悩まされることは、Aさんの心の負担になりそうである。
では、Aさんは、どうすれば救われるのであろうか?少なくとも、Aさんは、泣く思いで扉を空ける作業をしてはいけないと思う。もし、Aさんが扉を空けようと決めたら、もう悔しい思いを超えて、自らの選択した結果を大事に考えて欲しい。扉を空けるとする作業は、Aさんが選択したのである。
もろもろ、家庭の中の自分の立場のため、息子の学校のためにと、Aさんはあれこれ考えた末、自ら扉を空けることを決めたのである。
それでも、扉をあける作業で、不快感が高まるなら、空けなければ良い。それもAさんの選択肢である。
女性が家庭でそれほど我慢せず、居心地の良い空間や時間を作り出すことが、とても大事だ。相手の立場も、自分の選択も大事にしていけば、被害者的な感情からも解放される。それは、「私さえ、我慢すれば・・・」というものとは違う。
心の悩みは、体の症状につながっている。それは、薬も医者でも、解決できないのである。
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