透明性の高いガラスのように、分子生物学会の検証実験反対のもくろみが、今は見えている!ということなのだろう。

「ねつ造の科学者」において、著者の須田氏が、ねつ造派やSTAP派の学者たちと、どのような接点を持っていたのかは、記録として価値ある。

誌面をつくる立場のマスコミデスクや主筆は、何を選択するかのプロであろうが、現場でコメントをとる記者たちの知識や経験はまだそこまでのレベルにはなっていない。

マスコミは、なじみの薄い事件であっても、重要度や真実性について独自の判定を常に突きつけられる。

再現性の難しい生物学分野の記事の評価判定は、マスコミにとって慎重をきすだろう。
特に、新規の科学記事の場合は、難解な用語が多いため、マスコミ独自で判断するのは難しく、マスコミに近づいてくる学者たちに、アドバイスを求めざるをえない。
しかし、マスコミに近づく志向の学者たちは曲者がいる。マスコミを利用して、自らの影響力を高めたい志向の人たちが多くなる。

STAP実験は話題性が高かっただけに、実験中からアンチSTAPの学者たちは大勢いた。
特に、実験途上でGRASで解析された遺伝子データに疑惑が出てからはなおさらであったろう。

論文の根幹をくつがえすような可能性があるものの、GRAS解析の内容は不透明であり、残存検体の有無もはっきりしなかったようだ。しかし、今となれば、爆弾遺伝子解析と呼べるようなものだろう。
案の定、最終の調査委員会において、理研内GRASデータが再解析され、STAPの不幸な顛末につながっていくのである。

話しを元にもどすが、須田氏の周りにはアンチ小保方派がいろいろに集まってきていた。
須田氏は、こうした学者たちから大きな影響を受け、自らのねつ造論を固めていった。

須田氏の「ねつ造の科学者」は、ねつ造派の活動が実によく書かれている。
後で、何らかの理由でSTAP事件が検証される際、あるいは、STAP派が反撃を開始する際、関係者の証言や資料が有用になるであろう。

驚くべきことに、須田氏は、過去に小保方氏が投稿しリジェクトされた論文をかなりの量で入手している。
誰からか渡されたかは書いてないが、須田氏は内密にわたされたであろう資料を秘密にすることなく、堂々と自らの書籍に書き込んでいる。

恐らく、須田氏に渡したのは、論文著者の誰かであろうから、おのずと候補は限定される。

この論文を、須田氏が入手できた経緯についても何も書かれていない。
読者は、驚きと不信を感じつつ読み進めると、須田氏がいかにいろいろな学者たちからコメントされていたかを見通すことができる。

渡された論文は、200頁もあるという。これはレフェレンス(参考文献)や図表も含め、A4体裁でかかれたものと思われるが、こうしたものを、須田氏のようにマスコミで生きる人が単独で読みこなすのには限界がある。
ある程度は理解できようが、限界がある。

実際に、須田氏は論文の和訳を依頼したり、解説してもらうために論文を他の学者に渡しているのだ。
こうしたまた貸しのようなことが簡単になされてしまうことも信じられないし、その事実を公にしていることにもびっくりする。

そうしたあきれついでだが、須田氏は、リジェクトされたこのSTAP論文の読後コメントまで書いている。

投稿論文は、査読者(レフェリー)が読んで、論文の新規性、重要性を審査して、アクセプトか、リジェクトを決める。今回は、須田氏はこのSTAP論文のみでなく、レフェリーのコメントなども入手しているようだ。

これらの資料すべてを須田氏が読んで出した感想が以下だ。
”レフェリーの指摘した項目が、次の論文に生かされていない!”である。
須田氏自身で判断したように書いているのだ。

これにはさすがにあきれた。
旧論文の内容についてレフェリーから指摘された問題点が、続く新論文のどの部分に反映されたか?改善されたか?を、須田氏が判断するのは困難だ。
須田氏は、ねつ造派の学者たちから吹き込まれたコメントを、自らが判断したコメントとしているのだ。

担当記者が、こうしたコメントを新聞記事の原稿として書いたら、上司がすぐ止めるだろう。
上司は、高度に専門的な感想を書くのは、新聞社の仕事ではないと判断できるからである。

新たに作製された論文のどの部分が、過去の論文から改善されているかがわかるのは、その研究分野のプロだ。
過去の論文と、その延長上で仕上げられた新論文の違いがわかるためには、プロの頭脳が必要なのだ。
当然、プロは、和訳などしない。日本語に置き換えていたら、そうした比較が不可能になる。

違いを知るためには、二つの論文に書かれた内容をしっかり読むだけではすまない。
プロは、過去に書かれた主要な論文はすべて頭に入っている。
どの引用論文を追加し何を除いたのか?の選択に、著者の方向性がしめされているのである。

比較考察後初めて、以前のSTAP論文と新論文とが内容的には変わらないという感想を持てるようになるわけだ。
当然、そうコメントしたのは、悪口たらたらのねつ造派の学者であることは明らかだ。

マスコミが、この難しい科学分野で記事を書くには、プロの学者のサポートが必須だ。
学者たちは、須田氏にアンチSTAPの記事を書かせるために寄ってきているのだ。
日経サイエンスの古田氏や詫摩氏も、須田氏と同様な立場である。

ねつ造派の学者たちは、ねつ造情報をマスコミにザルのようにリークした。
そして、マスコミ記者たちを真実解明の闘士として活躍するように鼓舞し、その環境を用意してあげた。
一方で、ねつ造派は、入手していたGRASの遺伝子解析を人質として使い、理研上層部を追い込んだ。
ねつ造派学者たちは、マスコミを利用して、世論を誤った方向へ導いくことに成功した。

そうした世論に対抗するために、STAP派の学者は検証実験により自らの正当性を挽回しようとした。
しかし、分子生物学会幹部らは、ねつ造はすでに確定していると主張し、検証実験には強く反発した。
分子生物学会幹部たちは、GRASの解析結果が公表されなくなったら、振り上げた拳が意味を失い、メンツまるつぶれになることを心配したのである。

学者もマスコミも、国民をこれ以上、だますな!と脅迫まがいの強い言葉使い、正式の解析を理研にせまったのである。

そうしてやっと、GRASの解析結果が、調査の最終結論として日の目を見るようになるのである。

透明性の高いガラスのように、今は、分子生物学会の検証実験反対のもくろみが見える!ということなのだろう。

こうした経緯の中で、検証実験は実地されたが、成果は無視された。
予算は、実験の効率性をあげることには使われず、小保方氏にプレッシャーをかけるためのカメラなど、無駄な設備投資になり果ててしまうのである。




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