一研究者のブログにおける一研究者のご意見と、それに対する遠藤氏の反論

現在、当ブログでも話題になっている遠藤氏論文
だが、この遠藤氏論文については、話題はつきない。

2014年当時、まだ、桂報告書も出ていない時点で、この論文について、知識人たちが白熱した議論を展開していた様子を、一研究者ブログで読むことができる。
お前は専門者だとか、そうじゃないとか、我こそは!の方々が、自論を披露している。

一研究者ブログは、学とみ子のように、後からSTAP細胞に興味を持つ人にとっては大変、ありがたいサイトである。

STAP論文発表後、STAP細胞疑惑を遠藤氏は追及していた。
kahoの日記に残っているとおりである。

遠藤氏が書いたものは、当然、その内容も、STAPを追及する論調になる。
遠藤氏は、STAP細胞など無い!との主張である。
その論拠として、科学的証拠を並べているし、学術的論文であることは間違いない。

当時、STAP著者らが直接、遠藤論文に反論して欲しかったと思うし、遠藤氏もそれを望んでいたと思う。
しかし、STAP論文はさらなる深みにはまってしまっていた。

同一の研究所内の研究者同士、論文発表前に、相互の専門分野での議論が望ましいのだろうが、激しい競争社会故に、現実には難しいのだろうと感じる。

5年経った今も、STAP細胞にとっては試練の時が続いているが、STAP細胞を否定する説への反論は、これからも続くし、時間制限があるわけでは無い。
すなわち、これからでもいろいろな立場の方からの議論がでるのは望ましいことだ。

一般人は、こうした議論を聞きながら、ここの学術的領域を理解していくだろう。
そうした人たちが増えて欲しいと思う。

129マウスとB6マウスのF1マウスからつくられたはずのSTAP細胞について、アレル頻度を解析しところ、STAP論文で書かれたマウスと種類が合わないじゃあーないか?と、遠藤論文は指摘している。

STAP細胞の第8染色体のアレル頻度が33%部分にピークがあり、トリソミーと遠藤氏は指摘している。これは、生きた子マウスからの染色体としてはありえないとの遠藤氏の指摘である。
だから、STAP細胞があり得ないのだ!とのkahoのブログの主張につながるらしい。

しかし、子マウスの細胞は、酸につけられた後なのだ。
8割が細胞死する環境だ。どこかでトリソミーになってもおかしくないだろう。
なにより、大事なのは、トリソミー化した細胞からキメラができたわけでも、幹細胞ができたわけでもない。トリソミー化した細胞から、次の実験には進まなかったはずである。

何度でも言いたいが、STAP細胞は、毎回、実験のたびに作られるのだ。
酸浴後に、何らかの生存スキルを獲得できた細胞が残るのだ。
逆に、うまく細胞改変できなかった細胞は、その後に死ぬのだ。

STAP細胞など無い!の明確な遠藤メッセージが、STAP著者らに災いした。
良くものをしらない人たちが、STAPねつ造の方向へと日本社会をひっぱっていってしまった。

確かに、遠藤氏がS1で出した図では、STAPは、129マウスとB6マウスのF1マウスである。
これと比べて、FI細胞はS1図からもB6マウスから作られているのがわかるし、Fig2(B)でも、B6側から発現している。
つまり、B6ホモの両親からできた子マウスからFI細胞がつくられているだ。

小保方氏はGOFマウスの持ち出しは単独で行ったとあるが、持ち出した細胞から、小保方氏自身で幹細胞をつくったのではない。
FI細胞は、その後、若山氏にわたってから作製されたものであり、小保方氏はマウスの種類は知らない。

B6ホモからつくられたFI細胞は、無ければおかしい細胞である。
ところが、それが無い!。
そもそも、桂報告書では作られなかったのでは?と言われてしまった細胞である。
さすがの遠藤氏も、ここは、桂報告書を疑問視する部分であろう。
ここを反論できる科学者はいるのか?


STAP細胞のトリソミーに至っては、酸浴の結果、染色体が変化したものであろうし、細胞に前代未聞の過酷な条件をかけたら、その顛末を知る人などいないはず!だ。

何より大事なのは、これからキメラや幹細胞ができたわけではない。
本来なら、トリソミーが直接的にSTAP細胞の否定につながってはいけないのだ。
しかるべき専門者のアドバイスがあったと思うが、それが声として日本社会に届かない状態であったのだろう。
STAP細胞を擁護する学者の声を、マスコミは無視した。
一方、遠藤氏の主張は、どんどん拡大していったのだろう。

以上でとりあえず、遠藤氏の論文からはなれて、一研究者ブログの紹介に移る。
一研究者ブログでは、遠藤氏の論文に批判的であったため、遠藤氏ご本人が登場して反論をしたのである。その反論は迫力あるものであった。
最後に茶で示して、遠藤氏意見を紹介する。

この一研究者ブログ記事について一部を(紫字で)紹介しておく。
2014年10月25日 




「遠藤論文に科学者としての意見を述べるべき」という声があるので、それには一応答えておく。私が一番興味を持ったのは図1Bである。以下に遠藤論文より転載しておく



イメージ 1

 左は129とB6の交配でできたマウスから取り出した胚性幹細胞(ESC)、真ん中は129/B6マウスから作った誘導多能性幹細胞(iPS細胞)、右は129/B6マウスから調製した胚線維芽細胞(MEF)である。ESCは129由来mRNA量とB6由来のmRNA量が同じなので、50%の位置にピークが生じている。やや不思議なのは、右のMEFでは0と100%にシグナルがあることである。この事は、ある種のmRNAは129由来遺伝子のみから(0%)、あるいはB6由来遺伝子のみ(100%)から作られていることを示すはずである。これは実験上のエラーから生じたのかもしれないが、それはさておき、問題は真ん中のiPS細胞である。これは明らかに、B6由来遺伝子のみから作られているmRNAが多い(90~100%で強いシグナル)。この点を遠藤氏はこの結果を以下のように解釈している。
 
