人は、非難してくる相手に対して、素直にはなれない。上から目線は嫌いだ。だから、仲間目線のアドバイスの方が、効果がでるかもしれない。

新聞の人生相談欄への投稿である。70代女性からであるが、この女性の夫が50代の時に、脳溢血で倒れてしまい、その後、夫は障害をかかえ長く療養している。

その女性の言い分によると、夫は、50代で倒れてもしかたないような健康に悪い生活習慣であったという。夫が元気だった時は、妻は、夫の女性関係でも悩まされたと言う。

そんな夫だから、案の定、突然、倒れた!と、この女性は表現する。

女性は、倒れた後、障害の残った夫を長く介護していたが、長年待って、やっと介護施設に入れることができた。それまでにも、夫は、何か所かの病院、施設で入院療養を繰り返し、そのたびに、夫は、女性職員に触るなどのセクハラを繰り返し、それが、原因で退院させられたこともあったという。

この女性の悩みは、今回、やっと入所した施設でも、再び、夫がそうした恥ずかしい行為をする事が心配だと言う。

妻にとって、夫のセクハラ行為は、人には言えない恥と感じているので、どうしたらよいか?の相談である。

この人生相談に対する識者の回答は、常識的なものであった。入所施設の職員は、プロであり心配はいらない。あなたの人生は、あなた自身のものであり、悩まないように! であった。

さて、この話、良くある話かもしれない。夫の恥は、妻の恥として、妻も背負うものと、この女性は感じているのだろう。

さて、ここで、この人生相談に答えると仮定してみよう。
 
どうしたら、この女性が楽になるかを考えてみたい。

まず、本当にこの女性は、自らの恥と感じているのか?

それは、妻の恥なのか?いいや、社会はそうはみなしていないことに、この女性は気づいているのか?
妻以外の人たちは、脳に障害のある男性の行為を、妻の恥と思っていないのである。
 
他人にセクハラをする夫に、つらそうな表情の妻をみて、世の中に人は、同情こそすれ、妻が悪いと思う人はいない。
社会は、妻が責任をとるべきものとは思っていない。なのに、妻のみが、責任(恥)をしょいこんでいるのである。

障害者の夫が、職員にさわっても、妻には、どうにもできない問題である。男性の病気の頭は、誰もコントロールができない。男女は、違う生き物なのであり、価値観が同じと思うと、女性はつらくなる。

もし、夫が健康体で、正常の脳の持ち主であれば、妻の恥ずかしさはあるかもしれない。
それは、世間が、なんでこんな男性を選んだのか?と、妻に対して思うかもしれないからである。

この女性は、妻としての建前にこだわっている。女性自らは、この問題に気づかない。

この女性の本音は、恥というより、女性に弱い夫にあいそをつかしている状態と思われる。
しかし、この女性は、そうは言いたくは無い。妻としての務めに反していると思えるし、妻の勤めを放棄したら、自身が情けなくなると思うからだ。
夫と決めた人に、貞節を保ちたいと思っている。愛もあるだろうけど。だけど、そこに無理があるのである。

この女性は、若い時から、夫の女性好きに悩まされてきた。
これは、男女の永遠のテーマであるが、扶養されている妻には、遠慮がある。夫を非難して、悪い方向へ向かうなら、やり過ごすという選択肢の女性も多いだろう。

人は、相手が非難していると感じる時は、素直に相手の言うことは聞けない。上から目線で物言いをされると、無視してやろうという気持ちになる。素直に従えないのである。

親が、わが子を、問題児扱いをしていると、子どもは親の言う事を聞かない。
親子ですら、そうなるのだから、まして、妻と夫なら、なおさらだろう。
妻が、恥ずかしいからやめてくれとたのんでも、夫は聞き入れない。
障害者になった夫にも、プライドがあるのである。

この際、妻は、注意掛けの言葉を工夫してみるとどうか?
「あなたを愛しているので、そういうことをされると、私は悲しい」 とかはどうか?
もし、これで、夫に変化が起きれば、すごい効果である。
さすれば、妻は、「私はとても、うれしいわ」となる。
 
上からのもの言いというのは、言った本人は、気付いていない事が多い。
 
こんなエピソードがある。
テレビノドキュメンタリー番組で登場する若い夫婦である。
夫が転職して、お笑い芸人になってしまった。 
駆け出し芸人の夫の収入は少なく、子どものいる家庭では、生活が苦しい。当然、二人の間にで喧嘩が起きる。
 
芸人の夫は、少しでも収入を得るために、早朝のアルバイトを始めた。しかし、それを欠勤してしまい、結局、バイトを首になってしまった。

妻は、夫をなじるのだが、その言い方が、「勝手に休んだら、会社が困るでしょう!」であった。この言葉に、夫は切れた。

「君ね、ほんとに会社が困るなんて、思ってんの!本気でそんな風に思ってんの?」
と、夫は強い口調で妻にせまった。
 
しかし、テレビ画面の妻は、夫の言い分を十分に理解していない様子だった。

夫は、妻から、上から目線で注意されたことを怒っている。「会社の人がこまるでしょ!」 は、上から目線だ。

仕事が首になった状況では、夫自身が一番、情けない思いでいる、家族にも悪いと思っている。言われたくないのに、妻から言われる。傷口に塩をぬられるようだ。

こうした場面では、妻は、「家族が困るから、私がつらいから、仕事をやすまないで!」と言った方がいいのだろう。

元の新聞の人生の話題にもどって、妻の言い分を考えてみる。この女性の場合は、
「私が恥ずかしいからやめてください」より、
「好きなあなたがそんなことをしたら、私は悲しい!」と言う方が、仲間目線なのだ。
 
妻は、夫の女性癖に嫌悪して、自らのメンタルを悪化させている。
妻は、介護が義務と感じているなら、手抜きを考えるのが、一番だろう。
介護はつらいが、介護中の夫のちょっとした言葉やしぐさに、妻がいやされることがあると思う。
 そうしたものを、みつけていくのもよいだろう。
 
あるべき妻の姿から、距離を置いて、自らのためと思う方が良さそうだ。

女性のメンタルヘルスが悪化すれば、女性の体が悪化して、介護の夫より、妻が先に逝ってしまうこともある。
そうなったら、とても惜しい結果に終わりそうだ。
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