小保方本、入手しました。
最後の章から読みましたが、彼女の悔しさが伝わってくる内容です。決して、誰か特定の人を責めているわけでは無く、御自身の正当性を、証拠を持って示しそうとしたものと言えます。
最後の、11-15章に書かれた、気になる核心部分の印象を書きます。
世間の評価とは、実態の無い、証拠のない噂話なのですが、無知に基づく評価や、本来の評価であると装われた偽物でも、人を陥れるパワーを持ちます。
こうした実態のない社会の評価が彼女を陥れました。
彼女が、捏造犯、窃盗犯と追い込まれて、キャリアを奪われた経過が切々と述べられています。
この本は、彼女が捏造、窃盗犯では無いと主張し、物的証拠を示して身の潔白を主張した証言です。彼女は、いろいろな機会で、身の潔白を主張したのですが、理研委員会から、どの証拠も採用されなかったのです。
本の記述には、テレビの記者会見に登場した関係者の名前が出てきますので、この人たちにとっては、イヤで迷惑な本であるでしょうが、彼らは登場せざるをえない人たちでした。小保方氏を応援してくれていたのは、誰だかがよくわかるように書かれています。
事件に居合わせた理研関係者には、小保方氏の状況を良く知り理解していた知識人もいました。小保方氏に同情的な人も、同僚の小保方氏を救うという具体的な行動にはなりませんでした。闇の力のパワハラもあったと思いますが、悪者に対する記載を最低限度にしたと思います。
ES細胞の混入は、生きている細胞を扱っている限り、若山氏のようなベテラン実験者は気付くはずと、この本でも小保方氏が指摘しています。
実験中の細胞の入れ替えなどは、現実的に不可能なものでした。一方、保存検体や実験動物のすり替えは可能で、解決の手がかりにつながるはずですが、調査委員会は、可能性としても採用しませんでした。
小保方氏がいろいろと状況説明をしても、ふたを開けたら調査委員会がすでに結論を持っていたと、小保方氏は後で気付いています。
この本に登場している理研上司たちも、本の中では人間的に描かれ、小保方氏に配慮したようです。さまざまな立場の人が、彼女をサポートした可能性もありますが、それは調査結果に反映されませんでした。それは早稲田大学の学位の再審査でも同様でした。
理研も早稲田当局も、最初から結論は出ているのに、アリバイ作りをしました。
結果、当局は、再検討、再調査で、小保方氏を翻弄させただけだったのです。
当局は、解決に向けて一生懸命にやりましたというアリバイつくりをしました。小保方氏は、こうしたギャップに気付いて、大層傷ついたのです。小保方氏の告白でも、「教官が、私に向ける顔と、当局に向ける顔が違うのだ!」と表現されています。
潔白が欲しい、学位が欲しいとあせる小保方氏にとっては、つらい経験であったと思います。まず、この部分では多くの人が泣けますね。
本中には、珠玉の表現もところどころにあって、小保方氏は、物言わぬ実験室のピペットに思いを託しています。この本に書かれた最後の部分で、ピペットを再登場させ、悲しくやるせない思いを象徴させています。
ピペットは、微量の検体を吸い取って他の場所に移す時に使う実験用具ですが(小保方氏のテレビ映像でもしばしば出てきます)、この操作がうまければ実験の精度が上がります。
高級ピペット(ピペットマン)は、精巧に作られていて、指で押したとき、押し返す感覚が指にあります。検体が入った時と、無い時の感触が違います。最後の日、彼女が“さよなら”とピペットに言って、実験室を去った時、ピペットは”さよなら”に答えてくれなかったとあります。
多くの人は、ピペットに託した小保方氏の気持ちに涙するのではないでしょうか?ドラマの映像になったら、大事なカットになる部分ですね。
“あの日”より引用
ピペットマンを押したとき、押し返してくる感触が好きだった。「さよなら」と声にだして告げたが、ピペットマンは返事をしてくれなかった。
コメント
No title
訴訟されなければ、何もしゃべらないと思います。残念ですが・・・。
2016/02/21 URL 編集
No title
コメントありがとうございました。teabreak2さんへのコメントを時々、拝見しています。理研の調査委員会の報告とは、公正で科学的であるはずです。STAPがESと類似している点について、混入以外のいろいろな可能性を示すべきですが、それがありませんでした。調査委員会はDNAの検査しかできなくて、検体すら正当であるかを証明していません。問題点や調査の限界を披露していないのです。科学者たちが意見を出し合って、しかるべき結論を出したとは思えないのです。私の考えでは、一部の研究者にのっとられていると思います。部下が上司の弱みをにぎり、支配してしまう状況が、研究所のような特殊な職場ではありうると思います。若山氏は、論文撤回は、自らの名誉のために必死でやったと思いますが、それ以外の小保方氏への攻撃はしていないのではないかと思うのです。つまり、若山氏も弱みをにぎられていて、悪者にされている?という推定です。
2016/02/21 URL 編集