The iPS cells generated from 129B6F1 had more homozygous SNPs of B6-type alleles. Although, as noted earlier, this may be the result of cellular contamination or this could be the result of differences in the properties of the cells used in the two experiments, there is also the intriguing possibility that the experimental process induced a transition of genotypes. As iPS cell engineering has been reported to induce genomic and/or epigenomic instability (Hussein et al. 2011; Chang et al. 2014), it will be important to examine allele frequencies of iPS cells in future studies.
 
 つまり、「コンタミネーション」と「2つの実験で使われた細胞が違う」という可能性を述べた後で、興味深い可能性として、「iPS細胞誘導時に遺伝子のタイプが(129からB6へと)変化した可能性」を指摘している。そして、その可能性を支持する論文(iPS細胞化によって遺伝子(やエピジェネテック)が不安定となる事)が発表されていることを述べ、この点を将来調べるべきだと結んでいる。
 
 しかしながら、これは「将来問題」としてはいけない点を含んでいる。なぜなら、iPS細胞の解析結果は、細胞が初期化される時にB6系統へ遺伝子の発現パターンが偏る可能性を示しているからだ。そうだとすると、STAP細胞では「酸にさらす」という、iPS化よりも過酷な条件で初期化させているわけであるから、遺伝子発現がほとんどすべてB6系統に変わることもありうるということだ。遠藤氏の論文の結論の一つは、「129とB6の交配でできたマウスから作られたSTAP幹細胞(FI-SC)のmRNAの発現パターンは、ほとんどすべてB6細胞であり、それは矛盾する」ということだと思うが、iPS細胞の解析は「それは起こりうる」という可能性を示唆している(勿論、これは「可能性」だけの話であり、私はそれが起こっていたとは推測していない)。
 
 以前報告され、そして遠藤氏の解析で示された「iPS細胞化の過程で遺伝子が不安定化する可能性」は、今回のSTAP騒動とは関係ないが、iPS細胞を治療に使うことに対して注意を払うべき点であろう。この問題を「将来の問題」とせずに、iPS細胞の解析を詳細に行えば、科学研究論文として十分な価値があったかもしれない。

上記、一研究者ブログに、なんと、ご本人の遠藤氏が登場しました。
その迫力ある反論を良く読み直していきましょう。


4. 遠藤高帆 2014年10月25日 22:22 解説をありがとうございます。
ご意見をいただいた本人ですが、難癖をつけられているな、というのが正直なところです。
ご質問があれば直接ご連絡をいただければ科学的な面についてはお答えできましたが、メールボックスには見当たりませんでした。

率直に申し上げてご批判のただ一つも科学的に答える価値は見出せませんでした。
特に

>そうだとすると、STAP細胞では「酸にさらす」という、iPS化よりも過酷な条件で初期化させて
>いるわけであるから、遺伝子発現がほとんどすべてB6系統に変わることもありうるということだ。

これはあまりにも無理矢理な理屈だと思います。
まず酸に晒すのがiPS化よりも過酷な条件だというのが何の根拠も示されていません。
また上記の言明が非科学的であることのごく簡単な例をあげます。129B6F1細胞は母親が129マウスです。
「ほとんどすべてB6系統に変わる」のでしたらX染色体の遺伝子はどうなりますか?FI幹細胞のX染色体はB6マウスの遺伝型を示していました。つまり、インプリンティングが起きたどころか、マウスのX染色体がそこに存在しないはずの染色体に入れ替わるという現象を肯定していらっしゃるということです。
性染色体に目をつぶっても、ある簡単な処理だけで100%に近いインプリンティングが起きるのだとしたら、それこそとてつもない現象を見つけたことになると思います。
それにSTAP細胞、STAP幹細胞ではそのような現象は見られていません。酸で処理したことではなく、Fgf4で培養することは「iPS化より過酷な条件」である理由は何でしょうか。
このように全体を通じて極めて論理性のない批判ばかりだという印象を受けました。
                           
         
2014年10月25日 22:23
5. 遠藤高帆

                            
iPS化における対立遺伝子間のバランスの問題は当然私も認識しており、来月の分子生物学会ではその件で発表します。
このようにある解析方法をもって見出した新しい現象について発展的に研究を進めることは一研究者として当然だと思いますが、それを私がしていないと思われた(と解釈できる)理由をご説明頂ければと思います。
方法論の論文においてある可能性を見出した時、生物学的な仮説と検証を同じ論文でせよ、というのは一つの考え方ですが、論文の主題が曖昧になるマイナスの方が大きいと考えております。


6. 遠藤高帆
2014年10月25日 22:44

他のエントリーも読みましたので追記いたしますが、私の論文が政治的な観点からレビューされアクセプトされたというのは少なくとも私が受け取ったレビューからは想像もつきません。
理論的な裏付けが必要であると指摘され、冒頭の数値モデルとFig.1に相当する部分は全てレビュアーからの指摘を受けて追加して解析を行った部分です。
おそらく話題的にセンシティブであることからでしょうが、通常より慎重にレビューされたとさえ考えている理由もあります。
・・・・

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