吉村教授は、格調高いネーチャー論文なのだから、そこまで攻めて欲しいということのようです。

TCRについて、狸氏はいくつか記事を書いてくれました。

狸氏: 茶字 吉村さんの言う「キメラの子孫のT細胞はすべて単一TCRβを発現するはずなので、(中略) 検出はFACSで容易にできる」と、「モノクローナルT細胞で実験をしないといけない」は同じことを言っているのか?


との疑問をお持ちです。
私が一旦、ここに書けば、どなたがどこかで、正解を書くかもしれませんので、学とみ子もすこし考えて書いてみます。
どうぞ、専門の先生がここへいらしたら、いろいろここへもコメントください。

最初に少し、資料を提示します。

以前に当ブログで紹介したTCR遺伝子の作られ方(再構成)をコピペします。


T細胞レセプターβ鎖の遺伝子は約70種のV遺伝子、2種類のD遺伝子、14種類のJ遺伝子、2種類のC遺伝子の中から、それぞれ1種類づつ選ばれて再構成されます。Vβ中に2つの可変領域(CDR1、CDR2)が存在します。

以下はSTAP論文です。STAP論文Fig1iの図では、このJ遺伝子部分のDNA Jエクソン をPCR増幅して調べています。
Fig i, GenomicPCRanalysisof(D)JrecombinationattheTcrbgene.GListhesize of the non-rearranged germline type, whereas the smaller ladders correspond to the alternative rearrangements of J exons. Negative controls, lanes 1, 2; positive controls, lane 3; FACS-sorted Oct4-GFP1 cells (two independent preparations on day 7), lanes 4, 5.

未来館の詫摩氏ノブログにおける吉村先生の文章です
吉村教授曰く:青字  「・・・もしSTAP幹細胞やキメラでTCR再構成がひとつでもあればそれはもう逆らえない証明なので『未分化T細胞から万能細胞が出来た』と肯定せざるを得ません。しかし今回のようにSTAP細胞と呼んでいる細胞のかたまりにしかTCR再構成が見つからない場合(幹細胞やキメラには見られない)、現在の知識で一番合理的に説明可能な『ESの混入』あるいは『未同定の組織幹細胞』の可能性を排除しない理由は考えられません。それらの混入の可能性を実験的に排除するためにTCRを持ち出したのに結局それに答えていないのでさらに疑惑が深まるという構図になっています。CD45陽性分画からスタートしたのだから組織幹細胞は入らないというのは幻想で、FACSの純度は不明ですし、未知の幹細胞はCD45陽性かもしれません。
もとさんの『一つの細胞から分化した細胞ならTCR再構成で見えるバンドは1つ(または2つ?)のはずなので、こんなにいっぱいバンドが見えるのが何故かは私にはさっぱり判りません。』は完全に正しい推論です。胚盤胞に入れられる細胞はせいぜい20個でそのうちマウス組織になるのは数個なので、この方法で見れるバンドはせいぜい1本です。この2Nキメラの解析結果が不自然であることを理研の先生たちは理解しているからこの図をもって『キメラにTCR再構成がある』と言わないのだろうと思います。・・・(吉村 より: 2014年3月21日 00:57)」
http://blog.miraikan.jst.go.jp/topics/20140317stap-2.html

吉村教授曰く 青字; 結論づけるにはキメラのTCR解析の結果を知りたいものだが、しかしD2J2のプライマーでPCRを行う程度の検出の信頼性では、受精卵由来の細胞の影響(ノイズ)があって筆者らの方法の精度では結論を出す事は難しい。明確な結論を出すには4Nやキメラの子孫で確認するべきと思う。キメラの子孫のT細胞はすべて単一TCRβを発現するはずなので(少なくともβ鎖は。αはちょっと違う。)検出はFACSで容易にできる。
http://n-seikei.jp/2014/03/stap-1.html

吉村先生は、STAP細胞が分化T細胞のリプログラミングであることにこだわっている様子です。
キメラ構成する細胞になるのは、T細胞由来であるべき!そうあって欲しい!、そうでないとリプログラミングと言えないよ!とのお立場の方のようです。

しかし、一方で、吉村教授は、T細胞由来が証明されていないなら、しかたないあーのようです。
そこは証明されなくてもしかたない・・・残念だけど・・・のようでした。

吉村教授は、以下のようにもおしゃっているようです。
selectionであっても何らかの細胞からマウスにまでなる幹細胞を生み出したことは画期的なのかもしれない。だから西川先生はTCRデータを『重要とは思っていないのでしょう』と回答されたのだろう
CD45+分画から造られたSTAP細胞由来のキメラであれば、調べてもT細胞の存在確率から言ってその子孫でTCR再構成が見られる可能性は低いのではないか。

ちなみに、著者ら(小保方氏ら)は、最終論文では、キメラがT細胞から構成されていないが、酸浴細胞に限定的に(酸浴しない細胞は初期化しない)キメラを形成したのだから、STAP現象の証明と考えられるとの主張のようです。
STAPの元はCD45+細胞で、T細胞分画由来ではないとの丹羽先生の弁です。
小保方氏は、笹井氏、丹羽氏らと、キメラの構成細胞の起源について、議論をした(と思われる)様子の著述が「あの日」にあります。

