キューバのカストロ氏が亡くなった。
マスコミでは、彼の功罪についてふれていた。革命前、キューバがアメリカに搾取されていた時代、カストロ氏にとって、貧しいキューバ国民を救うための革命であったと思うが、その後の彼の行動をみていると、現実路線はとらず、やはり好戦的な人との感がある。
カストロ氏は、強い経済封鎖をうけている国をリードする立場だった。
人々は絶大なもの不足で苦しんでいる。
国民の苦しさを見ながら、ソ連から要請されるままに、わざわざ、遠くまで戦争に行けるのだ。
国民の貧困を考えたら、他所の戦争を応援する国力など無いはずなのに、カストロ氏は派兵した。
彼は、戦争がキューバ国民にとって必要だと判断した。
政治家が権力を掌握すれば、暴挙は始まる。ここで、大衆が変える力を発揮できなかったら、必ずこうなるのだと思う。
当時は米ソの冷戦のさなかであり、大義名分もあり、戦争理由はいくらでもあるのだろうが、権力者はさらなる権力を求めるものなのだ。
だから、政治家は、基本的に信用できないものだ。
政治家というより、人は、誰でも権力を持つと、次なる戦争を始めるものなのだろう。
こうした国家権力に対し、大衆は、その場、その場で判断をして、政治を変えることができる。
戦争に持っていこうとする政治家を変えることができるのが、民主主義の醍醐味ということだろう。
カストロ氏は年老いてからも、若い時に執着した思いから解放されることはなかった。
晩年でも、長時間にわたる激しく演説を続け、民衆を鼓舞しているとの満足感は、彼にとって、最高に満たされる時なのであろう。
彼にとって、革命の時の達成感以上のものが、その後の人生では得られなかったからだ。
カストロ氏は、年齢が増してて、考えが丸くなるという感がなく、晩年はますます思い込みが激しくなったようだ。
人の脳は、年齢と共に、固着する状況になってしまうのが普通だ。
老化により、柔軟な脳部分が壊れてしまうからである。
こう思うと、死ぬまで柔軟な人と言うのは、最高に頭の良い人なのではないだろうか?
若い時に大きな仕事をした人は、その後に時代が変わり、物事の価値観が変わっても、若い時の執着から解放されないのだろう。
この点で、トランプ氏の今後は、大丈夫なのだろうか?
これは、とても心配な状態である。
キューバとの国交回復に向けて、多くの努力を、キューバ人とアメリカ人がしてきた。
しかし、トランプ氏の対キューバ発言は、こうした雪解けに水をさすようなものだった。
この対応を見ていても、今後のトランプ氏はおおいに心配だ。
現在のキューバの最高責任者であるラウル氏は、とても現実的で優れた政治家なのだろう。
オバマ大統領と会談をしているツーショットの報道写真からも、二人の信頼関係が伺われる。
巨大なヤシの木のような熱帯植物でしつらえられた背景のグリーンがリゾートらしさを演出し、オバマ氏とラウル氏のフレンドリーな会話づくりに貢献していた。
笑顔のオバマ大統領はリラックスして足を組み、一方のラウル氏は、しっかり足をそろえて、必死にオバマ氏のお願いことをしているような構図だ。
この写真からも、長く経済封鎖を受けてきた国民を救いたいとのラウル氏の思いが伝わるような気がする。
両者とも、小異を捨てて大同につくという感じで、革命の精神から離れて、現実の人生をよくすることを大事と考えている。
オバマ大統領が隣人だったら、本音はどうであれ、表面的には仲良くしていけるであろう。
隣同士がオバマ大統領みたいな人同士だったら、トラブルは起きない。
しかし、トランプ氏はそうしたことができる人なのか?
トランプ氏は自ら信じることをガミガミと主張するだけなのではないだろうか?
隣同士で、トランプ氏みたいな人同士だったら、すぐにいざこざが起き、そのもめごとも大事にいたるだろう。
70歳のトランプ氏は、どの位、柔軟な思考ができる人なのだろうか?
ご自身の凝り固まった主義主張で、世界中が振り回されたりしないだろうか?
実業家であるトランプ氏は、大衆を怒らせたら、多くの財産を失うことになると思う。
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