国の水汚染の摂取制限の指導は、一貫性を欠く。チェルノブイリを調べてみよう。


厚労省は、放射能の大気汚染及び落下物汚染の現状から、水汚染に及ぶ可能性を予知しました。そして、3月21日に、飲料水が放射能基準値を超える値になった時に、乳児の接種制限の広報をするように、全国自治体に通知を出しました。この通知をうけて、東京都が乳児への水道水の使用制限を発表したようです。東京都独自の判断ではないようなので、昨日のブログの一部を消去しましたが、この通知の影響力は大きいです。当然、おかあさんたちは混乱しました。
 
すでに大気や落下物が汚染しているのに、なぜ、水だけ、平時の基準が適応されるのでしょうか?空気や落下物の汚染には基準値が設定されていないだけのことではないでしょうか?大気汚染は避けられないが、飲料水は代替が可能だからでしょうか?つまり、放射能が飛んでいるのに、対策しないあなたが悪い、自己責任となるのでしょうか?

計画停電の影響がだんだんおおきくなり、食料不足に拍車をかけるようです。今後、いろいろな農作物が出回らなくなり、食品の値上げがおこるのかもしれません。すでにファミレスでは、食材が手に入らなくなっているようです。
 
こんなときこそ、自分自身の立ち位置をきちんと決めておきたいです。昨日の続きで、チェルノブイリについて書きます。本日の論文は、J  Natl Cancer Inst 2006;98:897です。この研究は、この被ばく地域に住んでいて、甲状腺がんの発症した人45人と、しなかった住民13082人を、比較したものです。
 
事故時、チェルノブイリ付近に居住していて、事故後にすみやかに緊急検診をうけ、その後も継続追跡された19歳以下の住民32385人が対象です。事故直後の住民検診で、甲状腺へ1グレイ(Gy)以上の高濃度の被ばくをうけた8752人は含まれています。このグレイという単位は、直接、甲状腺部分の放射線値を測定したもので、甲状腺にとりこまれた放射線の推定量を表しています。いろいろな事情で対象人数は、変動しましたが、高濃度被ばく群を含め、甲状腺がんのデータ解析ができたのは13127人でした。被爆者のうち、1998年から2000年にかけて、甲状腺がんが確定診断できたのは、45名でした。生体検査を行って、がんであることが確証された人です。
 
この論文でとりあつかっているグレイは、水とか、空気の汚染数値ではなく、直接、人体(甲状腺)に取り込まれた線量です。(ここをまちがえないようにしてください。日本では、こうした人はまだいません)
 
がんになった45人の甲状腺への被ばく量は、20% の人が0-0.24Gy、20% の人が0.25-0.74 Gy, 22.2% の人が0.75-1.49 Gy, 17.8% の人が1.50-2.99 Gy, 20%の人が3-47.63 Gyの数値に分布しました。一方、がんにならなかった人の甲状腺への被ばく量は、48.6%の人が0-0.24 Gy、26.9% の人が0.25-0.74 Gy, 12.2% の人が0.75-1.49 Gy, 7.2 % の人が1.50-2.99 Gy, 5.1%の人が3-47.63 Gyの数値に分布しました。がんになった人では、甲状腺に高濃度の放射線が検出された人が多いです。
 
被ばく量が1グレイ上がるごとに、甲状腺がんの発症のリスクが5.25倍増加しました。統計学計算上では、がん発症の危険性は、1グレイ上がるごとに最大1.7 倍から27.5 倍でした。男女別では、1グレイ上昇するごとにがんの発症が、男性は2.21倍、女性では16.57倍に増加しました。被爆時年齢の低い小児で、がんの発症が多く、1グレイごとに0-4歳では9倍、5-9歳7倍10-18歳では3.4倍にがんのリスクが上昇しました。
 
ここで言えるは、浴びた放射線量に平行して、がんのリスクが高まること、女性と乳幼児でリスクが高いことでした。高度に被曝しても発症しない人もいますし、低濃度群からの発症もありました。がんの発症は、1グレイあたりの最大1.7倍から27.5倍の幅のある数値でした。つまり、1グレイ多くあびると、がんのリスクが1.7倍の人と、27.5倍の人がいて、これが個人差ですが、がん発症を阻止する能力にばらつきがあることが分かると思います。これは2006年の論文ですので、さらに今後もデータは出ると思いますが。だんだん対象者の追跡がむずかしくなるのだろうと思います。
 
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