乳がん予防啓発における日米の違い HRTの減少で、乳がんは減っています。

腸管免疫の記述中ですが、話題が変わってすみません。お知らせしたい乳がんに関する図をご紹介します。
 
AACR (American Association for Cancer Research is to prevent and cure cancer)と呼ばれる組織は、1907年に設立され,この米国最大にして最古のがん対策の専門組織として活動しており、プレスリリースをしています。 ここでは、論文を引用して、ホルモン補充療法の減少後の、乳がんの低下をしっかり啓発しています。欧米では、この治療をしていた女性が多いので、啓発発動にも力が入っているようです。
 
WHIによるホルモン補充療法との関係についても、プレスリリースされていますので、英語圏の女性たちは、情報にアクセスするのが容易です。外国のプレスリリースは、論文内容に加えて、専門家の名前、役職をしっかり載せて、彼らのコメントを一緒に載せる手法をとるので、一般の人でも理解しやすい形になります。
 
日本の場合は、記事を書く新聞記者は、どんなに英語が堪能でも、しばしば現場の医療の背景を十分に知らないわけですから、専門家にコメントを求めることになります。しかし、コメントする学者の見解で、ずいぶんと記事の印象は変わってしまいます。日本では、他の診療科への批判がなされることが少ないですから、ホルモン補充療法がはっきりだめという書き方はしていない記事が多いです。
 
前回のブログで紹介したBCSC (The Breast Cancer Surveillance Consortium)では、米国における240万回以上のマンモフラフィーを分析しています。
ここのホームページで、ホルモン補充療法後に、浸潤性乳がんが減ったことをグラフで紹介しています。
図1
イメージ 1

http://breastscreening.cancer.gov/data/chars_cases.html オリジナルの図はこちらです。
だいたいの傾向を、グラフでも示しましたので、参考にしてください。このサイトは英語ですが、日本語訳のサービスが利用できます。しかし、日本語訳では大事なところがわかりません。やさしい文章は、完璧に訳してくれるのですが、専門的な記述になると、意味が通じません。残念なことですが、もっと良い翻訳機の今後に期待したいです。
 
Tehillah Menes, M.D(MDは医学博士の略)Elmhurst Hospital Center, New York,のコメントを紹介しています。最近の傾向として、非典型の管状肥大が減った。乳管上皮細胞の非典型的な肥大は、前がん状態と言えるもので、肥大のない上皮細胞に比べ、3-5倍の確率でがんに移行する。非典型の乳管過形成に、癌組織が混入していても、全体として悪性度は低い。つまり、Menes,らは、最初から侵潤性の高いがんと、それ以外の乳がんとは、発生してくる経過が異なるのではないかと考えられると言った。
1999年には、乳管の異型過形成の変化があるものは、10000マンモフラフィーに5.5回あったが、2005年には2.4回 に減った。異型過形成にがん状態も共存する人は、2003年が最も多く、10000マンモフラフィーに4.3回 から、2005年には 3.3回まで減少した。
 
カルフォルニア大学の医学疫学部門のKarla Kerlikowske, 教授は、ホルモン補充療法が、このように関連していることは予想しなかったと、コメントした。
 
 
日本の乳がんにかんするホームページには、乳がんのリスクの高い女性については、以下のような記載になっています。
避妊薬のピルや女性ホルモン、副腎ホルモン剤を常用している人(引用文)
これだと、他の病気で副腎ホルモン剤を治療に必須として使う場合と、ホルモン補充療法が並列的にならんでいます。学とみ子は、この違いに注目する必要を感じます。つまり、副腎ホルモンは中止にすると死亡につながる治療であるのに対して、ホルモン補充療法はQOL改善のために使う薬である違いがあります。乳がんリスクを考えれば、ホルモン補充療法を止めた方が良いとのメッセージに欠けるような気がします。
日本産婦人科学会は、ホルモン補充療法を有効な治療と位置づけています(但し、治療の選択は、本人にゆだねられています)
 
ホルモン補充療法は、患者さん本人が希望する場合に行う治療ですが、副腎ホルモン療法は、一般的に医師の指導により行われるものです。ですから、ホルモン補充療法を希望する女性に向けて、後で後悔をしないように、情報提供をしたいのです。
男性の方も、学とみ子の考え方に賛同してくださる方は、啓発にご協力ください。

 

補遺
乳房は、母乳をつくる小葉と、母乳を乳首まで運ぶ乳管から構成されます。乳がんは、乳房の乳管上皮細胞(壁の内部を覆っている細胞)から発生します。異型過形成は、異型小葉過形成とあわせて異型乳管過形成 (atypical hyperplasia)と呼ばれ、1層にならぶ上皮細胞が増殖してくるのです。そして、この上皮細胞が正常の姿をせず、ややがん細胞に似た顔つきに変化しつつあると、がんに進行する可能性が高まります。
がん細胞が小葉や乳管内にとどまっているがんを「非浸潤性乳管がん」、血液やリンパ管などから外に出て周囲に広がったがんを「浸潤性乳管がん」と呼びます。
これに関しては、日本の乳がん情報ホームページに、わかりやすい絵がのっています。http://www.nyugan-kenshin.jp/nyugan/index.html
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