放射線が、遺伝子に与える影響は、人により異なる。ロシアにおける国家的な調査

ロシアでは、チェルノブイリ事故後、国家的な調査機関が設立されました。そうした資料に基づく成績です。甲状腺への直接被ばく量は、専門委員会で決定されたようです。この論文は、サマリだけしか、入手できないので、詳細は不明です。この時に多発した甲状腺がんは、乳頭型と呼ばれ、転移が少なく切除可能で、がんの中では良性な性質をもつものが多いようです。

今回も疫学的な数値として、95%信頼区間というのがでてきますが、あまり難しく考えずに、大体の範囲であるとみなすと良いと思います。がんの発症は子供側の条件で異なりますので、ひとつの数値で出せないことをご理解ください。暴露された放射線量は、甲状腺部分に取り込まれたと推定された単位グレイですので、現在日本で公表されている空気や水の放射線量とは異なることに、ご注意ください。

このように、がんの発症は、個人差があるのですが、それは、放射線が、遺伝子に与える影響は、人により異なるからです。がんを守るための蛋白質が良質な人の場合は、DNA損傷からの回復力が高く、逆に遺伝子異常などがあり蛋白の働きが悪い人では、がんが発症しやすいです。こうした事を、過去のブログにかきましたので、興味ある方はのぞいてくださると、うれしいです。


Radiat Environ Biophys. 2006 May;45(1):9-16.

1991-2001年の追跡調査期間、0から17歳以下の子供において、国家的調査データに基づいた甲状腺ガン発生率を示した。ブリャンスク州(チェルノブイリ事故後、最も汚染されたロシア地域)で生活していた子どもたちです。

1989年の国勢調査では、この州の人口は、37万5000人でした。ロシアの科学委員会で承認された方法論に基づいて、甲状腺への暴露放射線量が決定されました。1991~2001年に、合計199の甲状腺ガンが診断されました。 がん診断は、95%が組織学的に確かめられました。

甲状腺ガンの発症は、他の地域のがん発症と比較すると、女子6.7倍(5.1から8.6倍の95%信頼区間)と男子では14.6倍(10.3から20.2倍の95%信頼区間)でした。低年齢で被ばくするほど、がん発症は高くなりました。暴露時年齢0-4歳の女児において、1グレイGy増えるごとの発症は、45.3倍となりました(5.2、9,953の95%信頼区間)、一方、暴露時年齢が0-9歳であった男子では、1Gyにつき、68.6倍(10.0から4,520の95%信頼区間)でした。1991-1996と1997-2001、の年度別では、1997-2001年に、女子で減少、男子で増加しました。PMID: 16544150
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