論文発表前には、どのような事実がわかっていて、研究者たちの思惑がどのようなものであったかが事件発生の鍵になる

桂報告書は、調査委員会発足後の残存検体における調査結果を中心に書いている。
残っている検体で解析したら、コレコレだったである。
この事件の真相を知りたい人は、桂報告書を読むが、論文発表後に、理研が調べた調査結果を理解しようとする。

STAP事件の真相を知りたい人は、なぜ、論文発表後に突然、ねつ造疑惑が盛り上がったのか?を注目する。、論文発表前には何があったのか?について疑問を持つのだ。
論文発表前には、どのような事実がわかっていて、研究者たちの思惑がどのようなものであったかが事件発生の鍵になると思う。

論文発表後に、ねつ造疑惑が持ち上がり、次第に解明されていくとの経過を知りたいわけではない。
論文発表後は、小保方ねつ造論にむけての脚色された部分がある。

遠藤氏の解析は、すべて論文発表後になされたものである。まずは、遠藤氏は、自主的に公開データベースの解析などを行っていたが、6月になれば、遠藤氏は、若山氏から検体調査のお墨付きをもらい、正々堂々と解析をするようになるのである。

日経サイエンス2015年3月号36頁(青字)、論文への疑義が浮上したのは2014年2月から、STAP細胞は実はES細胞ではないかとの指摘は繰り返しなされていた。とりわけ、5月に遠藤氏が著者らが公開したSTAP細胞の遺伝子配列データを再解析し、・・・トリソミーであることをつきとめてから、“正体はES”はほとんど確実とみられていた
と書かれている。

あたかも、ねつ造疑惑が論文発表後にわきあがったかのように、マスコミ関係者は書いている。
もちろん、論文発表前には著者以外には研究データにはアクセスすることができないから、このように書くしかない。
しかし、今回のSTAP事件は、こうした従来の常識では考えられない問題点が多い。
論文発表後に疑惑が持ち上がったように仕組まれているかのようだ。

大事なのは、いつの時点で何がわかったのかを知ることである。
桂報告書は、この部分がぼかされて書かれている。
STAP研究中に、GRASが行った解析結果が、研究者たち(小保方氏、若山氏とそのスタッフ、笹井氏)にどのようにバックされたかはとても重要なのだが、報告書には、ただ、”想定とは違う”としか書かれていないのである。

「あの日」124頁、オーサーシップのトラブルが書かれている。小保方氏は、酸浴後の初期化は自分自身の仕事、それ以上は若山研究室のものと区別したかったが、それがだんだん、そうではなくなっていくいきさつが書かれている。こうした小保方氏の気持ちは、「あの日」が発表されて初めて、読者が意識したものである。

そして、125頁には、”若山先生の突然の責任放棄に加え、その若山先生が主張していた論調へとアーティクル論文の主題まで変わろうとしている・・・・”と書かれている。
この部分は注目して良い部分で、小保方氏が、若山氏の変心に論文発表前から十分に気づいていたことを示すのである。つまり、論文発表前から、若山氏はこの論文を放棄していたことがわかるのである。

桂報告書には、15頁から次世代シーケンサーによる解析が出てくる。
この書き方は微妙で、くり返しになるが、論文発表前にはどこまで解析でわかった事実があったのかは書いていない。想定した結果と異なるとだけ書いてある。

この時点で想定と違う事実を、小保方氏が入手できていれば、論文発表はとん挫するような出来事である。

論文発表後、2014年に調査委員会がたちあがり、その時、残された検体で詳細に解析された成績は、桂報告書に載っている。
その結果は、ねつ造論を説得させるに十分なものであった。

小保方氏のノートの記載がないとかもしっかり書かれている。
この部分は、調査委員会におけるねつ造派学者が「どうだ!これだ!」の感て自信を持って書いたと思える。

ねつ造派は、検体をGRASに持ち込んだ小保方氏に全責任をおしつけているのである。
しかし、「あの日」発売後は、疑惑の仕事をしたのは、断じて若山研究室だ! と考える人がかなり増えた。
小保方氏は、「あの日」で、この事実を必死に訴えている。

以下は、桂報告書からの引用である。この部分の重要性を重ねて強調したい。

引用開始 青字
1)実際に RNA-seq、ChIP-seq に用いた細胞株/マウス系統が論文記載、公共データベー ス登録内容と異なっている  ・・・・RNA-seq における FI 幹細胞ではマウス系統が論文記載のものと異なって おり、また ChIP-seq における FI 幹細胞、STAP 幹細胞では論文には記載のない Acr-GFP/CAG-GFP が挿入された細胞が用いられている。これらの実験は全て小保方氏に よりサンプル調製がされているため、どのようにサンプルを用意したのかを中心に聞き 取り調査を実施したが、その当時あった細胞を集めて用意したとの説明しか得られずノート等の記載も見当たらないため詳細は不明であった・・・、
・・・・・・・
第 1 回目の GRAS による RNA-seq データ解析結果が想定していたものと異なっていると の理由により、小保方氏らは、再度サンプルを2013年1月および6月にGRASに提供し・・・・

引用終わり

この出来事に関しては、「あの日」では、小保方氏は次のように深い反省を書いているのである。
・・・この時に、次世代次世代シーケンサーによる解析を深めていればその後の疑義は起こらなかったと思うと悔やまれる。・・・

小保方氏は、3回にわたる解析結果について、GRASからどのような言い方の説明を受けたのか?
若山氏や笹井氏は、想定とは違うとされた事実について何を言ったのだろうか?

