薬に対する体の反応は、難しい。

最近、医師の処方箋がなくても買えるOTC薬が増えてきました。以前は処方箋が必要だったロキソニンなども、薬局で買えるようになりました。OTC薬は、医師に行かない時に使う薬ですよね。しかし、OTC薬の選択に困ったら医師・薬剤師に相談とありますね。薬剤師に相談でいいのではないでしょうか?薬局や医療の現場で、しばしばトラブルが起きる原因は、薬に関する回答は、これが正しいというのがないのです。
今日は、これに触れます。
 
熱の有る時、痛みのある時、薬局で薬の相談をした場合、例えば、痛み止などで、
「胃が弱いのですけど・・・、大丈夫でしょうか?」
こうした質問は、薬剤師さんにとっては難しい質問と思います。もちろん、医師にとっても難しいと思います。胃が弱いというのは、いろいろな程度がありますから・・・。このお客さんの言っている意味をさまざまに解釈する程、答えが難しいです(胃が弱いという言葉には、漠然としているので、いろいろな可能性があるわけです)
医師は、薬に不安を持つ人には、病気の内容を考慮して、薬を飲まなくて良いと言ってあげられますが、薬局の場合は、判断が難しく、症状が軽い場合は、医師への受診を勧めるのも難しいですよね。
 
薬局の現場では、お客さんが難しい質問をすることは、しょっちゅうあると思います。
学とみ子は、本日、近くのスーパーの薬局でこんな会話を耳にしました。
(以前は医師の処方箋が必要だった)鎮痛剤ロキソニンを買いたいお客さんと薬剤師さんの会話です。
 
客「ロキソニンの副作用は、何かありますか?」
薬剤師「白血球の少ない方はまずいです」
客「私、以前に白血球が少ないと言われたんですけど・・・」
薬剤師「そうした場合はお医者さんにご相談ください」
客「じゃ、買えないのですか?」
薬剤師「・・・・・。以前から白血球が少ないのですか?」
客「体質的に少ないって言われているんです」
薬剤師「以前からあるのでしたら、問題ないと思います」
 
薬剤師の言うべき正解は、難しいですね。自然に治る事が多いと予想される病気は、薬をのまないで対処する方法をアドバイスした方が無難ですね。しかし、薬局は、薬を売るところですから、お客さんから「売れないのか?」と言われた場合は、なかなか対応が難しいと思います。
薬剤師さんの経験と知識を要しますし、教科書で勉強した知識では答えられません。正解は、「いろいろな想定できることが多いので、私の立場では答えは難しい」と言った方がいいかも・・・と感じた次第です。
 
 
ネットのお薬相談とかでも気になる表現はあります。正しい薬の使い方をしましょうと書いてありますが、正しい使い方というのは、実は、最初は、わかっていないことが多いですよね。とんでもない使い方は、論外ですが、薬の副作用は、正しい使い方をしないから出るわけではありません。薬の副作用がでる原因は、解明されていない問題も多く、研究途上の問題です。薬を代謝する(薬作用後は、無害なものに変換させる)能力が、個人でさまざまなんですね。大多数の人は、その他の大多数の人と同等に、薬を分解できる能力をもちますが、しかし、たまに、それができない人がいます。それは、医師が外から見てもわかりません。一部の人に、発疹がでたり、時には、重大な致死的な症状がでます。さらに、しばしば、薬との因果関係がはっきりしないこともあります。
 
何かあると医師に相談というけれど、体内の複雑な代謝の予想は、医師の能力を超えています。
 
薬が原因で、皮膚に赤味やぶつぶつがでる理由の医学的説明は、とても難しいのです。薬疹はだれでもできる可能性がありますが、特にがん治療中の人や、エイズ治療中の人は、薬疹が出やすいです。この理由もまだ、十分に解明されていません。薬の代謝産物自体が血管を傷めたり、免疫細胞を刺激して血管に炎症を起こすと想定されています。普段、健康な方が、本当に薬の影響ででたのか、必ずしもわからないことが多いです。解熱剤を飲むような時には、いろいろなウイルス感染のこともありますし、こうした場合は、薬とは関係なく発疹がでます。溶血性連鎖球菌(溶連菌)の感染症の時も、溶連菌に対する免疫反応で発疹がでます。薬疹は、薬を飲んだ人自身(免疫反応)で、皮膚の血管の壁に変化を起こしてしまうのです。薬以外でも、さまざまな原因で人は発疹を出すものです。
 
前のブログで、薬を分解する体内の酵素CYPの話をしましたが、この代謝能力にはとても個人差があると言いました。がんに関係すると説明したCYP1B1ですが、この酵素は、エストロゲンを分解する時に使われます。この酵素の遺伝子に変化があると、エストロゲンの代謝産物が多く作られてしまいます。一部の特定の遺伝子の型の人では、体からエストロゲンをなくす能力が低くなるわけです。すると、エストロゲンの持つ細胞の増殖促進作用が発揮されやすくなり、がん化につながりやすくなるようです。こうした事実は、最近、解明されてきたものです。
 
 
動物の命ある限り、その体内では、複雑な生体反応が進行しています。だから、薬のことをもっとよく知ってほしいです。熱や咳が体を守るための反応であることを理解し、薬で抑えることが体にどんな影響があるのか、薬の役割をもっと知りたいですよね。世の中には、体内の悪い物質や毒素を出す薬とか、大量にとると健康になれるサプリとかを謳う広告がありますが、根拠のない話には、振り回されないで欲しいです。又、女性の場合、エストロゲンが多くあると健康だという事を単純に信じないでほしいです。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

トラックバック