ヨウ素の不足した地域における小児甲状腺がんは、3分の1に減らせたという論文

大量放射能漏れの際、ヨウ素の不足した地域における小児甲状腺がんは、ヨウ化カリの投与により、3分の1に減らせたという論文を紹介します。日本では、ヨウ素不足の状態ではないので、どの位、減らせるかの予想できません。チェルノブイリの事故は、福島より、ずーと大規模でしたが、過去のブログを参照ください。。
 
J Natl Cancer Inst. 2005 May 18;97(10):724-32
1986年4月のチェルノブイリ原発事故の後、小児の甲状腺ガンの発病が増加しました。そこで、ベラルーシとロシアに居住する15歳より若い年齢の子どもたちにおいて、1998年までの甲状腺ガンの発症と放射線の関係を、人口ベースに調整した対照比較の方法を用いて、疫学的に計算をしました。

この間の、がん発症群は、276人で、この群と年齢などの諸条件をマッチさせたがんの無い対照集団の子ども1300人について、それぞれの背景を比較しました。同時に、この研究では、ヨウ素カリの投与の効果も評価されました。条件つきのロジスティック回帰によって分析されました。

結果:甲状腺ガンに受けた放射線量と、がんの発症率とに、相関関係がありました。甲状腺部にうけた放射線 1Gyごとに上昇する甲状腺がんのリスクは、子どもの条件により、5.5から、8.4の数値で上昇しました。1.5-2Gyまでの数値の放射線量の間において、線形用量関係(放射線量が増えると、発症率も増える平行関係)の現象が、観察されました。ヨウ素が不足している地域では、それ以外の場所より、甲状腺ガンの危険性は3倍大きくなりました。 ヨウ化カリウムを投与した群で、甲状腺ガンの発症は、0.34倍となり,(95% 信頼区間0.1―0.9), 約3分に1にがんを減らせたと計算されました。
 
発症率5.5倍の場合は、95%の信頼区間は、3.1 倍から9.5倍でした。
発症率8.4倍の場合は、95%の信頼区間は、17.3倍から4.1倍でした。
子供のいろいろな条件(年齢、性、甲状腺に蓄積した放射線量など)で、がんの発症率は変化します、よって、95%の信頼区間の意味は、幅のある値の範囲を指定をすれば、100のうち95までが正解となるという計算値です。
 

 
別の論文です。これは、甲状腺がんのみならず、他の良性の甲状腺腫瘍も増えるとするデータです。
1986年のChornobyl(チェルノブイリ)事故により、多くの人が放射性ヨウ素に暴露されました。甲状腺がんの発症は知られていますが、良性甲状腺の腫瘍についてはあまり知られていません。

18歳未満の小児において、事故後すみやかに甲状腺への暴露量を測定できた人で、その後もウクライナに住み続け、経過を追うことのでき12,504人を対象に調査しました。良性の甲状腺種は、23人いて、線量との関係を計算すると、被ばく量が1グレイGy増加するごとに、腫瘍は2.07倍に増加しました(95%の信頼区間: 0.28、10.31)。腫瘍の危険は男性より女性で大きい。Am J Epidemiol. 2008 Feb 1;167(3):305-12. PMID: 17989057
 
 

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