言われなき非難がつらい、苦しい心に耐えきれない、不安がつのる、くやしさ悲しさがこみあげて眠れない、頭が空だ、などなど、逆境にある人が立ち直るには、やはり体力なのだろうと思う。


① iPS細胞をつくった山中伸弥教授ら、生物学の分野で世界トップクラスの教授陣が登壇する京都大学全学部共通講座「生物学のフロンティア」が9日始まった。会場には、受講を希望する学生たちが殺到し、立ち見が出るほど人気を集めた。

 ノーベル物理学賞受賞者の益川教授が10日、同大学で5年ぶりに授業を行った。益川教授は、「理化学研究所は、論文が予算獲得に使えると思い、・・・・宣伝した。それが間違い。だから、変なことが起こった」と理研を批判した。「(STAP問題も)放っておけば自然淘汰されたのに、理研は元研究員がやったことを使えると考えた。政治的に利用しようとした」と述べた。
 
この新聞記事は、生物学の話題を扱いながら、科学の異なる可能性の方向を示したものだ。
STAP騒動は、今後の科学はいかにあるべきか?を考える課題を提供した。
 
最初の①の記事は、“科学は皆のものであるべき”を示唆した。山中フィーバーで、京都大学に優秀な学生が集まるようにもなるだろし、先駆的な業績のでる素地が作られる。
 
一方、後者の②の記事は、“科学を皆のものにしようとすると、トラブルが起きる”を示唆した言葉だ。
 
どちらも正論であり、科学の向かう方向の決定は、一筋縄でない事を思わせる。
 
笹井氏は、科学を皆のものにしようと努力した。これから学ぶ大学生や、大学をめざす小中学生のためであり、科学基盤の広がりをめざそうとしていた。
 
そして、笹井氏の目先の目的は、神戸CDBが注目を集めて国家予算を集め、若い研究者の登竜門としたいとのもくろみであった。
 
笹井氏は、そのために多くの人にフレンドリーに付き合い、かつ科学者としての存在感を示し、周りを巻き込んだ。若い駆け出し記者である須田記者とも、信頼関係を築いていたようだ。
 
しかし、悲しいかな!笹井時の努力が効果をあげすぎた。
 
安倍総理が、笹井氏、山中氏と一緒に顕微鏡をのぞく写真などが、世間に出まわってはいけないのだ。
 
若いかわいい小保方氏が、日本中の人気者になってはいけないのだ。
こうしたウキウキ行動は、大衆の人気を集める一方で、うるさい人々の反発を招く。

マスコミも、一旦上げた人を、その後に突き落とすことが好きだ。人々が、その構図に興味を示すからである。
 
STAPフィーバーは、科学界の既得権を持つ人たちに、神戸CDBに対する対抗意識、嫉妬心を燃え上がらせてしまった。
 
国が主宰する科学プロジェクトの方向性を決める会議の席上では、どこの大学、あるいは、どこの研究所を支援し、予算を廻すか?の議論が行われる。
こうした会議では、研究者間で、激しい攻防があるだろう。国の支援や予算を得ようと、大学人たちの間で、仁義なき戦いがあるだろう。
 
そうした学閥抗争の中で、成果がめだってきた神戸CDBの独走を止めてやろうと、もくろむ学者は、数をましていったと思う。神戸の一人勝ちは、許さないぞ!としたところだ。
 
今から思えば、こうした時期のSTAP発表は、カモネギ的イベントだったのだと思う。
 
理研の実直な研究者集団から見れば、リッチな雰囲気の小保方氏は、異質だ。
彼女は、STAP研究中から、周りから細かな嫌がらせを受けていたと思う。
小保方氏は、発表後、ある程度、その後のいやがらせを予期したとは思うが、予想を超えていて、彼女自身が再起不能に陥ったようだ。
 
若山氏の変心も残念なのだが、彼のインタビューを聞いていると、
「僕は、彼女(小保方氏)をずい分とかばってきだけど、STAPがあると思うなら、彼女自身で、証明していかなければいけない」と言っている。
 
これは、多くの小保方擁護派も、希望している。
 
これは正論なのだけど・・・。しかし、私が、言い訳をさせてもらえるなら、いざという時、女性は体力で負けてしまうことを理解してほしい。
 
言われなき非難がつらい、苦しい心に耐えきれない、不安がつのる、くやしさ悲しさがこみあげて眠れない、頭が空だ、などなど、逆境にある人が立ち直るには、やはり体力なのだろうと思う。
 
くやしくても、悲しくても、食欲は落ちない。泣きながらでも、食事はとる。夜は眠る。そうした復活のための能力の発揮は、体力がささえている。
 
しかし、女性は、こうした基礎の体力が足らないので、悲しくてつらくて、そちらにエネルギーが消耗する時、新たなエネルギー産生が追い付かず、がんばれないのだと思う。

笹井氏から直接情報を得られる立場にあった須田記者は、その特ダネを、笹井氏のために使わず、正反対の方向に向け、STAPバッシングに利用した。
 
須田記者の変身ぶりは、STAP関連の科学を手とり足とり、教えてくれた遠藤氏の影響が強かったからなのか?あるいは、毎日新聞の上層部から言われたのか、知る由はない。
 
しかし、彼女の本の表紙に、笹井、小保方、若山氏の写真をのせるなんて、あまりに残酷だ。
しかし、彼女も女性であり、今後は、相当に厳しい状況におかれるのではないか?
彼女も体力を消耗しそうである。
 
マスコミ、科学界、政界の多方面から攻撃され、神戸CDBは、でたらめなニセ科学を発信する忌むべき場所と非難されて、政治家も同調し、組織自体を縮小させられてしまった。
反神戸CDB派は、勝利した!と言える。
 
しかし、
「これが、社会の上層部の人間や、知識人がやることなのか!今後は、要注意の人たちだ!」
と、一般人に思わせてしまった。
 
益川教授の指摘した通り、マイナスの効果はある。
しかし、科学を一般化して、世間の評判を集め、政治家に影響力を及ぼして、予算を獲得するやり方は、民主的なのである。
 
この科学の民主化の方向は、変えられないと思う。税金が、人々の望む方向へ使われるのは、あたりまえだからである。
 
STAP問題は、終わったわけではない。人々も、この経験を通じて、賢くなっている。
つぶされても、嫌がらせを受けても、信念を持って、しぶとく頑張ることは、その後に、新たな展開を生むものだ。人々は、そこに期待している。
 
力がなければ淘汰されるし、力があればやり直し、方向転換などが出てくる。
つぶれて行く実験をした科学者でも、その人自身がつぶれていくとは、限らない。
 
“放っておかれて自然淘汰されるSTAP”であってほしくないが、酸刺激以外にも、何らかの刺激により細胞が変革する機序についての研究論文は、今後も期待できる。
 
世界中で、日本位、格差無く、自由に医療が受けられる国は無い。日本における医療分野は、世界に売り込む資源とノウハウを持っている事を意味する。
アジアにおける生殖医学のレベルは高いし、これは売り物なのである。
 
科学の一般化、大衆化という流れは今後も続いていくし、STAP事件の残した功績は、そうした面で評価できる。
 
科学界が、閉鎖的で学閥的な策略をするなら、一般人が批判の目を向けて、ウオッチできる時代なのである。

 
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