再現性がないからSTAPはねつ造だ!と考えている人がいたら、その人は細胞そのものに興味を持ってみると良い。


このブログでは、科学教室をやるつもりはない。そもそもブログ主は科学の先生ではない。
しかし、STAP細胞の謎を考えるには、細胞の性質をかじっていた方が良い。

Oct4、Sox2、Klf4およびc-Mycの4個の山中因子(遺伝子)を、レトロウイルスを使って体細胞(体細胞の意味は、すでに分化して体の一部となった細胞の事)の中に入れ込むと1%前後の確率で誘導多能性幹細胞(iPSCs)ができることは良く知られている。

iPSは、そこから人工的な組織や臓器を作り、医学や治療に役立てようとの試みがあり、人びとの熱い期待が向けられているのである。

しかし、iPSができる確率は高くない。他の残りの細胞はさまざまな状態に変化してしまい、死滅したりで実験には使えない状態となってしまう。
不安定な細胞は医学研究には使えない。細胞ごとの能力は均一ではない。

体細胞は刺激により、それぞれにリプログラムされるが、一定の性質を維持できる状態になれるかどうかは、細胞の性質や能力に依存する。

iPSとして幹細胞化する確率が低いのは、そうなる能力を持つ細胞が少ないからであろう。
超エリートは少ない。
幹細胞は、自らと同じ状態を維持したまま増殖できる細胞である。そうならないと幹細胞とは呼べない。

STAP細胞がキメラも作れず、幹細胞にもなれないとしたら、STAP細胞は科学として何の意味もない!再現性がないからSTAPはねつ造だ!と考えている人がいたら、その個人は細胞そのものに興味を持ってみると良い。
小保方氏への気持ちだって変化していく。

実は細胞の初期化という試みは、がんの研究にも重要なテーマとなっている。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23144933

上記の論文は、線維芽細胞から、山中因子を入れ込んで培養を繰り返し、がん細胞を作成し、その遺伝子制御を調べる研究である。
遺伝子を導入させた(ウイルス感染させた)線維芽細胞は、その後継代を続けると、最初は元の細胞の形態を保っているが、やがて分化し始め、これをハンギング(つりさげ)培養すると、多能性を発揮する細胞に変化していく。
ハンギング培養で底に落ちた細胞は、増殖能をもつ幹細胞に変化するとのことである。

つまり、自己と同じ状態にある細胞を生み出す能力と、増殖する能力を共に維持した細胞となるのだ。これは、自己再生性多能性を持つ癌幹細胞(iCSCs)を作ったことになる。
この一次癌細胞を免疫不全マウスのリンパ節に注入して、採取できた細胞は二次癌幹細胞とのことだ。STAPでも登場するテラトーマの作成だ。
つまり、選ばれた再生能力の高い細胞を人工的に安定的に得て、がんの遺伝子制御を知るための研究材料とするのである。

上記論文の意訳
ヒト誘導多能性幹細胞(iPSCs)は、体細胞における転写因子の一過性発現によって再プログラムされる。体細胞の約1%をiPSCに再プログラムすることができる。自己再生性多能性細胞から多能性癌幹細胞(iCSCs)へと誘導できる。誘導上皮幹細胞(iESC)から、胚様体形成および連続継代すると安定的なiCSCとなる。 iESCおよびiCSCは、免疫不全マウスへ移植すると効率良く奇形腫を作る。第1のiCSCから奇形腫が作られ、さらに第2のiCSCを作れる。この細胞は安定的に維持される。
体細胞に多能性腫瘍原性が加わる機序は、iPSCのフルリプログラミング機構に先立ち、多能性コア因子およびMyc関連因子活性化が体細胞に起きてくるためである。




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コメント

No title

学とみ子
> stemnessさん
詞をありがとう。

No title

あのね
>STAP細胞がキメラも作れず、幹細胞にもなれないとしたら、STAP細胞は科学として何の意味もない!再現性がないからSTAPはねつ造だ!と考えている人がいたら、その個人は細胞そのものに興味を持ってみると良い。
小保方氏への気持ちだって変化していく。

小保方さんの研究とニュートンの言葉を加えて添えます。

私は浜辺であそぶ
子どものようだった
浜辺ですべすべした小石や
きれいな貝殻を見つけて
楽しんでいた
しかし 私の目の前には
真理の大海原が
発見されることなく
広がっていたのだ
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