結局、吉村教授は、それではチト違う・・・リプログラミングと言えるの?
やっぱり、T細胞からSTAPが出来きて欲しいようで、吉村教授はご不満のようですね。

T細胞由来を証明して欲しい吉村教授は、これどう?あれどう?と言われていて、なんとか、どこかで、著者らはT細胞由来を証明すべきだとの主張されています。

吉村教授は、T細胞由来でなくてもいいか・・・は本音ではないのでしょう。吉村教授は、格調高いネーチャー論文なのだから、そこまで詰めて欲しいということのようです。
吉村教授は若干、独自の考えがおありのようです。

http://www3.riken.jp/stap/j/b9document1.pdf
上記のサイトは丹羽先生の検証実験の説明スライドですが、STAPがキメラの体細胞に分化していくときの、細胞のばらまかれ方を理解するのには便利です。
丹羽先生の実験によると、STAPクラスターは約150個(訂正しました)の細胞のようですし、キメラ作製にはクラスターを何個か入れるようですが、吉村教授は注入するSTAP細胞クラスターの細胞は100個位?と他の場所ですが、吉村教授の推定数がありました。

STAP論文が発表になった当時、T細胞起源を証明すべきとの、専門者集団から抗議ともいえる要望があったようです。
研究者からのTCR確認情報の重大性を吹き込まれたマスコミも、TCRの有無をさわぎましたよね。ES論を進めていたマスコミらには、キメラにTCRが無い場合は、よりSTAP細胞偽物論に近づくからでしょう。

STAPの初期論文であるサイエンスバージョンでは、キメラの尻尾細胞から採取したTCR(DNA)実験の図があったようです。しかし、この図では、レシピエント胚が作ったT細胞のTCRが混じっていると考えられ、このDNA増幅方法を用いた実験は、サイエンス査読者から否定されました。

生きた動物は、どこにでもT細胞がいますから、臓器の一部をとってきたら、かならずそこにT細胞が混入します(吉村先生はノイズと表現)。

TCRゲル図を作製するためには、少量のDNA部分をPCRで増幅するので、その時に使われたプライマーでは、感度や測定できるDNA長が十分でないとのことのようです。PCRは、微量のDNAを増やす方法なので、ノイズのTCRも増えてしまいます。
ですから、STAP実験では、TCR(DNA)ゲル増幅検査ではだめなようです。
尻尾細胞には、その動物が作ったSTAP以外のT細胞がうじゃうじゃいるからです。

そこで、胎児早期であれば、T細胞が形成能を示さない時点で、胎児体細胞の構成細胞から、目印のある元STAP由来細胞を探す手段が提案されたり、以前はいろいろ活発な議論があったようです。
しかし、胎児とて母のT細胞の影響がゼロではないでしょうから、ノイズはあるのではないでしょうか?

吉村教授は、キメラの子に、単一TCRβを持つ動物が出ると話しています。
これは、キメラで単一TCRβを持つ生殖細胞を選んで交配させて作るという作業だと思います。
親キメラの生殖細胞に、STAP由来の特異TCR(DNA)情報が入り、そのマウスが受精して子マウスができた時に、その子マウスが特異TCR(DNA)を多く持つので、この細胞を集めてファックス解析できるでしょう?だと思います。

人工的にTCRトランスジェニックマウスは、創出可能のようで、RAG遺伝子を欠損させてつくるようです。RAG遺伝子とは、マウス本来のTCR遺伝子を再構成させる時に必要とされる酵素です。

単一TCRβを持つ動物を作るとなれば、全体細胞構成細胞のTCRが同一な遺伝子集団(TCRβ遺伝子のVDJC領域レパトワが単一パターン)となり、T細胞として分化した時に、細胞表面はもその遺伝子産物となっています。
一方、正常動物ではVDJレパトワの組み合わせは膨大にあります。

本来、キメラを構成する細胞のどれか1個でも、STAP細胞由来で有れば、STAPのリプログラミングが言えます。(ここで議論されていた(2)の考え方です。

しかし、STAP起源細胞が少ないと目印もわからないし、遺伝子検査も実行不可能です。
遺伝子検査には1個の単位の細胞では調べられません。だから、キメラにある量で体細胞を構成している元STAP細胞部分が出てこないと検査できないようです。

モノクローナルT細胞を増やしての試みる方法は、サイエンス査読者が言っていた話です。
モノクローナルなT細胞なら決まった単一形のTCRを持つので、この細胞を増やして酸浴してSTAP細胞とした後、胚に入れる話かと・・思います。
その後、このT細胞がかなりの部分でキメラ構成細胞になれば・・・の話だと思います。TCRレパトワ解析で1種類がかなり多くなれば判定できるのでしょうね。

又、キメラから臓器を取り出す際、その生き物がつくったT細胞があるので、それが混ざらないように取り出す必要があるのではないでしょうか?

両親とも、単一TCRβであれば、その子供のT細胞もそのパターンになります。生きて生まれてくればの話ですが・・・。動物の相同染色体は対なので、一方が切り貼りされていても、もう一方が復活したりします)

単一TCRβを持つマウスは作られています。
トランスジェニックマウスは、細胞に目的の遺伝子を挿入し、かつRag遺伝子を欠損させたRAG-/-マウスでつくります。
STAPでは、他の細胞との陣地取りの競争があるので、同じ条件での酸浴後に、特殊な細胞が生き残れるかはわかりません。STAPによる初期化の質も不明です。

参考:
TCR構成に必要な遺伝子RAG遺伝子をつぶすと、マウスは本来の自分のTCRを作れなくなり、挿入遺伝子に従います。このRAG-/-マウスを使ってTCRトランスジェニックマウスを作ると、単一のTCRを発現します。
RAG-/-のバックグラウンドを持たないWildtypeのTCRトランスジェニックマウスは、内因性のTCRを作り、挿入遺伝子の作るTCRと混ざります。

追記:丹羽先生のスライド10におけるSTAP細胞の構成細胞数は約150です。
1000個と間違えてきました。お詫びと共に修正します。
したらば分身さん、ご指摘ありがとうございます。
学とみ子は、ES混入で説明をする人に反論をしていきたいと思います。
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