人は、反応をしてはいけないのではなく、反応が進んではいけないだけなのです。その能力を内在しています。

 
腸内細菌の“多様性”とは、多数の種類の菌が雑居しているという意味です。
この状態に、あまりピンとこない人は多いと思います。
体内のどこか(今回は腸)で、菌が雑居しているのが、そんなに特別なのかな?と疑問を感じるからでしょう。
 
でも、これは特別に作られた状態になっていると考えられ、究極の住み分けが達成されていると言うべきものです。
 
将来、期待できるかはわかりませんが、局地戦争が治まって、地球が平和になるようなものです。それぞれの人間が、覇権を争うから、世界平和と、国家の住み分けが難しいのです。
 
同様に、菌も、生物体として、自らの仲間を増やそうとする宿命を持ちます。
腸内菌は、この生物体としての宿命を発揮せず、皆で仲良く同居することを甘んじています。
 
腸は、生き物同志の長い億の時間の攻防を経て、達成させたのです。
腸内菌の多様性は、自然にできあがっているというより、厳密に管理されている結果、到達させられた状態であると考えられるのです。
 
腸内の生物たちは、多彩で多様なバランスを保ちながら生存しています。
地球の平和は、皆が努力しなければ達成できないのと同じで、腸には、相当に実力のある管理システムがあって、厳密なバランスを保つしくみが存在していると考えられます。
 
腸に限らず、皮膚でもこうした常在する菌のバランスは保たれていて、私たちは健康な皮膚を維持しています。菌がいるから病気になるのではなく、菌がいるから健康を保てているのです。
 
どの位の種類の菌が腸内で生き延びているのは、現代医学ではわかりません。火星に生物がいるのかわからないのと同様に、人がまだ観察できない状態にあるということです。同じ種類の菌でも、個々でどの位遺伝子が異なるは、現代医学ではわかりません。
   
本来、私たちの腸の細胞は、菌の構造物を見分けて、排除しようとします。しかし、腸や皮膚でそうした拒絶反応が起きないためには、この反応を抑える働きが働いているためです。抑え役の免疫として、現在わかっているのは、調節性のT細胞(リンパ球)や、IL10と呼ばれる物質です。
 
赤ちゃんの腸内に、すぐ産道由来の菌が住みつけるのも、赤ちゃんが菌を排除しないからです。他にも、赤ちゃんが生まれてすぐ感染して、ずっと死ぬまで、同居状態になるウイルスなどもいます。B型肝炎ウイルスなども、そうした感染症です。
 
さて、腸にさまざまな菌をかかえることにより、人は、危険な病原体と、見逃す病原体を、みわける能力を獲得していきます。
 
腸は、人の腸の細胞と、腸内細菌の雑居状態です。粘膜上皮細胞は、シートのような状態で菌と常に接していますが、菌と人の細胞は争いません。腸内細菌は、人の免疫の調節係として機能しています。
菌は、食物成分の分解酵素や、糖代謝などにも働いています。
 
この腸内細菌が狂うと起きてくる病気として、慢性腸炎(潰瘍性大腸炎、クローン病)などがあります。
 
腸内細菌の一部が、住み分けを無視して増殖してくると、危険を察知した腸の細胞は、腸炎を起こして、のざばる菌の制御を開始します。この菌を排除しようとして、腹痛、下痢などの炎症が起きています。
 
ここでは、腸の恒常性が破壊された状態になり、管理システムの破綻が起きています。
機能していた因子が、機能を止めるからなのです。
病気を起こす因子は、患者さんによっても異なってくるのでのでしょう。
現代医学はまだ、解明できていない分野です。
 
話は変わりますが、ネットの動画で、ライオンや豹を飼っている人の映像を目にします。
外国では、大きな御屋敷やお庭があれば、猛獣を飼えるようですが、猛獣は巨大な体を摺り寄せて、人間に甘えてきます。
彼らは、高等な脳を持ち、餌をくれる人間が好きで好きでたまらないのだと思います。
 
ライオンや豹が、潤沢な餌を与えられている限り、人とトラブルになることはないでしょう。
しかし、もし、人が餌をくれなくなったらどうなのでしょうか?
放し飼いになっていれば、猛獣は自分で小動物を狙うかもしれません。しかし、それもなくなったら、人間も狙うのでしょうか?
家で飼っていた猛獣が、大好きな人間を襲うようになるには、猛獣が餓死寸前になったりの相当の悪い条件がそろわないと、起きてこないでしょう。
育てた猛獣が、飼い主を狙うのは、相当の悪い食の条件が重なりです。
 
人の腸の細菌が住み分けているのと似て、共存し合う同士が争うとなると、大きな条件の変化が起きているのです。  日頃親しんで、免疫調節作用をしてくれていたはずの腸内細菌が、突然、人に襲いかかると、病気が起きます。腸内細菌の乱れによる慢性大腸炎です。
 
 
いままでの研究では、腸の菌の多様性が獲得できる赤ちゃんでは、アレルギーの発症を防げるとかのデータは、発表されています。
1か月の時の赤ちゃんの腸の細菌が多様である方が、その後のアレルギーの発症が少なかったとの観察研究があります。
無菌マウスの腸内に、ビフィドバクテリウムを植え付けると、食物アレルギーの発症を防げたとかのデータもあります。
 
1989年、環境中の細菌が、アレルギーの発症を抑える働きがある(衛星仮説)と騒がれました。
大きな家畜を飼っている農家の子どもがアレルギーが少なかったからです。
 
今は、さらに、腸内細菌の多様性が、免疫調節作用との関連することや、過剰なアレルギー反応を抑える働きについても、データが示されています。
 
細菌は生きていないくとも、その成分だけでも、人に反応を起こさせます。
赤ちゃんが生まれた後も、菌の成分との反応が静かに起きれば、人は防御力を発揮できるようです。
 
つまり、人は、菌が日常的に体に触れたり、体内に入ることで、見分けの能力ができあがり、慣れた物質は受け入れ、慣れない物質(病原体が高い)を排除する能力を獲得していきます。
 
菌や菌の成分に、接しながら育つということが、余計な物質に過剰な反応をなくすのです。
つまり、食物やダニアレルギーを防ぎます。
 
卵を食べた赤ちゃんの口の周りが赤くなっても、それだけであれば、検査結果にかかわらず卵を制限しない方が良いようです。アナフィラキシーを起こしても、時期を待てば、そうした反応は続きません。
 
食物アレルギーが、食べて治すという治療方針になったのも、こうした菌と人のかかわり合いの研究が後押しをしました。
 
人は、反応をしてはいけないのではなく、反応が進んではいけないだけなのです。その能力を内在しています。
 
過剰な反応が起きても、多くの人では治まって行きます。花粉症も、時間と共に治って行くことが期待できます。抗ヒスタミンも続け過ぎると、人により鼻の鼻水産生細胞が増えてしまいます。
こうした副作用が全員でおきれば、抗ヒスタミン剤はだめな薬であることがすぐわかりますが、一部の人だけで起きてくるので、難しいのです。
 
年齢の小さな子どもは、まだ、調節途上にあり、食べ物に反応したり、アナフィラキシーも起こしやすいが、治りやすいです。
 
むしろ、本物のアレルギーができあがってしまうのは、除去食をしていた成人や大学生などで、アナフィラキシー死が問題になります。
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