STAP真相解明を望むウオッチャーにとって、小保方氏に問わずにはいられない疑問であろう。
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コメント

No title

エーテン
>>小保方氏は、3回にわたる解析結果について、GRASからどのような言い方の説明を受けたのか?

解析は著者らのもとで行っています。
何を見たいかはそれぞれの著者によって違いますので、kanso2さんの言うように、疑わない部分は解らないこともあるでしょう。

調査結果のp.17には、「複数のデータから論文に採用されたデータを取捨したのは小保方氏と笹井氏であるが、その理由は、小保方氏によれば、サンプルの中で中間的なものを示そうと思ったと考えたとのことであった。」と書かれています。

中間的なものを示そうとしたにも関わらず、一つの結果しか見てないなんてことはあり得ませんので、以前の結果は知らなかったなんてことはないと思います。

前述したように、見たい部分しか見ていないと言う意味においては気がつかない事はあり得ると思います。

No title

学とみ子
> kanso2様、詳細にご教授ありがとうございます。時間をさいて情報提供をいただいたことに感謝します。
STAP事件を追う人々にとっては重要で役に立つ情報であると思います。STAPねつ造疑惑に関する議論が深まることが期待できます。

No title

kanso2
このように、通常の解析では分からず、疑って初めて分かることがあります。だから、論文が発表された後になって、いろいろ問題が発覚したのだと思います。普通、細胞が高頻度で別のものにすり替わっていることなど想定しないものを、疑う人が出てきたということだと思います。これを、データ解析の詳細を知らない人の中には、問題が後からでっち上げられたように見る人がいるかもしれません。しかし、それは違うと思います。

No title

kanso2
しかし、不正調査で明らかになったマウスの系統の違いなどは、これらの通常の解析では調べないはずです。なぜなら、マウスの系統が変わっていることなど想定しないからです。また、マウスの系統の違いを知るためには、系統を区別できる限られた場所の配列を抽出するということを意識的にやらないといけないからです。また、Acr-GFPがあるかどうかというのも、単に解析ソフトから得られるGFPの発現量の数値を見るだけでは分かりません。配列に戻って確認して、そこにアクロシン遺伝子のmRNAの配列の一部がGFPに隣接して存在していることを見て、初めて分かることと思われます。

確かに報告書には、STAP研究当時に、どこまでの解析結果が得られていたのかについては書いてありません。だから、その部分を小保方氏に聞くことには確かに意味があるかもしれません。ただ、上のように考察すると、報告書で明らかになったようなことは、研究当時には分かっていなくてもおかしくないと思います。

No title

kanso2
(上のコメントとは関係なく、記事本文に対するコメントです)
学さん。

次世代シーケンサーのデータがどういうものか、ピンと来ておられないのだと思います。このデータは、情報を抽出するようなことをしないと、見ているだけでは何も分かりません。特定の目的意識を以て、スキルのある人が解析して初めて特定の結果が得られます。

RNA-seqの生データは、ATGCの文字の羅列で、全体が何ギガバイトもある膨大なものです。これを、ゲノム上の対応する位置に並べていきます。しかし、それでも、1万分の1地形図で日本全国を見るようなもので、漠然と見ても情報は得られません。STAP論文では、このデータから、複数の遺伝子の発現量をカウントし、全体を細胞ごとに比較して、細胞の状態の近さを知るために使っています。

No title

学とみ子
> kanso2様、コメントをありがとうございます。
報告書の書き方は、それでしかたないと思います。
報告書は、調査の科学的事実を書くものと思います。
ただ、それを読んだ読者は、GRASの解析結果が小保方氏に伝わっていない!という事実に驚くのです。
この事実は重要だと思うのです。小保方氏笹井氏が持つべき情報からはずされていた可能性を懸念します。この点は、過去に論じられたことがあるのでしょうか?

No title

kanso2
学さん。

報告書に書かれた内容は、当然、不正調査によって明らかになった内容です。次世代シーケンサーのデータ解析結果もそうです。それが、暗黙の理解です。曖昧に暈されているのでなく、説明がなければ普通はそう理解するということです。もし別の時点で明らかになっていたことなら、そう明記されるはずです。

たぶん、調査報告書を書いた人たちは、当たり前すぎて、そんなことを説明する必要はないと考えたのでしょう。
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